怪獣たちが住む永遠に夜の京都を舞台にしたファンタジー小説です。
怪獣のゴンスが二条城を歩いていたら、背中に白い羽根がある女性(人間)が倒れていた。
その女性は記憶がなく、白いかえるを探しているという。
ゴンスと倒れていた女性、小日向は白いかえるを探しに夜の京都を散策する。
これだけ書くと、物凄くファンタジーで、何なら、森見登美彦先生風の京都の不思議で楽しいお話なのか?と出だしは思いましたが、結構重たい話です。
6個何かを集めると何らかの世界ができる。
例えば、京都には空があり、地面があり、東西南北がある。これで京都という世界は成り立っているというように、6個、何かを集めたら何らかの世界ができるでしょ?
という感じで、世界は六面体でできているのかもしれない。
しかし、自分の世界を作るのは怖いのか、なぜか最後の6個目を見つけるのは難しい様子の2人。
そんな2人がビボう六として見つけたものとは?
この作品を読み終えて思ったことは、実はあの人おかしいんじゃないの?あなた、大丈夫なの?と思う異常なことが実はその人の拠り所になっているということもあるということです。
ヒロイン小日向の生い立ちなどを読んでいると、なんというか、言い方が悪いですが、私の生い立ちが幸せなのかまぁまぁクソな人と関わっています。
でも、小日向や相手にとってはそれが1番幸せを感じられる状態だったりします。
周りからみたらおそらく共依存で危ない状態。なんで気がついて逃げたり助けをよんだりしないのか?という疑問すら湧く人、この作品の小日向みたいな話も聞くし、愛されていない、他人ばかりが羨ましくて自分は生きていてもなんの意味もないと感じる人など私達の現実の世界では溢れています。
そんな世界で、私の価値観でははかれない、異常な状況にこそ幸せを感じられる。そういう人もいるということなんだろうなと思いました。
そして、誰からも愛されていない、誰からも必要とされていないと、自己肯定感のない人にはどうかわかっていて欲しい。
あなたがただそこにいて笑顔でいてくれるだけで幸せだと感じてくれる人がいるということ。
あなたが羨ましいと感じているあの人は以外とあなたと同じように人から愛されたいと思っているかもしれないということを。
そこの角を曲がれば良いことがあるかもしれない
今が辛い、しんどいと思うなら、真っ直ぐ先に見えている何かに向かうよりは、そこの角を曲がるくらいの軽い気持ちでちょっと気分をかえて曲がってみれば新しい世界が見えるかもしれない。
6つの大切なものを探してみよう。
そして大切なものはビボう六にとどめておきましょう。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
読後、いろいろなことを考えてじわじわと涙が出てきた作品です。
喫茶ソワレには行ってみたいなと思いました(笑)
あと、大垣書店で購入すると特典として作中のマップがついてきます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます