イスラエル軍元兵士として空軍のパイロット候補生にもなったことのあるダニーさんが語る非戦論。
詳細や内容は本書を読んでほしいと思いますので省略しますが、太平洋戦争を兵隊として務めたことのない人がほとんどで、何なら自分の祖母世代がギリギリ空襲を体験したくらいの今の世代にとって、徴兵制があった日本、原爆が投下された唯一の国日本、たくさんの人々が戦争で犠牲になったことは記録や学校で習うことはあっても、イマイチ実感が湧かないもの。
私もそんな1人です。
語り手であるダニーさんは、イスラエル出身で、ユダヤ人。
ナチスにより数え切れないほどの多くユダヤ人がユダヤ人であるという理由だけで収監され、大量虐殺を受けた民族です。
そんな歴史をもつ彼らが、今や、お茶の間のニュースで聞かない日はないであろうガザ地区に武力行使をし、多くのパレスチナ人を殺害している。自分たちの国を守るという名目のために。
そして、イスラエルとパレスチナの話だけの話ではないということ。
実は日本も同じような道を辿る可能性も十分にあるということです。
日本も、世界で唯一、核爆弾を戦争に使われて、核により死者を出した国です。
そんな国で、核の脅威を知っているはずなのに、今や防衛のために核を持つべきだと主張する人もいる。
防衛のためならば、敵の基地を先制攻撃することも可能ということまで議論しています。
理由は、いつかロシアや中国あるいは北朝鮮がアメリカと戦争状態になり、日本が戦争の舞台になるかもしれないから防衛しないといけないため?です。
しかし、本当にそんなことが必要なのか?武器も必要なのか?
その武器で相手国のなんの関係もない一般人が、老若男女や子供が死ぬかもしれないというのに。
本書はこれから日本で起きることなのかもしれない話として読んでいただきたいなと思います。
さて、そんな本書で私が思ったのは、ダニー氏の言うことももっともだなと思うのですが、私も幼い頃には勧善懲悪の仮面ライダーや地球の平和を守るために戦う戦隊モノを見てきたせいか、もし、他所の国が日本に武力侵攻してきたら、自分の家族を守るために何ができるだろうか、侵攻を食い止め追い返すために戦うことを選択しそうだなと思いました。
私の愛国心なんか、サッカーやオリンピックの時などに日本代表を応援する程度のものですが、それでも自分が住んできた土地を武力で他所の国の人に奪われるのは耐えられないと思います。
そして、私の愛する人たちが奪われたら、当然報復する、もしくは相手にも同じ気持ちを味あわせたいなと思うだろうなと。
そう思うせいか、論理的ではなく感情的に私自身は100%賛同はできないなと読んでいて思うところです。
しかし、私自身も選挙にいくものの、今の日本の政治には期待していない、誰が政権でも良いし、自分の生活によほど何かが起こらない限り、このままでも良いという無関心なところがあります。
でも、本当に私達が平和を望むのであれば、平和を実現する国のリーダーを育てあげないといけないなというのは本当にその通りで、それができるのは選挙権をもつ一般市民である我々だということはしっかりと認識しないとなと思いました。
そして、今の私ができることは、もっと政治に関心をもって政治の話を忌憚なく話し合うこと。
戦争を始めるのは国ですが、戦争のない世界を実現するためには、その国民たちの相手の国に対する想像力と持っている選挙権の行使なのかもしれません。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
この本を読んでいて、理想論だよなぁと思いながら、理想を追求することが何が悪いのかとも思いました。
平和ボケと言われるかもしれませんが、平和ボケの今の日本人だからこそ非戦論もあり得るのかもしれないと思います。
本書に書かれていることは決して今のイスラエルの話だけではないということなんだろうなと思いました。