![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/33/048d7c3ae0947069e300af552e23b7cf.jpg)
テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン
『いろは』
え〜、昔ア、手習いといいますと、
いろはにほへと・・から教えられたものでして、
これで字を覚えます。
仮名が一通り覚えられますので、
こんな便利なものはありません。
しかも、単なる文字の羅列じゃなくて、
ちゃんとした意味の有る詩(うた)になっていて、
しかもですよ、仮名が一回ずつ全部折り込まれてるってんですから、
これを作った人は、天才的でございます。
えェ、作った人は誰?
弘法大師じゃあないか?って言われてますが、
確かな証拠は無いそうでございます。
八 「和尚さん、あっしゃァ、この歳になって、
やっと『いろは』が全部書けるようになりやした」
和尚 「ああ、それはよかったなあ」
八 「だけどねえ・・、これなんか呪文みたいでやんすね」
和尚 「ははは・・、これは呪文ではない」
八 「じゃあ、お経かなんかで・・?」
和尚 「お経ではない・・」
八 「じゃあ、何なんです・・?」
和尚 「何でもない・・、いや、これは詩だな」
八 「何んで、こんなわけのわからないのが詩なんです・・?」
和尚 「わけは、ちゃんとあるんだ・・よいかな、
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
・・・となっておるな」
八 「へえ・・?」
和尚 「まず、いろはにほへとちりぬるを・・だが、
・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ、『いろは』てえ花魁(おいらん)が、やな客に屁(へ)をこいて、
顔に塵(ちり)をぬりたくった・・?」
和尚 「いや、そうではない。これは、『色は匂へど 散りぬるを』といってな、
香りよく色美しく咲き誇っている花も、やがては散ってしまう・・
『いろは』
え〜、昔ア、手習いといいますと、
いろはにほへと・・から教えられたものでして、
これで字を覚えます。
仮名が一通り覚えられますので、
こんな便利なものはありません。
しかも、単なる文字の羅列じゃなくて、
ちゃんとした意味の有る詩(うた)になっていて、
しかもですよ、仮名が一回ずつ全部折り込まれてるってんですから、
これを作った人は、天才的でございます。
えェ、作った人は誰?
弘法大師じゃあないか?って言われてますが、
確かな証拠は無いそうでございます。
八 「和尚さん、あっしゃァ、この歳になって、
やっと『いろは』が全部書けるようになりやした」
和尚 「ああ、それはよかったなあ」
八 「だけどねえ・・、これなんか呪文みたいでやんすね」
和尚 「ははは・・、これは呪文ではない」
八 「じゃあ、お経かなんかで・・?」
和尚 「お経ではない・・」
八 「じゃあ、何なんです・・?」
和尚 「何でもない・・、いや、これは詩だな」
八 「何んで、こんなわけのわからないのが詩なんです・・?」
和尚 「わけは、ちゃんとあるんだ・・よいかな、
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
・・・となっておるな」
八 「へえ・・?」
和尚 「まず、いろはにほへとちりぬるを・・だが、
・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ、『いろは』てえ花魁(おいらん)が、やな客に屁(へ)をこいて、
顔に塵(ちり)をぬりたくった・・?」
和尚 「いや、そうではない。これは、『色は匂へど 散りぬるを』といってな、
香りよく色美しく咲き誇っている花も、やがては散ってしまう・・
という意味だな。
つまり、諸行無常(しょぎょうむじょう)を言っている」
八 「へえ〜、なるほど・・お坊さんの詩とは知らなかった」
和尚 「では、わかよたれそつねならむ・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ、我がよだれをたらしても、つねるな・・ってんでしょ?」
和尚 「いや、そうではない。これは、『我が世誰そ 常ならむ』といってな、
この世に生きる誰もが、いつまでも生き続けられるものではない・・
つまり、諸行無常(しょぎょうむじょう)を言っている」
八 「へえ〜、なるほど・・お坊さんの詩とは知らなかった」
和尚 「では、わかよたれそつねならむ・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ、我がよだれをたらしても、つねるな・・ってんでしょ?」
和尚 「いや、そうではない。これは、『我が世誰そ 常ならむ』といってな、
この世に生きる誰もが、いつまでも生き続けられるものではない・・
という意味でな、
つまり、是生滅法(ぜしょうめっぽう)を言っている」
八 「へえ〜、なんだか、寂しい詩でやすね・・」
和尚 「では、うゐのおくやま けふこえて・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ〜、だんだん難しくなってきやがったな・・
上の階に住んでる奥山さんて人が、きょう手すりを超えて逃げた・・」
和尚 「どうも、おまえさんの答えは頓珍漢だな。
これは、『有為の奥山 今日越えて』といってな、
この無常の、有為転変の迷いの奥山を今乗り越えて・・という意味でな、
つまり、生滅滅己(しょうめつめつい)を言っている」
八 「へえ〜、すごい山があるんでやすね・・」
和尚 「では、あさきゆめみしゑひもせす・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ〜、難問でやすねえ!?
朝、酒が運ばれてきた夢を見たけど、
夢だから酔っぱらわなかった・・」
和尚 「まったくもって、おまえさんの答えは珍答のオンパレードだな。
これは、『浅き夢見じ 酔ひもせず』といってな、
悟りの世界に至れば、もはや儚い夢を見ることなく、
現象の仮相の世界に酔いしれることもない安らかな心境である・・
つまり、是生滅法(ぜしょうめっぽう)を言っている」
八 「へえ〜、なんだか、寂しい詩でやすね・・」
和尚 「では、うゐのおくやま けふこえて・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ〜、だんだん難しくなってきやがったな・・
上の階に住んでる奥山さんて人が、きょう手すりを超えて逃げた・・」
和尚 「どうも、おまえさんの答えは頓珍漢だな。
これは、『有為の奥山 今日越えて』といってな、
この無常の、有為転変の迷いの奥山を今乗り越えて・・という意味でな、
つまり、生滅滅己(しょうめつめつい)を言っている」
八 「へえ〜、すごい山があるんでやすね・・」
和尚 「では、あさきゆめみしゑひもせす・・だが、・・どんな意味だと思うかな?」
八 「へえ〜、難問でやすねえ!?
朝、酒が運ばれてきた夢を見たけど、
夢だから酔っぱらわなかった・・」
和尚 「まったくもって、おまえさんの答えは珍答のオンパレードだな。
これは、『浅き夢見じ 酔ひもせず』といってな、
悟りの世界に至れば、もはや儚い夢を見ることなく、
現象の仮相の世界に酔いしれることもない安らかな心境である・・
という意味でな、
つまり、寂滅為楽(じゃくめついらく)を言っているんじゃ」
八 「へえ〜、悟りの詩でやすね・・。 では、『ん』てのは何です?」
和尚 「そ、それか・・それはだな・・、ちょっと厠(かわや)へ行ってくる」
八 「ん・・は便所のことか・・・」
・・・いろはでございました・・・
つまり、寂滅為楽(じゃくめついらく)を言っているんじゃ」
八 「へえ〜、悟りの詩でやすね・・。 では、『ん』てのは何です?」
和尚 「そ、それか・・それはだな・・、ちょっと厠(かわや)へ行ってくる」
八 「ん・・は便所のことか・・・」
・・・いろはでございました・・・