じゅにあ★Schutzstaffel II

キン肉マンの2次創作。小説載せてます。(以後更新予定無し)

☆はじめに☆

2019-06-13 22:08:00 | ★本ブログの内容について★
 
 
 
こんにちは。
 
 
こちらは、「キン肉マン」及び「キン肉マンII世」の二次創作ブログで、ブロッケンJr.を中心に、原作で描かれていない部分を想像(妄想)して書いた小説を掲載しています。
(但し、「キン肉マン」の完璧超人始祖編以降の内容は含みません)
 
 
 
何年か前、「じゅにあ★schutzstaffel」というブログで小説や漫画などを書(描)いていましたが、諸事情等あり、中途半端でやめてしまっていました(汗)。
 
本ブログは、そこで書かずじまいになっていた部分の小説をまとめて掲載しています。
(最新の人気投票結果で、血盟軍が揃ってトップ10入りしたのが嬉しくて書きました♪)
 
 
 
読んで頂くにあたっては、以下をご了承下さい。
 
 
◆内容は基本女性向けで、Jr.がかなり美化されています。
 
◆直接的な表現はありませんが、若干BL要素を含みます。(牛×ブロ、ブロ受け)
 
◆Jr.の髑髏の徽章に、独自の勝手な設定を加えています。(一度授かると、人を殺さないと自分の命が縮んでいく。殺すと力を得られるが狂う)
 
◆暗い内容が多いです。(最後はハッピーエンドですが)
 
◆スマホ画面メインで作ったので、そっちの方が読みやすいかも・・・?
 
 
 
なお、以降ブログの更新予定はありません。
(妄想、出し尽くしました☆)
 
 
 
 
自分と同じ、肉好き・ブロッケンJr.好きな方。
 
また、もしかしたら昔ブログを通してとってもお世話になった方々・・・。
 
そんな方々に、ちょっとでも楽しんでもらえたら嬉しいです(*´Д`*)
 
 
 
一生ブロッケンJr.を応援しマッスル☆
 
 

☆小説一覧☆

2019-06-13 22:07:00 | ★本ブログの内容について★
 
 
本ブログには、以下6つの小説を載せています。
 
 
 
◆「導き」
初代、超人オリンピック・ザ・ビッグファイト準決勝前の、Jr.とラーメンマンの話です。
ラーメンマンの視点で書いています。
 
 
◆「幕切れ、もしくは分岐」
初代、王位争奪戦6人タッグの、Jr.とバッファローマンの話です。
バッファローマンの視点で書いています。
 
 
◆「檻」
II世、Jr.がジェイトと会う前の話です。
Jr.の視点で書いています。
 
 
◆「運命の糸」
II世、Jr.がジェイトと会う前の話です。
ソルジャーの視点で書いています。
 
 
◆「終着」
II世、Jr.がジェイトと会う前の話です。
バッファローマンの視点で書いています。
 
 
◆「幕引き、もしくは収束」
II世、オリンピックから一年くらい後の、Jr.とバッファローマンの話です。
バッファローマンの視点で書いています。
 
 
 
 
 
 
全ての話に繋がりを持たせています。
 
ただ、以前書いた小説(こちらに置いてます)とも繋がっている為、全て読んで下さっても、なお「???」な部分が多数あるかと思いますが、ご容赦ください(汗)
 
 
 

導き(1)

2019-06-13 22:07:00 | 小説/導き
 
 
 
代わりにはなり得ないだろう。
 
だが私は私の方法で、それを成そうと決意した。
 
 
 
 
 
 
病院の屋上。
既に体は回復していたが、一応入院という名目でここに滞在していた私は、本来関係者以外立ち入ってはならないその場所で、同室の男と汗を流していた。
 
 
オリンピックの準決勝を明日に控え、軽めの調整をしようと部屋を抜け出そうとした私に、その男が同行を申し出てきたのが今から何刻前だっただろうか。
 
暫しの思案。だが組み手の相手が得られるのは好都合だったし、何より、少し照れ臭そうに泳いだ軍帽の下の目がとても好ましく思えた事もあり、私はその申し出を有難く受けたのだった。
 
 
 
上着を脱ぎ、二人、未だあちこちに包帯を巻いた体を並んで動かす。
 
始めは確かに自分の調整を手伝って貰っていた。
だが次第にその目的は軌道を外れ、いつの間にかこの男への稽古指導の時間となっていった。
 
 
太陽は暖かく、風が体の汗を優しく撫でてゆく。
そんな空の下、屋上の床を蹴る音、そして体が体を打つ音が、心地良く響き渡る。
 
 
ーー本当に、今日は良い天気だ。
 
 
経緯を思えば、こんなに急速に打ち解けるというのも何処か妙な心地がした。
照れ臭い。しかし、それ一言では説明の付かない、甘やかな一方でどこか胸の痛みを伴うようなーー、これまでの修行と格闘漬けの人生で一度も感じた事の無い類(たぐい)の感情が、己の奥底に芽生えていた。
 
 
ーー何とも説明に困る・・・だが、悪い心地では無い。
 
 
全ては成り行き、なのであろう。
ならば無理に逆らわず、流れに任せてみるのもまた一興。
 
 
 
しかし確かなのは今、私は目の前の男ーーブロッケンJr.ーーと過ごすこの奇妙な時間を、心から楽しんでいた。
 
 
 
 
 
 
「はぁ・・・やっぱあんたには敵わねぇなぁ。もっと基礎からやり直さねぇと駄目なのかな」
「そうだな。足の使い方をもう少し工夫した方がいい。だが、年の割に筋はいい。技術を磨くには、それなりの時間と経験も必要だからな」
「ホントか?」
「ああ。同じ格闘家同士、世辞は言わんよ」
 
 
実戦を模擬した手合わせ。
もちろん超人同士なので、余計な寸止めなどはしない。
 
左から、右から。様々な方向から緩急織り交ぜ、必死に攻めるも遂に息が続かなくなったJr.に、私は暫しの休憩を提案していた。
 
 
座り込み、通用口の扉がある壁に背を預け息を整える若い男。その正面で僅かな汗を浮かべ平然と立つ年上の男に悔しさを隠しもせず、しかしそんな自分を見る目にはもう、かつての憎悪は微塵も宿ってはいなかった。
 
 
ーー本来、お前はこういう顔なのだな・・・。
 
 
つい数日前まで、私への復讐心以外のどんな表情も見せなかったJr.。
だが今や、まさに憑き物が取れたかのようなその顔は、年齢以上に幼く映るほどに、屈託無く晴れ晴れとしていた。
 
 
息は大分落ち着いてきたようだが、まだその体は薄ら赤身を帯びていた。
平時では包帯との境界が分からない程白い肌。一切陽光を浴びないようにしたところで、ここまで見事な色と質にはなりはしまい。
 
そこに刻まれた両肩の刺青も精悍ではあるが、一方で何処か惜しい心持ちになる程、それは美しいものだった。
 
 
血が成した珠玉。
改めて、此奴は確かにあの男の子供なのだと思った。
 
 
 
 
 
 
絶え間無く吹く穏やかな風のお陰で、身の内の熱も完全に落ち着いていた。
 
 
部屋に昼食が運ばれてくるまでには、まだ幾許(いくばく)の時間がある筈。
ならば、もうひと手合わせしても良いかと、目の前に座るJr.に声を掛けようとした。だが不自然に肩を動かす奴の姿を見て、私は違う言葉を掛ける事にした。
 
 
「まだ痛むのか?」
「え、ああ・・・大丈夫。全然痛くはねぇよ。ただちょっと、引っかかるような感覚があっただけさ」
「無理は禁物だぞ。必要に応じて安静を選択するのも、格闘家の大切な務めだ」
「それを言うなら、あんたこそ平気なのか?明日試合なのは俺じゃなくてあんただぜ。てか、逆に俺の練習に付き合わせてるみたいになって・・・楽しかったけど。本当にもう、何処も痛くねぇの?」
「先日も言ったが、私は特に回復が早い体質でな。それに、血が止まりさえすれば、動いた方がさらに治りも良くなるのだよ」
「へぇ・・・」
 
 
感心ーーよりももう一段上を見るような特別な眼差しを自分に向けたJr.。
自分と私との違いを、今度は悔しがるというより驚いていると表現した方が妥当な顔で、私の体のあちこちに視線を向けていた。
 
 
「すげぇな。一流の超人て、みんなあんたみたいなのか?」
「いや。どちらかと言えば私が特異なのだろうよ。だが・・・確かにお前は少し回復が遅いようだな」
「二流で悪かったな」
「はは、そういう意味ではない。独特の気の流れとでも言うのか・・・それこそ、お前の体質によるものだろう。歯痒いかもしれんが、こればかりは鍛えても、格段にどうにかなるものでもあるまい」
「・・・そんなもんなの・・・か?」
「ああ。体を流れる気にも二種類あってな。戦いに必要な気は鍛える程増すが、治癒に必要な気は違う。体を癒す気はそれぞれが生まれた持った・・・と、つまりは体質だな。それより違和感は肩だけか?足の動きが悪かったのも、怪我の影響ではないのか?」
「・・・・・・え、ああ・・・」
「お前は超人にしては少し骨が細い。もちろん、まだ成長期だから致し方ない部分もあるだろうが・・・。身長が落ち着いたら、もう少し下半身の筋力を増やしてみるといい」
「・・・」
「そうすれば体の動きもさらに良くなるだろうし、今より怪我もしにくくーーーーどうした?」
 
 
 
ふと湧き上がった老婆心に、ついつい饒舌になってしまっていた私の言葉の何かに、思い当たる事でもあったのか。
 
 
「・・・」
「何だ・・・どうした?」
 
 
 
まるで、この男の周囲だけ時が止まってしまったかの様に。
 
Jr.は真っ直ぐ私の目を見たまま、全く、微動だにしていなかった。
 
 

導き(2)

2019-06-13 22:07:00 | 小説/導き
 
 
 
彼は何かを考えていた。
 
 
その考えを私に告げるべきか。否(いな)か。
 
そして、私は告げるに値する者なのか。否か。
 
 
 
庇(ひさし)の奥から私を射抜くように見る青いーー蒼いと表現するに相応しい、双眸。
この色もまた、間違い無くあの男が我が子に残した面影だった。
 
纏っていた憎悪を脱いだそれは本当に年相応で饒舌で、奴の心中を逐一私に伝えてきた。
 
 
ーーふむ。ならば気の済むまで見るといい。そして納得して、決めるといい・・・。
 
 
 
流石にJr.が一体何について告げる事を迷っているのか。それは私にも分からなかった。
だが今はただ此奴の決断を待つのが最善だと確信していた。
 
 
 
 
 
 
ふと、小さな雲が太陽に重なったせいで、微かに周囲が陰った。
 
それが何かの合図になったのか。
Jr.は大きく息を吸いそして吐くと、傍らに置いてあった上着に手を伸ばし、その胸ポケットから先日私が返した銀の鎖を取り出した。
 
 
ただ、私が返したのは一つだった。
しかし奴の手には、全く同じ二つのそれが下げられていた。
 
 
「あんたはこれを返してくれた。だから、礼をしねぇとな」
「礼など無用だが・・・それは?」
「うん、一つはあんたが持っててくれたやつ。で、もう一つは俺の」
「・・・」
「ファ・・・親父と俺を繋ぐ、俺にとってすげぇ大事な物。だから・・・探した。帰って来た親父の体も、部屋も。思いつく場所全部」
「・・・」
「でも見つからなかった。きっと失くしたんだってーーそう納得するのは嫌だった。俺が知ってる親父がこれを失くす訳が無かったから・・・」
「・・・」
 
 
遮る雲が去り、再び陽光が強く照らした。
 
 
小さく揺れる鎖がその光を反射して複雑に輝いていた。
それを眺めながら、独り言のように言葉を紡いでいたJr.だったが、程なく私に向き直ると零(こぼ)れるような笑顔を見せた。
 
 
「ありがとう」
「何?」
「ちゃんと言ってなかった気がするからさ。返してくれて・・・感謝してる」
「ああ・・・いや、改めてすまなかったな。長い時間苦しめて、悪かった」
「いいよ。確かに辛かったけど・・・でも、お陰であんたがどんな奴なのか分かったし。今更俺が言うのも変だけど、あんたって、結構いい奴だったんだな」
 
 
自分が殺した男の子供に真っ直ぐそんな風に言葉を掛けられ、私はどんな顔をすれば良いのか分からず、つい狼狽(うろた)えた。
 
そんな自分の様子に小さく肩を揺らして笑ったその子供は、手にしていた鎖を再び仕舞うと静かに立ち上がった。
 
 
「で、本題だけど・・・あんた、知りたがってたよな。ファ・・・親父の事。親父が何で、あんな狂った殺意を持ってたのかって事」
「あ、ああ・・・」
「上手く説明出来るか分かんねぇから・・・。あんたになら、見せてもいいかな」
「?」
 
「見てからの方が分かると思う。親父の・・・親父と俺の、秘密。一族だけの、徽章の秘密・・・」
 
 
 
Jr.はそう言いながら、被っていた軍帽に手を掛けた。
話の展開を測りかね沈黙するより他無かった私に構う事なく、Jr.は軍帽を小脇に、続けて顔以外を覆っていたサポーターのような物も外した。
 
見事な白金に近い金の髪が再び面前に晒される。
太陽の下、改めて何処までも白い男だと思った。
 
 
「ここに付けてる徽章。俺の一族の男は、十八になったらこれをもらうんだ」
「成人の証・・・か?」
「いや、全員じゃない。七つになったら親元を離れて、訓練を受けるんだ。色々な訓練をして、鍛えて。で、それを全部クリアした子供だけがこの徽章を貰える」
「精鋭のみが得られる名誉、という訳か」
「名誉・・・まあ、名誉と言えば名誉かもしれねぇな。もう今、これを持ってるのは俺以外にあと三人しか居なくなったし・・・。そんな事、一度も思った事無かったけど」
 
 
それが具体的にどの様な訓練なのかは分かりかねた。
しかし少なくとも、その訓練を乗り越え徽章を手にする事は、胸を張るべき事柄に思えた。
 
にも関わらず、それを話す奴の顔は言葉を重ねれば重ねる程、憂いを帯びていった。
 
 
「確かにあんたの言う通り・・・一族にとっては、名誉かな。でも、俺はどうでも良かった。何も知らないまま親父から離されて、で、もう一度会うにはこれを手に入れるしか手が無かったから」
「・・・」
「あんなに長いなんて、知ってたら離れなかった。って言っても、親父は頭首だから自分の子だけ免除なんて出来る訳ねぇんだけど、でも・・・」
「・・・」
「でも、だからこそ、俺はやるしか無かった。途中で運悪く死んだ子供も沢山見た。でも絶対もう一度ファ・・・親父に会いたかったから。超人にならないと、親父に会えなかったから」
「・・・なる?どういう意味だ?」
 
 
 
そう言い終わるや否や、Jr.は手にした軍帽を屋上の端に向かって投げた。
 
 
まるで意思を持っているかのように、その軍帽は回転しながら空に弧を描き、そして手摺りのすぐ手前の床に落ちた。
 
 
つられて振り返り、その軌跡を目で追った。
そして再び奴に向き直ると、そこには、驚くべき光景が待ち構えていた。
 
 

導き(3)

2019-06-13 22:06:00 | 小説/導き
 
 
 
言葉を失う。
 
その言い回しは正に、今の自分こそを表していた。
 
 
 
目の前には変わらぬ立ち位置でこちらを見るJr.が居た。
しかし、そこにはもう、私が知る奴の姿は何処にも無かった。
 
 
鍛えられたーーだがそれだけの、何処からどう見ても唯(ただ)の人間の姿。
 
 
「な・・・お前・・・」
「そう、これが秘密。親父も俺も、元は人間なんだ」
 
 
身長は同じ。しかしあれだけ張り詰めていた筋肉はひと回り小さくなり、巻いていた包帯がすっかり緩んでしまっていた。
そして何より、その身から感じる気配が明らかに超人のそれではなくなっていた。
 
 
ーー人間が超人に・・・。馬鹿な、そんな事が・・・。
 
 
さっき急に奴が黙り込んだ理由が分かった。
 
若さの割に傷の回復が遅いのも、肉体と比べてそれを支える骨が細かったのも。全ては元人間であるが故の欠点だったのだ。
 
 
 
ただ呆然と、夢のようなその光景を見ていた。
 
それなりに知識はある方だと自負していた。
しかし人間が超人になるなど、それこそ夢物語にすら書かれていないであろう事態だった。
 
 
緩んでずれてしまった包帯が不快になったのか、Jr.はぞんざいな手付きでそれらを解いた。
いつの間にか、肩の刺青は跡形も無く消えていた。
 
 
 
「はは・・・やっぱ驚いた?」
「あ・・・ああ」
 
 
私の絶句が余りに長かったからだろうか。
Jr.はたまりかね、その口から苦笑を漏らした。
 
 
「見ての通り。俺達一族は皆、元々は人間なんだ。訓練して、鍛えて・・・。そして一定の力を備えた者のみ、徽章によって超人になれるって訳」
「そう、か・・・その為の訓練なのだな」
「うん。あと今、俺の肩も腕も白いだろ。刺青は超人の体だっていう目印・・・証拠?なんだ」
 
 
言葉は出るようになってきたものの、しかし未だ動揺が収まらない私は、奴の肩にそっと触れてみた。
組み手をしていた時とは何処か違う感触。
だが確かにそれは聢(しか)と存在していた。
 
 
 
 
 
 
結局、その動揺はなかなか身の内から去らなかった。
 
しかし何度も自分の目で見て、そして触れるうちに、漸(ようや)く実感として捉えられる程度には落ち着いてきたのだった。
 
 
「すまないな、本当に驚いた・・・。それで、つまりこの事がお前の父の狂気の理由でもあると?」
「そう。俺達は徽章で超人になれる。けど、それで終わりじゃなくて、更に大きな力を得る為には、誰かを殺さないと駄目なんだ。殺して、そいつの血を浴びて・・・。でも、きっと罰なんだろうな。代わりに少しずつ、狂うんだ」
「何?それでは・・・」
「ファ・・・親父は、それこそ数え切れないくらい殺した。俺と離れてる間ずっと。俺を待ってる間・・・」
「・・・」
「ずっと親父に会いたかった。親父もちゃんと待っててくれた。でもそれは余りに長い時間で・・・それで親父は狂った。やっと会えた俺を、その手でつい、殺そうとするぐらい・・・」
「ブロッケン・・・」
「気づいたら親父は居なくなってた。俺から離れる為に」
「分かった、もういい・・・」
「死んだ・・・きっと、俺を、その手で本当に殺してしまう前にーー」
 
 
 
私への凄まじいまでの怨恨と復讐心。
 
だが、それほどの感情をもってせねば、この悲しい過去ーー事実ーーを覆い隠す事は出来なかったのだろう。
 
 
「すまない。またお前に辛い思いをさせてしまったな・・・」
 
 
最後は絞り出すように。まるでこれは自分の罪だと言わんばかりに苦しげに話したJr.の肩に、そっと手を置いた。
 
 
もちろん、この未聞の現象についてはまだまだ尋ねてみたい事が山程あった。
 
その徽章はいつから存在するのか。
訓練は具体的にどんなものだったのか。
そして、そもそもお前の一族とは、一体何なのかーー
 
 
だが今はそんな事よりも、俯き悲しむ目の前の子供を少しでも楽にしてやりたいと思った。
 
 
 
また、私の中で何かが芽生えた。