自燈明・法燈明の考察

ホロコーストとイスラエル

 東京オリンピックに合わせて四連休ですが、どこのテレビをつけてみてもオリンピックの話題ばかりで正直辟易しています。私は本来、オリンピックには否定的では無いのですが、今回ばかりは新型コロナ禍の状況、また組織委員会や政府の不甲斐なさを見ているうち、東京オリンピックに関しても辟易してしまっています。
 考えてみたら「スポーツの祭典」「平和の祭典」という事を言いながら、実際にはそこには様々な利権が絡み、アスリートの活躍を利用してその様々な利権が蠢いている事を今回の東京オリンピックは明確に姿を現した感じがしています。

 もう今までの様にオリンピックを楽しむ事は無いですね。

 さてそんな状況なので、テレビを見る訳でもなく、この連休は外出するか、読書をするか、それとも動画を見るかで過ごしていますが、そんな中、以下の映画を観ていました。

OPERATION FINALE Official Trailer (2018) Oscar Isaac

 今回の東京オリンピック・パラリンピック大会でも、開閉会式のショーディレクターを務めていた元お笑い芸人の小林賢太郎氏が、過去にユダヤ人のホロコースト(大虐殺)を揶揄したセリフをお笑いネタに使っていたという事が判り、解任されたという事がありました。

  今回見た映画「オペレーション・ファイナル」は、このホロコーストに関与していたナチスSSのアドルフ・アイヒマンを、潜伏先のアルゼンチンから、イスラエルの特務機関(モサド)がイスラエルに連行し、エルサレムで裁判にかけるまでの物語です。



 ホロコーストではドイツ側の資料によると、1943年3月までに250万人のユダヤ人が殺害されたといわれていますが、日本人は「アンネの日記」や「アウシュビッツ」などでこの事を記憶している方は多いと思います。このナチスドイツの行った凶行というのは、人類の罪として未だに世界中の人々の中で記憶されている歴史的な事件です。

 このナチスドイツが行った事は、これから先も決して許される事ではありません。しかし最近、私はこのホロコーストと併せて考えている事があります。それはイスラエルという国の事です。

 いまイスラエルがある場所は、歴史的には古代の鉄器時代からユダヤ人は住んでいたと言われていて、その後、紀元6年ごろにはローマ帝国のユダヤ属州となりその後ユダヤ人は追放、パレスチナ人の領土となったそうです。
 その後ユダヤ人は「国無き民」として世界中に拡散し、一部は金融業等を生業として富を得ていた人もいたそうですが、それが故に人々から蔑まれたりもしていた様です。「ベニスの商人」に描かれている「人肉抵当裁判」で紹介された内容は、その事を如実に示していると思います。

 このパレスチナ人の領土は十九世紀にはイギリスの信託統治領となっていましたが、第二次世界大戦当時、イギリスはユダヤ人に対して、戦争に協力すればこのパレスチナにユダヤ人の国の建国をしても良いと持ち掛け、それによりユダヤ人は連合国側の戦争に協力する事となりました。そして連合国が勝利した後、先のイギリスとの約束を背景として、ユダヤ人達はパレスチナに大量に入植を始め、イスラエルの建国を宣言しました。しかしそこには既にパレスチナ人も多く住んでいた事もあり、その事から第四次中東戦争まで、アラブとイスラエルとの間に戦争が勃発し、現代に至っています。

 イスラエルとアラブとの間の緊張関係は未だに続き、長い間、パレスチナに住んでいたパレスチナ人はイスラエルから迫害をされており、オスロ合意といわれるイスラエルとPLO(パレスチナ解放戦線)との間の和平協定が結ばれた後、いまだパレスチナ人はイスラエルから迫害され、多くの人達が殺害されています。

 確かに歴史的に見れば、パレスチナの土地とはユダヤ人の祖国のあった場所かもしれませんが、ユダヤ人が追放された後、そこはパレスチナ人の住む場所でもあった訳で、その場所は既にパレスチナ人の故郷にもなっているのですが、そのパレスチナ人に対する容赦ないイスラエルの姿勢を見るにつけ、「国無き民」として多くの不遇を受けてきた民族の怨恨の深さを感じてしまいます。

 確かにホロコーストが代表的な事件として歴史に残っていますが、それ以前にも長きに渡り、ユダヤ人は世界各地で迫害を受けて来た事を考えると、このイスラエルの行いも致し方なしという事もあるかもしれません。しかし過去に迫害されてきたユダヤ人達が建国した国家が、今度はパレスチナ人を迫害・殺害し、そのパレスチナ人の後ろ盾となっているアラブ諸国とも未だに争いを続けている姿勢に、私は何ともやるせない感じと、今の人類の抱えている「業(カルマ)」を見る想いがします。

 そもそもイスラエル建国は1948年5月ですが、その後すぐにイスラエル国防軍を創設する事が出来たという事実にも、私たちは目を向けなければならないでしょう。一体どの様な仕組みが背景にあって、あれだけ強力な国防軍を、これだけ短期に創設する事が出来たのか、そこにもやはり人類の抱えている「業」だけではなく、幕裏の演出家の姿を私は感じてしまいます。

 ホロコースト(大虐殺)は、人類の愚行としてこれからも記憶に留めなければなりません。しかしその先に建国されたイスラエルという国家の存在も併せて考えて見なければ、実はユダヤ人に関する問題や、今の人類の抱えている問題というのは、俯瞰してみる事は難しいのではないか。

 今回「オペレーション・ファイナル」という映画を観て、少し考えた事でした。


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