墓地の一番奥の隅の方にたたずむ彼岸花(ヒガンバナ)。
この秋も、その名の通りまさにお彼岸に合わせて咲きました。
いつの間にかニョキニョキと生えてくる不思議さが魅力的です。
古くからお墓に植えられていたため、喜ばしいイメージはあまり無い、かわいそうな花です。
ヒガンバナには毒があるため、お墓に植えることで(昔は土葬だったため)遺体を掘り起こす獣から遺体を守るはたらきがあったといわれています。
死者を守るため、死者にたむけられる花…そういうイメージがあったのでしょう。
そのイメージのせいでいろいろな悪い迷信もついてまわります…。
彼岸の季節にだけ、本当にピンポイントで咲くこの花ですが、よくよく見るとなんともキレイではないでしょうか。
今境内で咲いているのは白いヒガンバナです。
白いヒガンバナの花言葉は「また会う日を楽しみに」だそうです。
お浄土を想うこのお彼岸に、先立って往かれた方がお浄土から、そう呼びかけてくださっているのではないでしょうか。
「いつか私もお浄土へと参らせていただきます。
それまでの日々を大切に歩ませていただきます。
またお浄土にてお会いしましょう。」
それまでの日々を大切に歩ませていただきます。
またお浄土にてお会いしましょう。」
そう念じさせて頂きながら、両手を合わせて日々を歩ませて頂きましょう。
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
仏事の小話④ (LINEにて配信)
彼岸入りにはお花は立てない??
彼岸入りにはお花は立てない??
お彼岸の季節となりました。
お彼岸は暦の上では、秋分の日(春分の日)を含む前後3日間を合わせた7日間を期間とします。
松山では、「お彼岸には入り花(いりばな)は立てない」という言葉があります。
古くからの言い伝えで、「お彼岸の時期に入ってからお花は立ててはいけない」と聞かれたことがあることでしょう。(※地域によります)
「立ててはいけない」というのは戒めであって、「お彼岸に入る前からきちんと用意をしましょう」という意味の表れではないかと私は受け止めております。
お彼岸に入ると親戚などもお墓参りに来られます。
「お彼岸だというのに、お墓掃除もしてないしお花も立ってないじゃないか!」
と言われないように、お彼岸がくる前にお墓のお掃除をして、お花をきちんと立てておきましょう!ということです。
お彼岸に入ってから大慌てで準備をするのではなく、忘れずに、ご先祖さまのことを後回しにすることなく、前もって用意しておきなさい、という古くからの戒めとしての意味なのです。
入り花を立てたら悪いことが起きるとか、そういうことは一切ありません。
できるだけ後回しにはしたくないところですが、ご遠方の方など、どうしても難しい場合には仕方ありませんので、お彼岸に入ってからでもどうぞお花をお供えしてください。
また、お彼岸は暑くもなく、寒くもなく、一年で最も過ごしやすい季節であるともいいます。(近年はまだまだ暑い日が多いようですが…)
せっかくの過ごしやすい気候のお彼岸です。
祝日にもなっていることですし、ご家族皆さん揃ってお参りされてどうでしょうか。
(お墓参りだけで済ませるのではなく、お寺にもきちんとお参りしましょう♪)
※なお、「お花を立てる」ではなく「お花をお供えする」と言う方がスマートです。
似たような言葉に、「ご法事は命日より前にしなければならない」というものがあります。
これも同じことです。
先立って往かれた方の大切な法事を後回しにするのではなく、何よりも優先して勤めましょうという、ご先祖さまのことを思う心から生まれた言葉です。
近年は、忙しいからとご法事も、お墓参りも、義務的にこなさないといけないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
先立って往かれた方々がいらっしゃったからこそ、今の私たちがここに在るのです。
おかげさまの中に生かされている私たちの姿を見つめて頂きながらお参りください。
昔の方々は何よりも仏さまや神様、ご先祖さまのことを大事にしておりました。
普段、いかに私たちが自分の都合ばかりを優先させて日々を過ごしているのか…
忙しい毎日のなかで、ついつい言い訳ばかりをしながら過ごしてしまっている…
この度のお彼岸のご縁には、そのことを見つめながら過ごしてみたいと思います。