評価:★★★★[4/5]
幼少期で生き抜く術を身に付けた兄弟の力強さに脱帽した。
幼いころ宗教間の対立で母親を殺され
孤児になったジャマールと兄のサリーム。
もうひとり、同じく孤児となった女の子ラティカ。
いつしかこの3人は行動を共にするようになり
生きる術を自然と身に付けて行くのである。
そこにあるのは、絶望感で後ろ向きに歩くのではなく
明日を生きるために、今できることは何か!
と、幼いながらも知恵を付けて行く姿に力強さを感じた。
◇
インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。
この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、
次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて
誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。
ところが、1日目の収録が終わりスタジオを
後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で
警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児で
まともな教育を受けたこともないジャマールが
クイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、
執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。
ジャマールは自らの無実を証明するため、
これまでに出された問題の答えは、
すべてストリートで生きながら学んだと、
その過酷な過去を語り始めるのだったが…。
<allcinema>
◇
アジア最大と言われるスラムの町を駆け抜ける躍動感と
予測不能な展開にワクワクさせられた。
実際に、自分がそこに立っているような錯覚を起こすのだ。
これはカメラワークの妙ではなかったか。
悲惨な幼少期のなかに於いて、次第に兄弟の性格付けが
明確になっていく。兄は金と支配力に貪欲になっていき
対する弟はそういうものに全くとらわれず誠実で純粋な
ココロを持つという、とても無邪気で可愛いらしい子である。
幼少期の彼らを演じた子役がじつに上手い。
まるで本当に自分らが孤児でスラムに居るかのように
自然な演技はほんとうに感心する。
『落下の王国』でのカティンカちゃんみたいな
監督の計らいでもあったのだろうか。
この辺りの真相を聞いてみたいものである^^
◇
スラムの街は孤児らにとって生き易いが
ある日、そんな孤児らを回収して働かせる大人たちが
現れたから、さあ大変。(こればっか)
甘い言葉に誘われて連れて来られたところは
孤児院のような施設かと思っていたら、そうではなく
そういう境遇の子供たちばかりを集め、
商売を企てる怖い大人たちが居た。
歌を歌わせ、上手い子には、
裏の広場に連れて行き、眼を焼きワザと障害者にさせ
街に送り出し乞いを受けさせるという
とんでもない奴らだったのだ。
それを見た兄のサリームが
弟とラティカを連れ、施設を脱走するが
途中、貨物列車に飛び乗ったところで
無情にもラティカだけは飛び乗ることが出来ず
ラティカだけ追って来た男らに連れ戻されてしまうのだった。
このラティカを演じた子役ふたり(幼少期と少女期)が
かなり可愛いので、ジャマールがいつまでも
ラティカを想い、探し続ける気持ちが痛いほど伝わってくるのだ。
あんなに可愛い子なら、ワタシだってジャマールに負けないと
思うかも。思うかな。思ったかもしれない・・・。
◇
彼ら兄弟、青年期に成長した辺りで兄は完全に悪の世界に。
弟のジャマールは真面目に働き、そして
離れ離れとなったラティカを探し続ける毎日なのである。
クイズ番組に出場したのは、単に一攫千金を求めたわけでなく
そこには、彼の純粋なココロがあり国民的番組に出ることにより
番組を通じラティカに自分の存在を知らせることが出来る。
一方のラティカは、ヤクザのボスの愛人として軟禁され
恐怖に怯えながらも気丈に振る舞い、自分を押し隠す悲しみが
痛いほど伝わってくるのだ。
そんな彼女を見ていた兄サリームは、ある決断をする。
弟のジャマールと彼女を逢わせてやることがふたりへのつぐないだと。
その手助けが出来るのは、今の自分しか居ないということを・・
この辺りのサリームのココロの変化が興味深かった。
ラティカにこっそり車のキーを渡し、ジャマールのところに行けと言う。
弟とラティカのために命を賭けたその行為は
最後に良きひとを演じたサリームには、ある種カタルシスさえ感じた。
◇
番組会場に居るジャマールに会いに車で突っ走るラティカ。
そこからの展開が、もうハラハラドキドキの連続で
ここだけでも1本分の映画の緊張感が味わえるかもしれない。
おまけ)
・オールラストのアレは妙に現実に引き戻された気分で
余韻が一瞬でリセットされてしまった^^;
アレは、なかった方がいいと思ったんだが・・・。
------------------------------------------------------
監督:ダニー・ボイル
脚本:サイモン・ボーフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:A・R・ラーマン
出演:デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント/
『スラムドッグ$ミリオネア』
幼少期で生き抜く術を身に付けた兄弟の力強さに脱帽した。
幼いころ宗教間の対立で母親を殺され
孤児になったジャマールと兄のサリーム。
もうひとり、同じく孤児となった女の子ラティカ。
いつしかこの3人は行動を共にするようになり
生きる術を自然と身に付けて行くのである。
そこにあるのは、絶望感で後ろ向きに歩くのではなく
明日を生きるために、今できることは何か!
と、幼いながらも知恵を付けて行く姿に力強さを感じた。
◇
インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”。
この日、ムンバイ出身の青年ジャマールが、
次々と難問をクリアし、ついにいまだかつて
誰も辿り着けなかった残り1問までやって来た。
ところが、1日目の収録が終わりスタジオを
後にしようとしたジャマールは、イカサマの容疑で
警察に逮捕されてしまう。スラム育ちの孤児で
まともな教育を受けたこともないジャマールが
クイズを勝ち抜けるわけがないと決めつけ、
執拗な尋問と拷問を繰り返す警察。
ジャマールは自らの無実を証明するため、
これまでに出された問題の答えは、
すべてストリートで生きながら学んだと、
その過酷な過去を語り始めるのだったが…。
<allcinema>
◇
アジア最大と言われるスラムの町を駆け抜ける躍動感と
予測不能な展開にワクワクさせられた。
実際に、自分がそこに立っているような錯覚を起こすのだ。
これはカメラワークの妙ではなかったか。
悲惨な幼少期のなかに於いて、次第に兄弟の性格付けが
明確になっていく。兄は金と支配力に貪欲になっていき
対する弟はそういうものに全くとらわれず誠実で純粋な
ココロを持つという、とても無邪気で可愛いらしい子である。
幼少期の彼らを演じた子役がじつに上手い。
まるで本当に自分らが孤児でスラムに居るかのように
自然な演技はほんとうに感心する。
『落下の王国』でのカティンカちゃんみたいな
監督の計らいでもあったのだろうか。
この辺りの真相を聞いてみたいものである^^
◇
スラムの街は孤児らにとって生き易いが
ある日、そんな孤児らを回収して働かせる大人たちが
現れたから、さあ大変。(こればっか)
甘い言葉に誘われて連れて来られたところは
孤児院のような施設かと思っていたら、そうではなく
そういう境遇の子供たちばかりを集め、
商売を企てる怖い大人たちが居た。
歌を歌わせ、上手い子には、
裏の広場に連れて行き、眼を焼きワザと障害者にさせ
街に送り出し乞いを受けさせるという
とんでもない奴らだったのだ。
それを見た兄のサリームが
弟とラティカを連れ、施設を脱走するが
途中、貨物列車に飛び乗ったところで
無情にもラティカだけは飛び乗ることが出来ず
ラティカだけ追って来た男らに連れ戻されてしまうのだった。
このラティカを演じた子役ふたり(幼少期と少女期)が
かなり可愛いので、ジャマールがいつまでも
ラティカを想い、探し続ける気持ちが痛いほど伝わってくるのだ。
あんなに可愛い子なら、ワタシだってジャマールに負けないと
思うかも。思うかな。思ったかもしれない・・・。
◇
彼ら兄弟、青年期に成長した辺りで兄は完全に悪の世界に。
弟のジャマールは真面目に働き、そして
離れ離れとなったラティカを探し続ける毎日なのである。
クイズ番組に出場したのは、単に一攫千金を求めたわけでなく
そこには、彼の純粋なココロがあり国民的番組に出ることにより
番組を通じラティカに自分の存在を知らせることが出来る。
一方のラティカは、ヤクザのボスの愛人として軟禁され
恐怖に怯えながらも気丈に振る舞い、自分を押し隠す悲しみが
痛いほど伝わってくるのだ。
そんな彼女を見ていた兄サリームは、ある決断をする。
弟のジャマールと彼女を逢わせてやることがふたりへのつぐないだと。
その手助けが出来るのは、今の自分しか居ないということを・・
この辺りのサリームのココロの変化が興味深かった。
ラティカにこっそり車のキーを渡し、ジャマールのところに行けと言う。
弟とラティカのために命を賭けたその行為は
最後に良きひとを演じたサリームには、ある種カタルシスさえ感じた。
◇
番組会場に居るジャマールに会いに車で突っ走るラティカ。
そこからの展開が、もうハラハラドキドキの連続で
ここだけでも1本分の映画の緊張感が味わえるかもしれない。
おまけ)
・オールラストのアレは妙に現実に引き戻された気分で
余韻が一瞬でリセットされてしまった^^;
アレは、なかった方がいいと思ったんだが・・・。
------------------------------------------------------
監督:ダニー・ボイル
脚本:サイモン・ボーフォイ
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:A・R・ラーマン
出演:デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント/
『スラムドッグ$ミリオネア』
これは鑑賞を楽しみにしている作品です。
GW中には観たいと思っていますので、貴レヴューの本文については鑑賞後にゆっくりお邪魔して拝読させていただきます。
しかし!図らずも最後だけ読んでしまいましたぁ・・・^_^;。
「オールラストのアレ」って、もしかして『タイタニック』のエンディングのアレと同じことでしょうか・・・。
あれは確かに賛否両論ありましたよね。
因みに『タイタニック』でのアレに付いては、私は“肯定派”でした。(*^_^*)
オスカー8部門という実力はどんなものなんだ?といった興味本位での観賞でした。
インド映画もなかなかやるな~
と、思ったら英国映画だったことに鑑賞後に気が付きました^^;
>「オールラストのアレ」って、もしかして『タイタニック』のエンディングのアレと同じ
『タイタニック』のエンディングですね^^
あのエンディングは観客に丸投げしたような感じですが
あういうイメージ映像は好きです。ワタシも肯定派ですよん^^
今考えると、どことなく『ダイアナの選択』に似てるのかな?なんて思うところもあります。
本作のラストも賛否両論なんですよ~
ぺろんぱさんがどちら派に傾くのか気になりますね^^
見ごたえありました。テンポ&展開も良く、あっという間に終わってしまった。
キーワードは、
兄弟愛・初恋、そして、never give-up、希望。
エンディングはまあ良いじゃないですか。
>見ごたえありました。テンポ&展開も良く、あっという間に終わってしまった。
ストーリー、映像ともに良かったですよね。
躍動感に満ちた、スラム時代の生活はアレはアレで
彼らは楽しかったんじゃないでしょうか。
>兄弟愛・初恋、そして、never give-up、希望。
ですよね。
母親が居なくなったと同時にラティカが現れたところが
映画のキモだったのかもしれないですね。
エンディングはホントにアララ?な感じになってしまいました^^
予告編から、なぜ教育をまともに受けていない
主人公がクイズの難題をことごとく正解していくのか
興味があり楽しめました。
過酷な運命、そして一途な愛。
そんな映画でしたね。
その後のジャマール&ラティカの逃亡生活を描いた続編に期待したいですね(あったらいいかな)^^
街を牛耳る組織を相手に、あのまま何もないとは思えませんからね^^;
是非とも、続編希望!^^
観て来ました!高揚感が続いています。
意外にも、カラリとして熱い?作品トーンに引かれました。サリムのラスト映像はスタイリッシュでもありました。
私は・・・あのエンディングは、あれはあれでとても気に入りました。(*^_^*)
高揚感と熱さがそのまま引きずられていた感じで・・・。
納得の受賞作でした。(*^_^*)
観賞お疲れ様です。高揚感が続いているんですね^^
それでこそ、映画の醍醐味と言えるでしょう♪
>サリムのラスト映像はスタイリッシュでもありました。
そうなんですよ~!カッコ良かったですよね^^
あのシーンは今年の名シーンの三本指に入ると思っているワタシです^^
また、浴室を通らないと勝手口に行けないという部屋の構造も、ある意味、新鮮でした。
>高揚感と熱さがそのまま引きずられていた感じで・・・。
おぉ~!肯定派ですね^^
おとぎ話が好きなワタシは、直前の二人のアップでフェードアウトと同時に眠りに就きたいという
ちょっと変わったイメージを持ってまして^^;
ただ、あそこにお兄ちゃんが居なかったことが唯一の救いでした^^;
>納得の受賞作でした。(*^_^*)
はい!これは同感ですね^^
しばらくは、スプーンを触るのが怖いです(⌒~⌒ι)
お~!これだったのですね^^
>しばらくは、スプーンを触るのが怖いです(⌒~⌒ι)
スプーンといえば、小さい頃に焼き魚の目ん玉くり抜いて食べてました^^;
今は絶対に出来ない行為です。
スプーンってコレじゃなかったりして。
違った?^^;