沖縄対策本部

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沖繩対策本部長■1・14台湾総統選挙と反国家分裂法(下)

2011年11月26日 17時38分42秒 | 米中関係

 

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■1・14台湾総統選挙と反国家分裂法(下

 

中国側が両岸関係を推進する根拠となっているのが、中国政府が2005年3月14日に施行した「反国家分裂法」です。

<PDF版 反国家分裂法(全条文日本語訳)>

http://p.tl/KeSl

 


<反国家分裂法 第1条>

 「台湾独立」を掲げる分裂勢力による国家分裂への反対・抑制祖国の平和統一の促進、台湾海峡地域の平和・安定の保護、国家主権と領土保全の保護、中華民族の根本的利益の保護のため、憲法に基づいて本法を制定する。


 

このように、いきなり「台湾独立派」を分裂勢力と決めつけています。

両岸関係の具体的な内容については第6条に書かれています。

 


<反国家分裂法 第6条>

国は次のような措置をとり、台湾海峡地域の平和と安定を保護し、両岸の関係を発展させていく。

(1)両岸の住民の往来を奨励、促進し、理解と相互信頼を深める。

(2)両岸の経済面での交流と協力、直接の通信通航通商両岸の経済関係の緊密化、互恵と利益共有を奨励、促進する。

(3)両岸の教育・科学技術・文化・衛生・体育での交流を奨励、促進し、中華文化の優れた伝統をともに発揚する。

(4)両岸による犯罪の共同取締りの奨励・推進。

(5)台湾海峡地域の平和と安定の保護や、両岸関係の発展に役立つその他の活動の奨励・推進。 



中国政府は、2005年にこのような両岸政策(つまり台湾政策)に関する法律をつくっていたのです。

そして、馬英九は両岸関係の改善を公約にして総裁選挙に出馬し、2008年12月15日には中国との間で「三通(通信通航通商)」を実現させたのです。

これにより、台湾経済の中国依存が強まったといえます。中国共産党特異の美辞麗句で飾っていますが、その本質は、台湾への経済的、文化的侵略です。

中国政府は、台湾に向けたミサイルを数百発以上配備しながら、「両岸関係の発展」という言葉を利用して、台湾を篭絡(ろうらく)し着々と台湾統一を進めてきたわけです。

つまり、王毅・国務院台湾事務弁公室主任の「両岸関係の後退を容認しない」という主張の本音は、例え民進党の蔡英文氏が当選したとしても、決して台湾統一を妨げることは許さないということです。

中国政府の最終的な台湾統一に関する本音は、反国家分裂法の第8条を読めばわかります。

  


<反国家分裂法 第8条> http://p.tl/KeSl

「台湾独立」を掲げる分裂勢力がいかなる名目、いかなる形であれ台湾を中国から分裂させるという事実を引き起こした場合、または台湾の中国からの分裂を引き起こす可能性のある重大な事変が引き起こされた場合、または平和統一の可能性が完全に失われた場合は、国は非平和的手段やその他の必要な措置をとり、国家主権と領土保全を守らなければならない。

上述の規定に基づいて非平和的手段やその他の必要な措置を講じる場合、国務院と中央軍事委員会が決定と実施手配を行い、適時に全国人民代表大会常務委員会に報告する。


 

この条文によると、来年1月の総統選挙で民進党の蔡英文氏勝利をし、両岸関係の見直しを主張すると国家分裂勢力とみなし、武力行使の選択の可能性があるという事になります。

民進党は、台湾は既に主権を持つ独立国家であるというスタンスを持っていますが、今回の選挙で蔡英文氏は、どのような主張をしているのでしょうか?


国民ネットワークニュースの日本語版に二人の候補者の政策を整理してまとめた表がありました。

 

<国民党ネットワークニュース>

http://p.tl/bGTr

<両岸関係>

表には記載されていませんが、他の情報によると蔡英文氏は、「92年コンセンサス」の存在そのものを否定してます。

当選後、実際に政権に就くまでの間に積極的に中国政府と対話を求めるとしていますが具体的な事は書いていません。



<対米関係>

「台米の新しい戦略関係を樹立し、不均衡の両岸関係発展を調整する」と記載されています。

これは、外交の軸足を中国から米国に移すという意味です。対中依存度が高すぎるので、米国に比重をシフトしていくということを言っているのだと思います。

東アジアサミットにて新しい米中冷戦が始まった中、米国への軸足を移すという明確なスタンスは極めて賢明な判断だと思います。


TIFATPP

 「台米経済貿易協力協定の締結とTPP参加をめぐり米国の支持に期待する。」と記載されています。

経済的にも、中国依存を脱し、米国との関係を深めるという方針を感じさせます。


以上、蔡氏の主張は、中台統一をすすめる両岸関係を見直し、台米関係を進めると主張していることがわかりました。

問題は、中国政府が蔡英文氏を「国家分裂勢力」とみなしての第8条を適用して武力を使うかどうかということです。

現時点では、はっきりした事はわかりませんが、危険性があることだけはいえると思います。

武力行使をした場合は、日本にとってもシーレーンを失うという国家的危機が訪れる事になります。

今後、警戒心を持って情報を集める必要があると思います。


一方、米国は実質的に台湾と軍事同盟の関係があり、中国の台湾侵略を牽制しています。

その根拠となっているものが「台湾関係法」です。

 


<台湾関係法(たいわんかんけいほう)>

http://p.tl/JHBp

英:Taiwan Relations Act略称 TRA)は、アメリカ合衆国法律中華民国台湾)に関するアメリカ合衆国としての政策の基本が定められている。事実上のアメリカ合衆国と台湾(中華民国)の軍事同盟である。(途中省略) 米国の政府と議会とも、東シナ海の軍事バランスを維持するために、自由主義陣営の一員(当時の中華民国は国民党一党独裁で、反共主義としての自由主義陣営)としての中華民国(台湾)をその後も防衛する必要は感じており、また中華民国政府(民主党とほぼ唯一のパイプであった許國雄僑務委員会顧問)や在米国台湾人(台湾独立派を含む)からの活発な働きかけもあって、台湾関係法が1979年に制定された。

アメリカ合衆国は国内法規である台湾関係法に基づき、中華民国(台湾)への武器売却などにより中華人民共和国を牽制している。



台湾関係法の条文は、李登輝の会のサイトに掲載されています。関心のある方はご参照ください。

 

<PDF版 台湾関係法条文 > http://p.tl/sqjp

 

中国は、「反国家分裂法」に基づいて台湾の統一を目剤しています。そして、米国は「台湾関係法」に基づいて、西太平洋の安定、中国の台湾への武力行使を牽制しています。

このような中で、来年1月14日に行われる台湾総統選は、その米中が衝突する可能性があるという事です。

更何故なら、東アジア情勢は、戦後かつて無いほど緊迫しているからです。

以前述べたように東アジアサミットで米国は電撃的い中国包囲網をつくりあげ、中国はをそれに反発しています。

実質的に冷戦が始まったと言っても過言ではありません。

また、日本では尖閣諸島をめぐる衝突があります。

つまり、次回の総統選は戦後最も緊迫した中で行われるわけです。

そのような中で、私たち日本は、国家の舵取りを誤らないように米中の動きに神経を集中しなければなりません。

2012年は、日本にとってはサバイバルの年だといえます。

 

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沖繩対策本部長■1・14台湾総統選挙と反国家分裂法(上)

2011年11月26日 01時50分36秒 | 米中関係

 

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■1・14台湾総統選挙と反国家分裂法(上

 

来年1月14日に台湾総統選挙が行われます。4年ごとに行われる台湾総選挙は、中台関係に最も影響を与える重大イベントです。

いま、耳に入ってくる情報では民進党の蔡英文氏が優勢のようです。

中国よりの現総統の馬英九が落選し、民進党の蔡英文氏が勝利する事は、中国の台湾統一にブレーキがかかる可能性が高いので、望ましい事といえます。

しかし、その時に中国政府はどう動くのか、そして、現在中国包囲網を作った米国はどう動くのかが非常に気になります。

米中の動きを理解するには、米中の台湾をめぐる基本的な方針である、「反国家分裂法」や「台湾関係法」が現在の台中関係においてどのような意味があるのかを理解する事が必要だと思います。

まず、最近のニュースでどのような状況か確認してみましょう!



<台湾総統選 馬氏苦戦 中国「慎重介入」を模索>

(産経新聞 2011年11月25日(金)08:00)

http://p.tl/fg2j

 【北京=矢板明夫】台湾の総統選挙で、政権奪還を目指す最大野党・民主進歩党(民進党)の蔡英文主席が支持率を伸ばしていることに中国当局が焦りをみせている。公式には「台湾の選挙に介入しない」との立場を強調しているが、要人発言などを通じて台湾世論に揺さぶりをかけ、中国に滞在する台商(台湾ビジネスマン)に対し、親中派の馬英九総統への支持を促すなど、水面下で激しく動き始めた。

 駐日大使を務めたこともある中国の台湾担当の閣僚、王毅・国務院台湾事務弁公室主任は17日、重慶で開かれた台湾ウイーク開幕式で、「『92年コンセンサス』の否定を容認しない」「両岸関係の後退を容認しない」などと中台関係の将来について「4つの容認しない」を言明した。

 「92年コンセンサス」とは、中国と台湾当局が1992年に国号の解釈をそれぞれに任せたうえ、大枠で「一つの中国」を確認するとした合意の通称だが、独立志向の民進党は「92年コンセンサス」の存在を否定している。

 王主任の談話は台湾の総統選挙に直接触れていないとはいえ、民進党候補が当選すれば、中国はこれまでの対台融和政策を改め、厳しい対応で臨む可能性があるとの考えを示したものだ。

 王主任は14日の玄葉光一郎外相との会談でも「両岸関係は前向きに進んでいる。現下の趨勢(すうせい)に対する日本の支持を得たい」とも述べていた。

 胡錦濤国家主席も今月に入って「92年コンセンサス」の重要性について言及している。一連の発言は中台関係の悪化を懸念する台湾の浮動層への働きかけとみられる。

また、中国に滞在する約100万人の台商に対し、中国当局は親中的な台湾人組織を通じて投票参加を促している。「馬総統のために一定数の票をまとめれば、中国での商売で便宜を図る」と直接言われた台商もいるという。

 しかし、中国政府は表では「台湾の選挙に介入しない」(台湾事務弁公室報道官)との立場を崩していない。介入したことが公式に確認されれば、台湾人の反中感情を刺激し、蔡主席有利に働くとの判断がある。

 中国は96年の総統選挙前に大規模なミサイル演習を行い、2000年の選挙前には「台湾への武力行使」をにおわす「台湾白書」を発表するなど台湾の有権者を“威嚇”したが、いずれも逆効果で、中国当局が嫌う独立志向の李登輝氏、陳水扁氏が勝利した。こうした「教訓」から、中国当局は今回、慎重な介入を模索している。

 


 

上のニュースの最後に、人民解放軍は96年に大規模なミサイル演習を行ったとあります。それは、「台湾海峡ミサイル危機」と呼ばれております。

どのような事件だったのかウィキペディアにて確認してみましょう。

 

(1996年の台湾海峡危機時の中国大陸軍事演習およびミサイル試射地点)


<台湾海峡ミサイル危機>(ウィキペディアより)

http://p.tl/dcpg

1996年に行われた台湾総統選挙で李登輝優勢の観測が流れると、中国軍は選挙への恫喝として軍事演習を強行した。基隆沖海域にミサイルを撃ち込むなどの威嚇行為を行ない、台湾周辺では、一気に緊張が高まった。人民解放軍副総参謀長の熊光楷中将は、アメリカ国防総省チャールズ・フリーマン国防次官補に「台湾問題に米軍が介入した場合には、中国はアメリカ西海岸に核兵器を撃ち込む。アメリカは台北よりもロサンゼルスの方を心配するはずだ。」と述べ、米軍の介入を強く牽制した。

アメリカ海軍は、これに対して、台湾海峡に太平洋艦隊の通常動力空母「インデペンデンス」とイージス巡洋艦「バンカー・ヒル」等からなる空母戦闘群(現 空母打撃群)、さらにペルシャ湾に展開していた原子力空母「ニミッツ」とその護衛艦隊を派遣した。その後米中の水面下の協議により、軍事演習の延長を中国は見送り、米国は部隊を海峡から撤退させた。その後中国軍(1996年当時、主力戦闘機はSu-27やJ-8やJ-8Ⅱ)は軍の近代化を加速させている。(つづきはこちら) http://p.tl/dcpg


 

演習の動画も御覧ください。

派手な演習ではありますが、この時の人民解放軍の能力では、台湾海峡に派遣された米空母に対して何も出来ず撤退するしかありませんでした。

その時の悔しさを教訓として急激な軍隊の近代化、特に海軍力や空母キラーといわれるミサイルなどの開発、増強に力を入れ続けたきたのです。



<Taiwan Strait Crisis,CPLA Military Exercises 1996>


 

台湾の総統選挙とは、このような事態が起きるぐらい、中台関係に対して重要なイベントだという事が理解いただけたとおもいます。

冒頭の産経新聞の記事で中台関係について最も重要なのは、王毅・国務院台湾事務弁公室主任が「4つの容認しない」発言です。

最初の容認しない「92年コンセンサス」という言葉が出てきます。これは、中国では九二共識とよばれています。ウィキペディアの解説を転載いたします。



<九二共識)>(ウィキペディアより)

http://p.tl/Yj2k

九二共識(きゅうにきょうしき)は、中国と台湾の当局間で「一つの中国」問題に関して達成したとされる合意の通称である。名称は、中国側窓口機関海峡両岸関係協会と台湾側窓口機関海峡交流基金会が1992年に香港で行った協議に由来し、2000年4月に台湾の行政院大陸委員会主任委員蘇起が名付けて公表した。日本では92コンセンサス、92年コンセンサス、92年合意などと訳される。

合意内容について、台湾側の主張は「双方とも『一つの中国』は堅持しつつ、その意味の解釈は各自で異なることを認める」(いわゆる一中各表)であり、中国側の主張は「双方とも『一つの中国』を堅持する」(いわゆる一中原則)であるため、必ずしも一致していない。

1949年、中国の国共内戦を経て中国大陸を掌握した中国共産党が中華人民共和国を樹立し、中国国民党の指導する中華民国(国民政府)は台湾・台北に遷都した。その後、中台双方の政権は長年、互いに相手を「反乱団体」と呼び、「二つの中国」は絶対に認めず「中国統一」を目指すという立場を堅持しながら対峙してきた。

1980年代後半に中台間の民間交流が一部解禁されたのに伴い、1991年に中台双方が民間の形式で窓口機関を設立(中国側:海峡両岸関係協会、台湾側:海峡交流基金会)、当局間の実務交渉が始まった。当初、中国側は「一つの中国」原則を協議事項に入れるよう強く要求したが、台湾側は「中国とは中華民国である」とする立場を譲らず拒否した。しかし、1992年の香港協議を通じて「一つの中国」原則を堅持しつつ、その解釈権を中台双方が留保する(いわゆる一中各表)という内容で口頭の合意が成立したという。これが九二共識といわれるものである。 (つづきはこちら)http://p.tl/Yj2k


 

「一つの中国」原則を堅持しつつ、その解釈権を中台双方が留保するというのは、それぞれ解釈が異なるので、実質的にはコンセンサスは無いといえます。

また、このコンセンサスは口頭ベースでの合意ということですので、明確な定義を確認することも難しいと思います。

しかし、今頃になって中国政府が92年コンセンサスを持ち出しているのは、何か裏があるような気がします。確実に言えるのは、中国は本音では台湾の中華人民共和国への統一を目指しているという事です。

次に「4つの容認しない」の2番目は、「両岸関係の後退を容認しない」です。

両岸関係とは、台湾関係を挟んだ両岸という意味で中国本土と台湾の関係の事を言っています。つまり、中台関係の事です。しかし、あえて「両岸関係」という言葉を使ているのは、「中台関係」というと二国間関係、つまり国家と国家の関係と受け止められるのを避けるためのだと推測します。

後半では、この両岸関係を推進する根拠となっているのが、「反国家分裂法」について確認してみたいと思います。

(後半に続く) http://p.tl/Nq69


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沖繩対策本部■自国の軍拡を棚に上げ、自衛隊の訓練を避難する中国メディア

2011年11月26日 01時37分10秒 | 中国軍拡

 

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■自国の軍拡を棚に上げ、自衛隊の訓練を避難する中国メディア

 

人民網日本語版が海上自衛隊の訓練について取り上げています。

日本の自衛隊に対する中国の報道を見ることによって、日本の自衛隊の存在意義が見えてくると思います。

また、自衛隊の訓練そのものが抑止力になっている事が理解できると思います。

是非、ご覧下さい。

(仲村覚)

 

<日本艦隊はなぜ狂ったように軍事訓練をするのか>

     ~対潜戦術は中国を狙ったはかりごとか?~

(「人民網日本語版」2011年11月24日)

http://j.people.com.cn/94474/7655344.html

アジア太平洋経済協力会議(APEC)関連会議が8日から13日にかけて米ハワイで開催された。

だが思いもよらないことに、同時期に会場から遠くないハワイ沖で米国、カナダ、日本の軍艦、潜水艦、戦闘機が海軍合同演習「Koa Kai」を実施し、APEC会議と極めて不釣り合いな雰囲気をつくり出した。

米紙ホノルル・アドバタイザーによると、米国、カナダ、日本は演習に軍艦5隻、P-3対潜哨戒機8機、潜水艦多数を投入した。

注目に値するのは、日本の海上自衛隊が初めて水上艦の「しらね」型ヘリコプター搭載駆逐艦「くらま」を派遣したことだ。

最近の米韓との相次ぐ海軍演習および「中国潜水艦脅威論」の誇張という一連の動きとあわせて考えると、日本が海外演習による海上戦闘能力強化の意図をいよいよ露骨にしていることは明らかだ。

「世界新聞報」が伝えた。


 ■足跡は太平洋の随所に

 海上自衛隊は10月末以降、米韓両海軍と合同演習を3回実施。その足跡は西太平洋の随所に及んでいる。今月10日から17日の「Koa Kai」演習では実弾射撃、水上艦攻撃、対潜作戦を含む多くの演習が行われた。これまでと違うのは、米日両海軍の連携能力を強化するため、初めて日本のヘリコプター搭載駆逐艦「くらま」と米海軍の艦艇、潜水艦、戦闘機が合同演習を行ったことだ。

 米第7艦隊のウェブサイトを見ると、アジア太平洋に展開する米軍の主力艦隊は10月末にも沖縄沖で海上自衛隊と合同対潜演習を実施している。この時は海上自衛隊護衛艦隊群の塚田文彦指揮官が軍事演習連絡官として米空母に乗艦し、対潜水艦のノウハウを学んでいる。韓国紙コリア・ヘラルドによると、韓国海軍も最近日本の軍艦と釜山沖で合同軍事演習を行った。韓国側は駆逐艦1隻、機雷敷設艦1隻、揚陸艦1隻、P-3対潜水機1機、ヘリ1機を投入、海上自衛隊は4200トン級駆逐艦2隻を派遣した。

 日本の軍艦が1カ月足らずの間に自国沖、韓国沖、米ハワイ沖の3海域の合同軍事演習に立て続けに姿を現わした。軍事演習への日本の傾注は明らかだ。

 新式装備の相次ぐ配備に伴い、海上自衛隊の規模はこれまでにない膨張を見せ、エアシーバトル能力も大幅に向上している。先進装備で基盤を固めた日本艦隊が、合同軍事演習という「戦闘力錬磨」の機会を逃すわけがない。米国の率いる地域合同軍事演習に毎回欠かさず参加するだけでなく、韓国やインドとの海上合同演習にも熱を上げている。これには軍事要素以外に、関係を強化し、地域における影響力を高めようとの狙いも相当ある。遥かハワイ沖の演習への「くらま」の参加は、米国との軍事同盟を基礎に「合同演習」重視を日増しに強める日本の傾向の直接的な現われだ。


■対原潜作戦が演習の重点

 海上自衛隊は東アジア各国海軍の中でイージス艦を最多保有し、水上艦の防空・ミサイル防衛能力も最強だ。だがそれよりも注意が必要なのが対潜戦闘能力だ。冷戦時代に一貫してソ連の原潜に的を絞り艦隊を構築していたこと、そして近年の「中国潜水艦の脅威」への過度の憂慮から、海上自衛隊はヘリコプター搭載駆逐艦、ジェット哨戒機など対潜専用兵器を相次ぎ開発してきた。米国を始めとする他国との合同軍事演習でも、海上自衛隊は対潜作戦を特に重視している。

 「Koa Kai」演習では対潜演習も行われた。「くらま」が遠路参加したのもこのためだ。「くらま」は排水量5200トンで、主砲2門、「アスロック」対潜ミサイル、「シースパロー」艦対空ミサイルを搭載し、SH-60J哨戒ヘリコプター3機を艦載。高く大きな格納庫と広く大きな後部甲板は、同艦が「対潜水艦専門」であることをはっきりと示している。演習で「くらま」は米加両海軍の対潜哨戒機や水上艦と合同演習を行い、海空合同対潜作戦のノウハウを蓄積した。さらに注意を要するのは、以前の「Koa Kai」演習で米原潜が仮想敵の役割を務めていることだ。日本が現在原潜を保有しないことと考え合わせると、「くらま」は対原潜戦術の研究のために参加した可能性が高い。

 海上自衛隊は最近、中国海軍の動きへの注視を強め、さらには列島を越えて太平洋へ向かう中国海軍の艦艇や潜水艦に近距離で嫌がらせを繰り返してすらいる。日本メディアが中国原潜の戦闘能力をしばしば誇張していることと考え合わせれば、合同演習による対潜戦闘能力の強化という海上自衛隊の動きに、中国が警戒を保つのは当然だ。日本テレビは、今回の日米合同演習は中国が主要仮想敵国であり、「今後も同様の合同訓練が積極的に進められる」との見方を示した。NHKテレビも同じスタンスで、南西諸島の防衛態勢の強化が演習の目的と報じた。


■強力な潜水艦隊

 日本の建造した「そうりゅう」型AIP潜水艦の5番艦「ずいりゅう」が10月20日に進水したことで、海上自衛隊の先進潜水艦に再び海外の注目が集まった。

 昨年から就役の始まった「そうりゅう」型潜水艦はAIPシステムを搭載しており、3-4週間の潜航が可能。533ミリ魚雷発射管6基と先進のソナーシステムを搭載し、高い対潜戦闘能力を備える。

海上自衛隊が潜水艦を軍事力強化の糸口に選んだのが、深思熟考の結果であることは明らかだ。

日本は非核三原則の制約上、原潜は当面開発できないため、原潜の代役を担わせるべく引き続き通常動力型潜水艦に力を入れるほかない。

日本の潜水艦の性能が極めて抜きん出ているのはこのためだ。

日本の潜水艦部隊の規模拡充とはすなわち、通常動力型潜水艦における優勢を強化し、「量と質の結合」モデルで潜水艦隊の攻撃能力および対潜戦闘能力を高めることだ。(編集NA)

 

 

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