露№1 「無味無臭」勇猛果敢な突撃音《ヴァレリー・ポノマレフ(tp)》

「飾りっ気無し・格好付け無い・臭いも少ない」。

勇ましい音が突撃ラッパのように突進する。

米露冷戦下で育った「ロシアン・トランペッター」。

①『ミーンズ・オブ・アイデンティフィケイション』(85)
《Means Of Identification/Valery Ponomarev》
ヴァレリー・ポノマレフ(tp)、ラルフ・ムーア(ts)、ヒデキ・タカオ(p)、
デニス・アーウイン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。

ロシア生まれのジャズマンは珍しい。
米露冷戦下で「アメリカ資本主義」ジャズを露で独学後渡米し活動。
 

このレコード、H.バップド真ん中の優れモノ。
ポノマレフは良く唄い、アドリブが綺麗に流れていく。
飾りっ気が全く無い、ハイトーンで欲張って格好付けたりもしない。
 

オリジナルのハイテンポな曲が多く、勇ましいテーマで勢いがある。
太く・自然体で力強く、勇猛果敢に突き進み、アッという間に何曲も進む。
だが、全てのオリジナル曲が同じイメージで、ジャズ特有の臭いが少ない。

ドラムが叩きつける「パカン、バカン」のリムショットの刺激で飽きない。
「無味無臭の勢い」、これがロシアン・トランペッターの特徴か。

 

クリフォード・ブラウンに憧れ、本場USで活動。
だからか「I Remenber Cliford」はテクを駆使し訴えるように吹きまくる。

少し音数が多く、ヤカマしい嫌いはあるが。

自分の取り得を活かしきったオリジナル曲で勇猛果敢に吹き鳴らす。
「活きの良さ」が発揮されたH.バップ・ド真ん中の優れモノだ。