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2010年1月、米国訪問中に、中共の世界拡張戦略についてスピーチする法学者・亡命作家の袁紅氷氏(写真・馬有志)
『2012台湾大劫難』邦訳出版 著者・袁紅氷にインタビュー(一) 対日戦略の核心
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【大紀元日本8月24日】迫り来る台湾の大厄難。「市場一体」を経て「政治統一」をはかり、中国共産党は戦わずして台湾に勝つ。昨年11月に台湾で出版された法学者・亡命作家の袁紅氷(ユァン・ホンビン)氏の著書『台湾大劫難』は、中共政治局拡大会議で制定された対台湾謀略の最高政治戦略を暴き、台湾各界に衝撃を与えた。このほど『暴かれた中国の極秘戦略』と題して邦訳が出版された。
国民党を丸め込み、民進党を分裂させ、傀儡党を立ち上げ、メディアを統制し、学者と政治に染まった宗教家を飼い慣らす。そして2012年、台湾を乗っ取る。北京当局が描いたこの戦略の青写真は、台湾だけに留まらないようだ。
邦訳の出版にあたって、著者の袁紅氷氏は本紙のインタビューに応じ、近いうちに宣伝のために来日する予定だと語っている。公開された情報源や、対日戦略の中核、2012年までの中国の政局、中共のグローバル拡張に対して民主国家の採るべき態度などについて、日本の読者にメッセージを送った。その内容を3回に分けて紹介する。
かつて北京大学法学部で教鞭を執っていた袁氏は、天安門六四事件に参加したためその後貴州省に転任させられ、貴州師範大学法学部学部長を務めていた。2004年豪州訪問中に政治亡命した。現在シドニー在住で、中国の民主活動を行っている。
情報源:中共の高層部およびその家族
Q:本書で暴かれた北京当局による台湾陥落戦略は、2008年6月に中共政治局拡大会議で制定された「台湾問題を解決する政治戦略」などの三大機密文書と録音資料に基づくと示されていますが、それを100%信じる人もいれば、全く信じない人もいます。情報源について少し話していただけますか?
袁:読者に分かっていただきたいのですが、私は学者であり、情報販売家ではありません。本当の事情を読者に伝えたいという目的だけで、この本を著しました。
情報源は、中共政権の高層部にいる人たちで、一部は良識のある人、一部は粛清された元高官の家族です。現在、中共内部の分裂は大変激化しています。前国家副主席・曾慶紅のような高官までも、息子が豪州で数千万元の不動産を購入しています。彼らにとっては些細なことですが、現在、中共高層幹部が海外に逃げ道を作ろうとしている心理が反映されています。
昨年台湾で出版され1週間も経たないうちに、中共の対台湾スポークスマンが、この本の内容を否定する声明を出しました。中共の暴露本はたくさんあるのに、この本だけにすばやく反応を示したのは、却ってこの本が真実であることを証明していると考えています。ともかく、私がこの本で明らかにしたことが真実であるかどうか、読者に理性的に判断していただきたいと思います。
最近、中南海では全国党史工作会議が開かれ、引退した古参高級幹部が回想録を執筆するブームや、社会動乱が発生した際、党史資料をどのように処理するかについて議論されたと報道されていますが、私はこの情報は確実であると思っています。現在、中共政権の高層部は、あらゆる方法で後始末をしようとしています。彼ら自身が内部危機の深刻さを一番良く理解しているからです。詳細については、近く出版される予定の著書『台湾大国策』で紹介しています。『台湾大劫難』と『台湾大国策』の2冊とも、自分に逃げ道を残し、善後処置をしようとしている中共高官とその家族が漏らした情報に基づくものです。
Q:昨年『台湾大劫難』が出版されてからすでに8か月が経っていますが、あの中で明らかにされた中共の戦略は、すでに台湾の現状に反映されていますか?
袁:この8か月の状況から見ると、両岸関係の全ての動きは、『台湾大劫難』を実証していると言えます。例えば、最近通過させた両岸の自由貿易協定(ECFA)。まずは経済統一、そして文化統一、その後政治統一。『台湾大劫難』で明らかにした中共の対台湾戦略通りに行われており、しかもターゲットは2012年とはっきり設定されています。最近、中共海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長は、再び、両岸統一の話を急がせていますが、「統一」という言葉を選んで両岸関係の実質をごまかしています。両岸関係の実質は、中共独裁政権が一党独裁で台湾を統制し、台湾民衆を中共の政治的な奴隷にすることを狙いとしています。
対日戦略の核心:日米同盟を分裂させる
Q:著書では、対日戦略は、誘惑と脅威を同時に使っていると書かれていますが、具体的な例を教えてください。
袁:中共の対日戦略における全般的な路線は、まず「利用する」ことです。主に日本人を、自国の国家核心利益の一部として「利用します」。例えば日本の国連常任理事国への支持。さらに、北方領土問題においても日本の立場を支持することや、東海ガス田問題で日本に譲歩する姿勢を示すなどが考えられます。その上で、軍事的、経済的に脅します。最後に最も大切なことですが、日米同盟関係を分裂させます。中共の対日戦略は主にこの3つです。
日米同盟関係の分裂において、中共は東アジア経済と安全共同体という方策を案出しました。中共と日本が共同でこの共同体を主導することによって、日米関係を分裂させるのが狙いです。
現在中共が行っている戦略の全てに関して、その第一の目的は、台湾を統治することです。台湾を手に入れた後、アジア問題を解決すること。アジアでいわゆる「勃興」し、アジアのリーダーになることを狙っています。中共のアジアでの戦略方案については、近く出版される『台湾大国策』で詳しく紹介しています。
(続く)
(記者・趙莫迦Zhao Mojia)
袁紅冰氏が来日。台湾乗っ取り戦略の現況とともに、中国の対日本戦略を語ります。
尖閣諸島沖の衝突事件以来の日中関係の背後にあるものとは何か、そして中国はいっ
たい何を狙っているのか? 中国共産党政権内など中国内に余人をもって替えられない
情報網をもつ袁紅冰氏ならではの講演が聴けることでしょう。
■日 時: 2010年10月28日(木) 18:30~21:00(18:00開場) 定員70名
■会 場: 文京シビックセンター 区民会議室 5階会議室C
■使用言語:中国語(通訳有)
■主催: まどか出版
■お問い合わせ・お申込み
mail予約 adm@madokabooks.com [件名 袁紅冰講演会 お名前 ○○○]
電話予約 TEL:03-5814-9292 まどか出版 イベント係まで
■参加費: 500円
[講演者略歴]
袁紅冰(えん・こうひょう/Yuan Hongbing)
中国の著名な亡命作家。自由主義の法学者。詩人で哲学者。民主政治活動家。「中国自
由文化運動」発起人。ウェブサイト『自由の聖火』総編集長。現在、オーストラリア在住。
1952年、内モンゴル高原に生まれ、中国共産党によるモンゴル人への大迫害のなか少年期
を過ごす。86年、北京大院を修了、同大の教職に就く。89年、六・四民主化運動では「北京大
学教師後援団」を組織。94年「中国労働者権益保障同盟」組織したことから秘密裏に逮捕さ
れ、同年末、貴州に追放される。
2004年、三十有余年をかけて秘密裏に書き上げた『自由は落日のなかに』など四部の原稿を
出版するため、オーストラリアに亡命。06年、「中国自由文化運動」を発起した。
主要な文学の著作に『自由は落日のなかに』『黄金の聖なる山』『荒涼に回帰する』『文化と運
命』など。ほかに哲学や法学、政治学の著作もある。
[講演者の日本での著書]
『暴かれた中国の極秘戦略――2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?』(まどか出版刊)
衝撃の新刊『暴かれた中国の極秘戦略(原題、台湾大劫難)』の著者
尖閣諸島沖漁船追突事件後、互いに譲らぬ日中外交!
邦訳『暴かれた中国の極秘戦略』著者、中国からの亡命作家・袁紅冰氏(現在オーストラリア在住)は近く来日、共産中国のグローバル拡張や、対日戦略の中核、2012年までの中国の政局などについて、日本読者に語る。
■日時: 10月31日(日) 講演時間14時~16時
*中国語で講演、日本通訳付
■場所: 東京都渋谷区道玄坂2-6-17 渋東シネタワー13階
■交通: JR、渋谷駅「ハチ公口」徒歩2分
東京メトロ、東急田園都市線渋谷駅2番出口直結
■会費: 1,500円
(特典付き:次回講演割引券付き、大紀元時報送料付き4回無料購読)
■予約: 日本語で申込み
ファックス:03-6407-9409 メール:info@my3.jp
(連絡先、氏名を必ずお入れください)
■予約: 中国語で申込み
ファックス:03-3381-7612 メール:info@epochtimes.jp
(連絡先、氏名を必ずお入れください)
主催: ワールドビジネスマーケティング協会
後援: 株式会社 大紀元
講演者袁紅冰氏のプロフィール:
袁紅冰(えん・こうひょう:Yuan Hongbing):
北京大学修了後、同大の教職に就く、89年、六・四民主化運動時に「北京大学教師後援団」を組織し民主化運動を支持、94年「中国労働者権益保障同盟」を組織したことから貴州へ追放される。貴州師範大学法学院長時の2004年、オーストラリアに政治亡命する。現在は作家、法学者、哲学者、民主活動家と多彩。
氏の主たる著書:
『自由在落日中』 『金色的聖山』 『回帰荒涼』 『文殤』など、他に法学、政治学などの著書多数。
【大紀元日本8月25日】中国広東省は今月、台湾から農産物を大量に購入する契約に調印した。海峡両岸の経済協力協定(ECFA)の締結で加速された中台経済一体化の進展。昨年11月に台湾で出版された法学者・亡命作家の袁紅氷(ユァン・ホンビン)氏の著書『台湾大劫難』で明らかにされた北京当局の対台湾謀略が、シナリオ通りに展開されつつある。
「市場一体」から「政治統一」へ、迫り来る台湾の大災難。国民党を丸め込み、民進党を分裂させ、傀儡党を立ち上げ、メディアを統制し、学者と政治に染まった宗教家を飼い慣らす。そして2012年、中国共産党は戦わずして台湾に勝つ。『台湾大劫難』で暴かれた中共の対台湾政治戦略は、台湾各界に衝撃を与えた。このほど『暴かれた中国の極秘戦略』と題して邦訳が出版された。
一方、中国当局は、今年に入って日本国債を急ピッチで大量に購入し、買い物に急ぐ中国人観光客を大量に日本に送っている。北京当局が描いたこの戦略の青写真は、台湾だけに留まらないようだ。
邦訳の出版にあたって、著者は本紙のインタビューに応じ、対日戦略の中核、中共のグローバル拡張に対して民主国家のとるべき立場や、公開された情報源、2012年までの中国の政局などについて、日本の読者にメッセージを送った。第一回に続き、今回もまずは対日戦略について紹介し、続いて対中外交で日本がとるべきスタンスについて著者の考えを紹介する。
かつて北京大学法学部で教鞭を執っていた袁氏は、天安門六四事件に参加したため、その後貴州省に転任させられ、貴州師範大学法学部学部長を務めていた。2004年豪州訪問中に政治亡命し、現在シドニー在住で、中国の民主活動を行っている。
近いうちに、本の宣伝のために来日する予定だと話している。
対日戦略の核心:日米同盟を分裂させる(続き)
Q:著書で、胡錦涛主席が、日本の左翼と右翼の争いを激化させ、中国の反日感情の維持に利用すると発言したことに言及しているが、胡温政権の対日外交政策は、日本友好ではないでしょうか?
袁:胡温政権が親日という言い方は、曖昧ですね。中共政権にとっては、親日派と反日派の違いはないと思います。中共にとって唯一大事なことは、どのようにしてその独裁専制を維持するかということ、どのように世界でその統治範囲を拡張するかということです。
70年代、中共はソ連との間で、共産国家でのリーダー権を巡って争いました。その際の中共の外交策略は、どのようにして米国・日本と連携してソ連に対抗するかということでした。90年代前後、中共の外交政策に根本的な変化が起きました。中共の勃興は米国の根本利益と相反することに気づき、最大の敵を米国に切り替えました。
このような心理から、日米同盟を重大な脅威とみなしてきました。現在日本に対して行なっている全て、誘惑なり、親近なり、脅迫なり、いずれにしても目的はあくまでも日米同盟を分裂させることにあります。日本は米国の核保護を無くしたら、アジアでの地位はどん底まで落ちてしまうからです。
こうした対日外交方針の中、胡錦涛は日本に時に善意的であり、時に脅迫的ですが、それは問題の実質ではありません。胡錦濤は親日ではなく、全ての目的は、日米関係を分裂させることにあり、日本の国際社会での地位を落とさせることです。
対中外交で日本がとるべきスタンス
Q:日本には強いリーダーがいなく、政局が不安定な局面が何年間も続いていますが、そうした中、中共に左右されないようにするにはどうすべきでしょうか?
袁:日本の現在の不安定な政局は、あくまでも表面に現れた結果であり、その背後にある実質は、明確かつ堅実な国家の意思と政策に欠けていることです。日本は自国の前途、世界の前途、更に人類の前途に対して、そして国際政治の短期的、中期的または長期的な発展トレンドに対して、全貌的な認知に欠けていると思います。このような状況下で現在、頻繁に政権交代が行われるという現象に至ってしまいました。
ではどうしたら良いでしょうか。まず日本は国家として、中共政権は今後人類の災難を生じさせる源であるということをはっきり認識しなければいけません。この問題については、近く出版する『台湾大国策』で述べています。
日本は、明確かつ有効的な国策を制作するために、まず中共の本質についてよく把握しなければなりません。共産中国が何をしたいのかよく見通した上ではじめて、それに対応する方向性のある国家政策が制作できるのです。国家は明確な意志や政策があってはじめて、安定した政局に至ることができます。
Q:中共政権が崩壊したら、中国の政局は不安定に陥り、中国経済の発展も遅れてしまい、日本の国家利益に害を与えてしまうと心配する見方もありますが、どう思いますか?
袁:このような見方は、中共が長い時間をかけて、御用文化人や宣伝機関を利用して洗脳を行なった結果です。中共が崩壊すれば、中国は大混乱や大災難に陥るという印象を人々に与えました。悪辣な虚言です。
共産中国60年の歴史を振り返ってみれば、一つの結論が得られます。中国の全ての災難や動乱は、中共の暴政がもたらしたものです。中共政権自体が、中国の災難や罪悪の根源です。
現在の共産党政権が崩壊したら、中国社会は速やかに民主政権を設立する時期に入り、自由民主国家への道に進みます。民主政治は混乱ではなく、公正かつ包容的な秩序です。民主政治があってはじめて、中国は法制のレールに載った安定した局面を迎えるのです。中共政権が一日でも長引けば、中国社会が民主社会に転向する過程が長引き、その不安定なリスクも高まり、世界に対するマイナスのインパクトも大きくなります。
更に、中国経済の発展は、略奪に基づいたものです。中国の広大な土地と自然資源に対する破壊的な開発と、中国数億の農民工に対する奴隷的な生産力の略奪です。現在のあらゆる災害からも徐々に見えていますが、このような非合理的で、人間の良知に反する発展パターンは長くは続きません。特に青海チベット高原の自然生態が一旦崩壊したら、世界全体がその悪果を呑まなければならなくなります。中国経済に頼って世界の経済危機を乗り越えようと考える国もいるようですが、最後に損するのは必ず自分です。
世界における共産中国の拡張
Q:中国は近年、海外でエネルギー買収、外国国債の大量購入など、拡張を急速に行なっています。それについての理解は?
袁:中共の経済や政治動向は近年、二つの相反する路線に沿って展開しています。一つは海外での拡張、もう一つは国内での危機です。
中共政権はここ20数年、破壊的・略奪的な経済発展を通して、巨大な経済パワーを獲得しました。現在このパワーでグローバルに政治拡張を行っています。中共高層の内部資料では、世界規模で共産主義復興の音頭を取るとはっきり言及されています。このような拡張は、経済的、文化的、政治的、更に軍事的なあらゆる面で行うものです。例えば、今の国債購入、メディアの買収、スパイネットワークの設立等々です。
一方、中国国内では、乗り越えられないほどの社会的混乱が急速に蔓延しており、中共政権は崩壊寸前の状態にあります。中共高層内部に、反腐敗を名義とした政治闘争が、いわゆる内部の“調和”を引き裂いています。例えば、少し前に薄煕来が自分の権威確立のために重慶市で行った「掃黄(風俗業の一掃)打黒(暴力団を打撃)」運動は、40年前の文化大革命のミニ版です。中国の政治情勢は急速に極端化の方向に走っており、政治、経済、文化と社会の全ての面で解消できない矛盾が浮上しています。
【大紀元日本8月24日】迫り来る台湾の大厄難。「市場一体」を経て「政治統一」をはかり、中国共産党は戦わずして台湾に勝つ。昨年11月に台湾で出版された法学者・亡命作家の袁紅氷(ユァン・ホンビン)氏の著書『台湾大劫難』は、中共政治局拡大会議で制定された対台湾謀略の最高政治戦略を暴き、台湾各界に衝撃を与えた。このほど『暴かれた中国の極秘戦略』と題して邦訳が出版された。
国民党を丸め込み、民進党を分裂させ、傀儡党を立ち上げ、メディアを統制し、学者と政治に染まった宗教家を飼い慣らす。そして2012年、台湾を乗っ取る。北京当局が描いたこの戦略の青写真は、台湾だけに留まらないようだ。
邦訳の出版にあたって、著者の袁紅氷氏は本紙のインタビューに応じ、近いうちに宣伝のために来日する予定だと語っている。公開された情報源や、対日戦略の中核、2012年までの中国の政局、中共のグローバル拡張に対して民主国家の採るべき態度などについて、日本の読者にメッセージを送った。その内容を3回に分けて紹介する。
かつて北京大学法学部で教鞭を執っていた袁氏は、天安門六四事件に参加したためその後貴州省に転任させられ、貴州師範大学法学部学部長を務めていた。2004年豪州訪問中に政治亡命した。現在シドニー在住で、中国の民主活動を行っている。
情報源:中共の高層部およびその家族
Q:本書で暴かれた北京当局による台湾陥落戦略は、2008年6月に中共政治局拡大会議で制定された「台湾問題を解決する政治戦略」などの三大機密文書と録音資料に基づくと示されていますが、それを100%信じる人もいれば、全く信じない人もいます。情報源について少し話していただけますか?
袁:読者に分かっていただきたいのですが、私は学者であり、情報販売家ではありません。本当の事情を読者に伝えたいという目的だけで、この本を著しました。
情報源は、中共政権の高層部にいる人たちで、一部は良識のある人、一部は粛清された元高官の家族です。現在、中共内部の分裂は大変激化しています。前国家副主席・曾慶紅のような高官までも、息子が豪州で数千万元の不動産を購入しています。彼らにとっては些細なことですが、現在、中共高層幹部が海外に逃げ道を作ろうとしている心理が反映されています。
昨年台湾で出版され1週間も経たないうちに、中共の対台湾スポークスマンが、この本の内容を否定する声明を出しました。中共の暴露本はたくさんあるのに、この本だけにすばやく反応を示したのは、却ってこの本が真実であることを証明していると考えています。ともかく、私がこの本で明らかにしたことが真実であるかどうか、読者に理性的に判断していただきたいと思います。
最近、中南海では全国党史工作会議が開かれ、引退した古参高級幹部が回想録を執筆するブームや、社会動乱が発生した際、党史資料をどのように処理するかについて議論されたと報道されていますが、私はこの情報は確実であると思っています。現在、中共政権の高層部は、あらゆる方法で後始末をしようとしています。彼ら自身が内部危機の深刻さを一番良く理解しているからです。詳細については、近く出版される予定の著書『台湾大国策』で紹介しています。『台湾大劫難』と『台湾大国策』の2冊とも、自分に逃げ道を残し、善後処置をしようとしている中共高官とその家族が漏らした情報に基づくものです。
Q:昨年『台湾大劫難』が出版されてからすでに8か月が経っていますが、あの中で明らかにされた中共の戦略は、すでに台湾の現状に反映されていますか?
袁:この8か月の状況から見ると、両岸関係の全ての動きは、『台湾大劫難』を実証していると言えます。例えば、最近通過させた両岸の経済協力協定(ECFA)。まずは経済統一、そして文化統一、その後政治統一。『台湾大劫難』で明らかにした中共の対台湾戦略通りに行われており、しかもターゲットは2012年とはっきり設定されています。最近、中共海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長は、再び、両岸統一の話を急がせていますが、「統一」という言葉を選んで両岸関係の実質をごまかしています。両岸関係の実質は、中共独裁政権が一党独裁で台湾を統制し、台湾民衆を中共の政治的な奴隷にすることを狙いとしています。
袁 紅冰 (著), 黄牛 (翻訳)
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-944235-52-0.html
本書は、中国共産党政権内のさまざまな情報や、同党の会議で可決された『台湾問題解決のための政治戦略』など党内部の機密資料を基に執筆されたものである。そして描かれるのは、同党が行う暴政の本質とともに、世界が迎えようとしている未曾有の政治的危機の源泉の真相である。さらに、政治、経済、メディアや学界などを含む社会、外交や軍事と、多岐にわたって緻密に練られた、2012年に台湾を乗っ取る計画の実相について、著者は胡錦濤の発言などを活写しながら詳細に語る。こうした陰謀政治の分析によって、権謀への臨機応変の策を述べることにもなっている。そしてこの危機の前夜に、著者は自由の尊さを説くのである。
目次
*台湾編集室より
震撼すべき、想像を絶する台湾への陰謀
*著者について
*前書き
迫り来る台湾の大厄難――人類の危機と台湾の大厄難
*第一章 共産中国――理解されていない本当の中国
1 中国はすでに亡国状態にある
――中国共産党の暴政は、東洋的皇帝権の継承者なのか、
西洋の全体主義文化の現代への復活なのか
2 中国共産党の経済改革
――自由資本主義の勝利にあらず
3 中国共産党の経済発展の政治的効果
――民主化に向かうのか、全体主義を強化するのか
4 第一章結論
*第二章 二〇一二年、戦わずして台湾に勝つ
――中国共産党の対台湾謀略の最高政治戦略
1 中国共産党の台湾に対する政治戦略の確定
――理性的か非理性的か
2 胡錦濤の個人的心理要素が台湾に対する政治戦略の確定に及ぼした作用
――歴史の荒唐無稽さか人間性の荒唐無稽さか
3 中国共産党の台湾に対する策略の戦略および戦術設計
――非理性的な状況での精確な理性
4 第二章結論
*第三章 国民党を篭絡し、民進党は分裂させ、傀儡党を立ち上げよ
――中国共産党の政治統一戦線
1 国民党上層部に対する統一戦線計画
――恩讐を水に流すのか、裏切り者どもを呼び入れるのか
2 民進党に対する統一戦線計画
――陰険な心理による人間性の弱点に対する洞察
3 中国共産党を背景とした台湾社会民主党の公開結党計画
――民主の名を借りて民主を葬り去る準備
4 第三章結論
*第四章 「市場一体」を経て「政治統一」に――中国共産党の経済統一戦線
1 市場一体化と金融一体化
――経済的好機か、経済の絞首台の縄か
2 台湾商人、強権に人質を取られた一群
――利益と良識のはざまで
3 経済統一戦線の実施における謀略
――陽光の後ろの暗黒
4 第四章結論
*第五章 メディアを統制し、学者と政治和尚を飼い慣らす
――中国共産党の文化・社会統一戦線
1 メディアと出版の統制
――自由の表向きのもとで思想専制を実現する
2 知識界への浸透
――大学教授を文化下僕に手なづける
3 宗教と闇社会における統一戦線
――政治に汚染された信仰とマフィア化した政治
4 第五章結論
*第六章 現在の中国外交戦略の重点
1 外交戦略全体の調整
――台湾の首にかけられた鉄の手
2 対米外交
――政治と商人との間の利益交換
3 対日外交
――利益誘導と威嚇
4 第六章結論
*第七章 「軍事台湾攻略対応マニュアル」および統一後の台湾に対する処置
1 「軍事闘争の準備」
――微笑の後ろの鉄血の陰謀
2 統一後の台湾に対する政治法律的処置
――「まな板の上の鯉」
3 台湾社会民主党の執政
――中国共産党の国民党に対する最後の恥辱
4 第七章結論
*第八章 台湾政治の現状
1 馬英九政府の全面的投降
――愚かなのか、裏切り売国なのか
2 民進党の度量のなさ
――理想主義の凋落の悲劇
3 民衆の安逸を貪る心情
――「憂患にあるからこそ生命は全うされ、安楽にあるため死を迎える」
4 第八章結論
*第九章 台湾の絶望
1 魂なき邦は必ず没落する
――残るは永久の悲哀のみ
2 台湾政治戦略選択の第一策
――島国を超克する大英知の必要
3 台湾の戦略的選択の第二策
――決死戦の英雄的心情を必要とする
4 第九章結論
*第十章 台湾の希望
1 鄭南榕の精神
――燃え上がる台湾の魂
2 国家意志、台湾を主体とする文化価値、社会道徳の基盤および人民の自信を立て直す
――知識人と政治家の天から与えられた務め
3 中国共産党の暴政の強大と衰弱
――運命は最後に誰に微笑むか
4 第十章結論
*最終章 台湾よ、自由人たれ
*訳者後記
*解 説 石平
*登場人物紹介
*参考文献
前書きなど
現実は、しばしば誤解されたまま進んでいく。真相は、往々にして歴史的に回顧されるまでは明らかにならない。しかし、危機に対応するためには、すぐさま誤解の靄から抜け出て真相に迫ってしっかり見きわめなければならない。
この二十年来、中国に対して要領を得ない理解しかしてこなかった「中国学者」「中国問題研究者」たちは、際限なく発表される学術論証によって、経済改革により中国が自由資本主義市場経済の道を歩んでいくという巨大な嘘を散布してきた。さらに悲しむべきは、こうした嘘がかなりの程度、国際社会が中国共産党の暴政の発展の趨勢を判断する根拠となってきた。
実際、少しでも政治、法律の常識があれば、こうした嘘と同じような結論は出てこないはずだ。自由資本主義市場経済において不可欠な法的基盤の一つは、法的主体同士が法的権利において一律平等だということである。法的権利の平等が、自由資本主義市場経済の競争の公正性の前提を構成する。しかし、中国共産党の暴政のもとでは、真の法的権利の平等はありえないものだ。
法律は当然遵守されなければならない権威をまったくもっていない。すでに数千年前、叡智あるアリストテレスは法律について良法と悪法の区別を打ち出している。良法だけが国民全体の利益に有利となり、それゆえ、遵守されるべきなのである。現代法の精神に基づき、良法は「主権在民」の原則を魂としなければならず、有効な立法手続きを経てその公民全体の利益を体現することを保証しなければならない。党の暴政は一党独裁の専制政治を実施し、国家テロリズム的性質の暴力を使って、人民の政治的選択権を剥奪している。これによって法が人民の利益を体現する可能性を剥奪している。中国共産党は暴力によって国家権力を壟断することを決定した。党の暴政の法は必然的に、党の権力貴族層の意志と利益の法律形式であり、それゆえに専制の悪法である。専制の悪法は、いずれも同じような本性をもつが、それこそが特権の肯定であり、法的権利の平等の否定なのである。党の暴政においては自由資本主義市場経済を実行する法的前提である法的主体の法的権利の平等がまったく存在しないのだ。
二〇一二年:中共の台灣併呑計劃
一 台灣にふりかかる中共の「大災難」
中共(中國共産黨)が、國共内戰に勝つた後始末としての台灣併呑を畫策してゐます。
台灣の次期總統選舉(2012年 3月)の直後にやり遂げ、
同年秋の中共第18回黨大會を「祖國統一完成祝賀大會」にして胡錦濤の引退を飾り、
胡錦濤引退後の影響力を確保しようとしてゐる
──といふ機密計劃を暴露した本が台灣で出ました。
袁紅冰『台灣大劫難:TAIWAN DISASTER/ 2012 不戰而勝台灣』です。
(台北縣中和市・星島國際有限公司、2009.11. 1刷/12.4刷) 新台幣 360元
24~29頁に『認識作者』といふ著者の紹介があります。
著者袁紅冰 (ユアン・ホンビン) は1952年、内蒙古高原の生れ。
中共が文革期に「内蒙古人民革命黨」肅清の名の下に、蒙古人を大迫害したことを心に刻み込み、迫害された蒙古人の「美しくも自由で高貴な魂」の記録を著書に書いて復活させようと決意します。
1986年に北京大學大學院を終へたあと、北京大學で教へ、訴訟法教育研究室の責任者になります。
袁紅冰は高校在學中に自ら「英雄人格哲學」を創始してゐたので、北京大學で「北京大學の精神的導師」と慕われる存在になりました。
1989年の「六四天安門事件」中、袁紅冰は「北京大學教師後援團」を組織します。
1991.10., 袁紅冰は哲理散文詩『荒原風』を出版、直ちに發禁。
1992年、袁紅冰主編で『歴史的潮流』を出版して一時大評判となりました。
1992.6., 中共の北京流血の恐怖の雰圍氣がまだ殘る中、袁紅冰が發起者となつて政治見解の異る知識分子百名が參加する「オリンピック ホテル會議」を主宰し、極左派から排撃されました。
さて、この調子で詳しく紹介してゐると、翻譯に近付き、長くなり過ぎるので、はしよります。
このあと袁紅冰は當局から逮捕・彈壓され、出國して現在濠洲在住。
彼は單なる法律學者ではなく、哲學を初め、詩や文學作品まである幅廣い人で、文人とか思想家といふにふさはしい人です。廣い分野に亙つて多くの著作をものしてゐます。
(伊原追記:袁紅冰と會つて2時間話した台灣の楊嘉文さん曰く、彼は學者といふより詩人だと)
中共高層に習近平ほか人脈多く、その家族から入手した機密資料を基に、中共の台灣策略を紹介したのが本書なのださうです。
一月初め、台灣の知友から本書が届きました。
私が台灣觀察を續けてゐることを知つてゐて、參考資料として贈つてくれたのです。
早速讀み、これはぜひ日本の讀者に紹介せねばと考へました。
理由1)中共の台灣併呑の願望がよく判る。
理由2)台灣の内政が、想像以上に中共の直接工作の成果だと判るからです。
第一、小平は胡錦濤に遺囑して曰く (68頁) 、
「2012年迄に必ず台灣問題を解決せよ」
そして曰く、
「台灣問題の解決は、中國の社會主義體制の生死存亡に關り、共産黨の生死存亡に關る。
(伊原註:自由民主の台灣ある限り、共産獨裁の中共政權は批判に晒されるから、
併呑して中共政權の存立を危ふくする根源を取除け、といふのです)
「從つて、條件を創り出して早急に台灣問題を解決せよ。
「台灣と香港は別ものだ。香港には租借條約があつたから解決できた。
「台灣には條約がないから、時間が經つほど不利となる。
「台灣問題は胡錦濤同志の任期中に解決せよ。2010年を超へてはならぬ」
うーむ、小平が本當にかう言つたかどうかは判りませんが、
いかにも言つたやうに聞こえますね。
第二、そこで胡錦濤は、台灣の政權交代を演出しました。
本書によれば、陳水扁民主進歩黨政權叩きと中國國民黨政權の政權擔當は、中共が仕掛けたものです。
先づ、ブッシュ政權を陳政權嫌ひにしました。
この經緯は以下の通り。
2003. 7.14 陳水扁總統、公民投票を總統選と同時實施すると發表
2003. 7.15 中國外交部、台灣人の出生地を「中國」にせよと各國に要求
2003. 7.16 中國外交部長李肇國、米國務長官パウエルと電話會談
2003. 7.18 中國外交部次長張業遂、北京で米國務次官ボルトン (軍備管理・國際安全保障擔當) と
安保對話
2003. 7.18 米國、中國と戰略提携:ブッシュ政權は18日、北朝鮮問題協議のため訪米した戴秉國外交
部筆頭次長を「まるで首腦のやうに」受入れ。ホワイトハウス で チェイニー副大統領・ライス 大統
領補佐官が厚遇。パウエル國務長官との會談は 2時間に及ぶ。19日には ラムズフェルド國防長官
とも長時間會談。
胡錦濤は米國を「和平崛起論」で安心させ、米國に台灣を牽制させる「以美制台」策
を採用
2003. 7.21 中國國台辧の正副主任が訪米/台灣の公民投票阻止を論議:國務院台灣事務辧公室主
任陳雲林と副主任周明偉が21日、國務省を訪れ、國務副長官アーミテージ及び アジア太平洋擔
當國務次官補 ケリーと台灣問題について討議。陳水扁總統の公民投票は「漸進的台獨」
の「挑發」と認定した中國側の要請によつて行はれた會談。米國に台灣牽制を依頼。
2003. 8.23 前總統李登輝、「台灣正名運動が必要」と言明:前總統李登輝が23日午前、「511 正
名運動聯盟」が國賓飯店で開催した「總統府に集り國聯に向けて前進する」9.6 デモ
の結團式に出席して曰く、
の結團式に出席して曰く、「中華民國は既に存在しないから國名を代へる必要があり
台灣正名運動を進める必要がある。陳水扁總統も同じ考へだが、總統としては言へな
いので、引退した私が彼の代りに言ふのだ」
2003. 9.28 陳水扁、民進黨中常會で「新憲法談話」發表:「民進黨は來年18歳、三大任務を完成
せねばならない。(1) 公民投票の完成。(2) 3.20の總統選に勝つ。(3) 來年末の立法
委員選に勝つ。そして民進黨が20歳になり、台灣が1996年の總統直選後、10年を迎へ
る2006年に新憲法制定作業を進め、最終的に公民投票で新憲法を決める」
2003.12.初 ブッシュ大統領、密使を台灣に送り、陳水扁總統に秘密親書で公投の自制を要求
陳水扁は、公投は民主主義下の人民の當然の權利として拒否。これで ブッシュ 怒る
2003.12. 7 温家寶首相、訪米
2003.12. 8 温家寶首相、ワシントン 市内で パウエル 國務長官と台灣問題に關し會談:
パウエル長官、「台灣獨立を支持せず」と言明
このころ、米政府高官が頻りに「台灣が獨立に向ふことを望まず」と發言
2003.12. 9 米中首腦會談:そのあと、記者會見
ブッシュ大統領:「中台關係の現状を變へる如何なる一方的決定にも反對する。そして一
方的に現状を變へたがつてゐる台灣指導者の言行に反對する」
温家寶首相:「ブッシュ大統領が台灣獨立反對を言明したことを評價する」
(cf. 伊原吉之助編『台灣の政治改革年表・覺書(2003年) 』交流協會, 2004.3.31)
以上、敢へて事實を並べました。
この半年の間に、米中提携しての台灣土着政權壓迫體制が出來あがつたのです。
この米國の公投 (國民投票) 反對があつたため、
米國が公投の主題を意味のないものに變へさせたことと相俟つて、
翌2004年 3月、總統選と同時實施した公投が成立しませんでした。
陳水扁が總統選で「辛勝」になつたのも、米國の民進黨政權壓迫のせいです。
さて、本論に戻ります。
次に、中米兩國が協力してスイスの銀行・シンガポール政府に壓力をかけ、
陳水扁家族の送金の證據を入手して國民黨に流し、陳水扁總統を叩かせた
── と本書は書きます。
メディアと街頭運動を通じて陳政權の「腐敗」「無能」を刷り込まれた台灣の有權者は、
2008年 1月の立法委員 (國會議員) 選擧でも、
同年 3月の總統選舉でも、「中國」國民黨を壓勝させました。
第三、胡錦濤は、馬英九の總統就任 1ヶ月後の 6月に中共中央政治局擴大會議を開き、
台灣問題解決法を策定した (71頁以下)
── と本書は書きます。
台灣事情を追跡してゐる私には、なるほどなるほどと納得し易い。
會 場:北京西山洞穴の奥深くにある中央軍事委員會第一戰略指揮センター
會議參加者(總計二百餘人):
中共中央政治局員のほか、
書記處の成員、
軍の大軍區及び軍兵種の副職以上の指導者、
國務院辧公廳の正副秘書長、
統一戰線部・外交部・公安部・國家安全部の副職以上の指導者ら、
會議の席上、胡錦濤はこんなことを言つたさうです。
「米國は (我々の米台離間工作により) 既に確實に『台獨』(台灣獨立派)を トラブルメーカー と認識してゐるが、
「日本は、今のところまだ陳水扁家族の汚職問題に對する態度が曖昧である。
「外交部は對日工作を一段と強化せよ」
この會議で、中共中央は三文書を通過しました。
「台灣問題解決の政治戰略」
「對台軍事鬪爭準備に關する豫定案」
「台灣統一後の政治的法律的處置豫定案」
第一文書=武力統一案に固執する軍を抑へて「戰はずして勝つ」統一戰線(以下、統戰)工作による台灣併呑案。
第二文書=統戰工作が豫期通り進まなかつた場合の武力統一準備案。
第三文書は、併呑後の對台施策案です
以上が問題の「中共文件」で、直接引用が尠いので「本當か?」と疑はれる點です。
中共文件は重要なものは ナンバー が振つてあり、流出は極めて難しいのです。
しかし袁紅冰が説く内容は、「さもあらん」と思へるものであります。
中共の對台工作は、全て飴と鞭の「兩手工作」です。
だから、脅しと利益誘導を併用して台灣各界を取込んでゐます。
各界=政界・財界・官界・言論界・學界・宗教界・やくざ組織etc.
以上から判ること──
馬英九總統登場以來の「中國急接近策」は、台灣側の政策ではないこと。
台灣は獨自性を失ひ、中共の掌の上で踊つてゐるだけ。
2008.1. の立法委員選と同年 3. の總統選で國民黨を壓勝させたのは、台灣の自殺的選擇でした。
そして、「中共主導」が本當なら、
馬政權がどれほど“へま" を重ねようと、人心がいかに政府から離れようと、
政權交代には結びつかない、と推察できます。
二 馬英九政權は中共の使ひ捨て政權
中國國民黨の中國政策は二つあります。
(1)連戰名譽主席の急統一路線
(2)馬英九主席の香港型(「一國二體制」に基く50年間現状維持)の終極統一路線
連戰は、父連震東(1904-1986) が台南市出身なので「本省人」とされますが、
その父連震東が1929年に慶應大學經濟學部を卒業したあと、蔣介石の南京國民政府に投じ、
1932年以降役職に就きます。
從つて連戰は中國生れ (1936.8.27 西安生れ) ・中國育ちで、母國語は北京語です。
ご存じの通り、連震東は抗日戰爭で國府軍が日本軍に勝つやうにと、
息子に「連戰」「連勝」と名付ける豫定でしたが、
二人目の息子が生れず、「連勝」と名付けられませんでした。
その代り、連戰は自分の息子に「連勝文」と名付け、父連震東の遺志を繼ぎました。
名前に關してもう一つ、連戰は總統選に連敗したため、「連戰連敗」と メディア に誹られました。
以上の事情から、連戰の台灣語 (ホーロー語) は、台灣生れ台灣育ちの人ほど達者ではありません。
北京語が通じなかった祖母と家庭内で話合つただけなのです。
彼は2000年と2004年の 2度に亙り、總統選で自分を總統に選ばなかつた台灣人を懲罰するため、國民黨主席であつた2005年 3月に黨代表團を率ゐて中國に赴き、胡錦濤總書記と國共黨首會談を行つて、早期統一を約束しました。
連戰は前述した通り、母も妻も中國人であり、
自ら「私は純粹の中國人(ピュア・チャイニーズ)だ」と米國で宣言してゐます。
だから、連戰を「本省人」とするのは誤解の元です。
強ひて本省人とすれば、「台奸」(台灣人の賣國奴)となります。
馬英九は、父馬鶴凌 (1920-2005.11.1) が湖南省衡山出身の外省人です。
本人は、 國共内戰で父母が大陸を脱出して香港に居た時、香港の九龍で生れました。
(英領香港の九龍で生れたから「英九」との説あり。本人は否定。古典から名付けたと)
伊原追記:
自分の名について、馬英九自身が最近、こう解説してゐます (TVBS 2.28/12:14):
2月27日、馬英九總統が90歳の詩人周夢蝶と會見した時、自分の名前の小さな秘密を漏らした。
父馬鶴凌が長男の名前を考へた時、詩人陸游の詩「示兒」から文字を取り、膺九 (發音は英九と全く同じ) を考へた。
「『膺』は本來、拳拳服膺の膺だが、實は胸懷 (抱負・胸中の思ひ) といふ意味なんだ。そして九は九州 (中國全土) の九なんだ」
馬鶴凌は、中共に奪はれた中國大陸奪回の夢を長男に託さうと考へたのです。
「父は大陸から香港に出て來たところで、神州が中共に奪はれたとの思ひが生々しかつたのだ」
だがあれこれ考へた末、英雄の英を採用して英九と名付けた。
息子に「英才繼起」の望みを託したのである、と。
父も母秦厚修も中央政治學校出身です。
(中國國民黨の黨學校。台灣の國立政治大學の前身)
父は馬英九に「總統になれ」との意を籠めて、帝王教育を施したと言はれてゐます。
もう一つ、反日教育も。
この父は、青幇の巨頭、杜月笙の子分と言はれ、
だから中共の上海制壓後に香港へ逃げた親分のあとを追つて香港に來たのだ、といはれます。
馬英九の傳記的事項はこれくらゐにして──
1998.12.の選舉で再選を目指す陳水扁市長と台北市長選を競つた時、應援に來た李登輝總統の
「君は何處の人かね?」
といふ問に、
「私は台灣人です。台灣の米を食べ、台灣の水を飲んで育つた新台灣人です」
と台灣語で模範回答を公言して台灣人の喝采を受け、人氣抜群だつた陳水扁市長の再選を阻みました。
馬英九はその後も、折に觸れて台灣の下町「萬華」育ちであつたことをひけらかします。
でも彼は「誇り高き中國人」として育てられましたから、台灣人とは交はらずに育ちました。
長じてから、人氣取り用に學んだ彼の台灣語(ホーロー語) はたどたどしく、「ご愛嬌」の域を出ません。
(最近、學習の成果があがつて、大分流暢になりました)
馬英九自身は、上述したやうに香港生れですけれども、
誇り高き中國人である父親から古典と中華思想を叩き込まれて育つてゐます。
だから、邊境の台灣に本心から同化することはありません。
彼の台灣意識は專ら選舉用のよそゆきの演技であります。
そういふ馬英九の中國政策は、
「終極の統一」を言つて中國を後楯に台灣人に君臨し、
あと半世紀、台灣で國民黨政權を維持すること、です。
さて、以上は「在台中國國民黨」内の二つの中國政策の説明でした。
ところが、袁紅冰が暴露したと稱する中共の台灣併呑策は、
中國國民黨政權の息の根を止める「直轄統治」策なのです。
第二の文書「對台軍事鬪爭準備案」は 2012.3.の台灣總統選後に
3つの事態を想定をしてゐます(213 頁)。
この間に台灣に進攻して占領する。
第二、國民黨が勝つても、「台灣問題解決の政治戰略」に規定した方針を拒絶し、
「中華人民共和國政府を中央政府と認め、中華民國の憲法・國號・國旗を廢止する」
平和統一協議に調印を拒否するやうなら、武力で台灣問題を解決する。
第三、國民黨が勝つたあと、中共と平和統一協議の調印過程で民進黨が大規模抗議活動を展開し、
社會が混亂すれば、「反國家分裂法」に基き一擧に台灣を軍事占領する。
馬英九は上述したやうに、中共を後楯にして台灣で更に50年間統治を續けるつもりです。
しかし、國共内戰に完勝したと考へ、國民黨を歴史の遺物と見做す中共に、國民黨と共存を續ける氣など、さらさらないやうです。
本書によれば、 2012年の總統選後、直ちに直屬組織として「台灣社會民主黨」を設立し、國民黨を監視させ牽制さす。
そして2016年の次の總統選で台灣社民黨政權を設立し、國民黨と交代さす豫定です。
國民黨はこれで消滅する筈ですが、假令生延びても、中共に弊履の如く扱はれる筈です(229 頁)。
袁紅冰曰く、
過去一世紀近い流血の國共鬪爭史を顧みれば、
一番「親共・媚共・投共」をやつてはならぬ政治黨派が國民黨なのだ。
それなのに「親共・媚共・投共」をやつたから、恥晒しの末路を迎へるのだ、と(224 頁)。
日本=窮鳥が懷に入れば助けてやる。
中國=「水に落ちた犬はぶつ叩け」 (打落水狗)
歴史に學ばぬ者は、歴史に復讐されるのです。
大體、中共が、一世紀近く死闘を繰返してきた政敵を生延びさせると思ふ方がどうかしてゐます。
孫子曰く、「彼ヲ知ラス己ヲ知ラサレハ百戰殆フシ」
因に、台灣社民黨の資金源は、大陸在住の二百萬台灣商人だと本書は言ひます(230 頁)。
中共政權下で儲けようとした愚か者は、骨までしやぶられるのです。
台灣社民黨の骨格勢力は、中共が長年に亙り台灣各界各層で培養してきた秘密勢力ださうです。
指導層百名の中の「しつかり繋ぎ止める目標」として、次のやうな名前が擧つてゐます。
民進黨 元主席 許信良
前無黨團結聯盟主席 林炳坤
親民黨 秘書長 秦金生
新 黨 主 席 郁慕明
中國國民黨副主席 朱立倫。
台灣社民黨の具體的任務は──
第一、2012年の總統選後に混亂が生じた際、
台灣人民名義で中共軍に救援を求めること。
第二、民進黨が勝つた場合、國民黨と聯繋して激烈な街頭運動をやり、
中共に派兵を求める口實を演出すること。
第三、國民黨が總統選に勝つた場合、
政治・經濟・文化・社會輿論により全面的に壓力をかけて、
秋の中共十八全大會までに中共と平和協議をさせ、
「中華民國の國號・國旗・憲法を廢止して中共政權を中央政府と認める和平統一政治協議」
に同意させること。
第四、遲くとも2016年までに政權をとること。
胡錦濤は 2008.6.の秘密會議で、かう言つたと本書は書いてゐます。
「2012年の政治統一實現より、
「2016年の台灣社民黨の執政(つまり、國民黨の追放)の方が大事だ。
「これにより、國共鬪爭が中共の全面勝利で幕を閉ぢるからだ」(232頁)
かくて哀れなる馬英九は、中共から「水に落ちた犬」扱ひされる運命に逢着します。
三 台灣の希望は斷固たる「獨立意志」の表明
台灣の自由と民主主義の餘命はあと 2年といふのですから、
台灣は大騒ぎと思ひきや、一向騒いでゐません。
袁紅冰自身、本書の中で、台灣人は鈍いと嘆いてゐます。
先づ、彼の知友は、
本書の内容に驚愕した末、中共の台灣併呑策は「筋が通らぬ」と反論した(73頁)。
袁紅冰は、獨裁者が筋の通らぬ決定をした例は史上珍しくないと實例を擧げて反論した。
次に、「安逸を貪る氣分」が台灣社會に瀰漫してゐるといひます(260 頁以下)。
これには私(伊原吉之助)から、
「天ハ自ラ助クル者ヲ助ク」
と言つておきませう。
この私の コメント は、
米國が「台灣關係法」で助けに來てくれると信じてゐるお人好しの台灣人
にも當てはまります。
著者袁紅冰は、
中共の弱點(六四天安門事件による權力の正統性の喪失と、經濟成長による政權の腐敗墮落)
を指摘し、
台灣の希望は自由のため燒身自殺した鄭南榕の精神を受繼ぐことだ、といひます。
イスラエルを見よ、とも。
亡國千年の後、國家を再建したのは、建國の意志を持續けたからだと。
そして、台灣の大災難(中共の暴政による併呑)と、
今や臨界點に達した中共の政治大危機
(先述した天安門事件による正統性喪失と、政權の腐敗墮落による大崩潰)
は同時並行して進行中だと言ひ、
台灣が鄭南榕精神を失はぬ限り、台灣は自由精神の希望の星。
中共の鐵血の暴政は神人共に許さざる罪業。
──と斷定します。
結語「台灣よ、汝は自由人を生み出すべし」で、袁紅冰は言ひます。
この結語は、「詩人」袁紅冰の面目躍如たる部分です。
人類は今や大危機に瀕してゐる。
深刻な今回の危機は本質的に精神的なもの、生命哲學的なものである。
この精神的危機の原因は、ヒューマニズム が人間を全面肯定し、歴史を神權政治の千年の暗黒から解放して天賦人權の名の下に、社會的自由に基く政治・法律・經濟體制を構築したことに由來する。
これは疑ひもなく巨大な歴史の進歩であつたものの、
殘念ながら物慾を引出し、貪慾を蔓延 (はびこ) らせた。
今や世界は道義地に堕ち、毒物・暴力・色情が氾濫してゐる。
更に生延びた全體主義が人類の精神危機に付け込んで自由・民主・人權を否定し、
專制支配を擴大中だ。
これぞ正しく人類の危機である。
ソ連東歐の社會主義陣營崩壞後、西歐知識人は共産主義の失敗と斷言したけれども、
これぞ淺はかな歐洲中心主義的偏見に過ぎず、
東方で中共の暴政が生延びてゐる事實を失念してゐる。
彼ら輕率なる西歐知識人は、中共はマルクス全體主義を放棄したと悦に入つてゐるが、
中共の暴政は、受繼いだ全體主義專制支配の魂を毫も變へてゐない。
變へたのは專制支配維持のための經濟運營方式だけだ。
「台灣よ、汝は自由人を生み出すべし」
私(袁紅冰)が中共の暴政下で政治奴隷の屈從を強ひられた經驗が、かう言はせる。
私(袁紅冰)の魂の墓碑銘には、
奴隷的屈從を強ひられた中國人・モンゴル人・チベット人の心靈の苦難
が刻み込まれてゐる。
中共の暴政で生命を喪つた幾多の靈が私に本書を書かせたのだ。
私(袁紅冰)は血涙を以て本書を書いた。
心靈の苦難を、自由の哲理と生命の史詩に昇華するために。
鄭南榕は私(袁紅冰)に肺腑の言を委囑した。
「台灣よ、汝は自由人を生み出すべし」
「そのためには必ず血の海、涙の波濤を踏み越へて行かねばならぬ」
讀み終へて、私(伊原吉之助)は想ひます、
「台灣の自由民主に期待するこの内蒙古人の肺腑の叫びが、台灣人に届くであらうか?」
そして、台灣と運命共同體で結ばれてゐる日本人には……?