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Re.1998.12.18

2008-12-18 15:46:03 | 旧メンバーブログ
「ほ~ら、本物のコーヒーだぞ。」
とほろ酔いの父は、銀色のポットを大事そうに差し出した。

町にたった1件しかなかった、父の同級生の経営する喫茶店のものだった。

中学生だった私の舌に、それはたいした印象はしなかったが、
「本物」と力を込めた言葉だけ妙に記憶に残っている。

本物の味に出会ったのは、ずいぶん後のことだ。
東京でのOL時代、コーヒーの大好きな先輩がいて、
銀座、吉祥寺やらと1杯のコーヒーを求めて
同僚たちとでかけた。

私はそこで、マンデリンという苦味の勝ったコーヒーが1番好きだった。
それもしっかりと焙煎したやつを濃いめにいれたものが。

本物のおいしいコーヒーだと、最初に私の頭の中に
インプットされたというだけの理由なのだが。

マンデリンを台所のテーブルでガリガリとひいていると、
中2の長男が顔を出した。

「あ~僕にも、1杯入れてよ」
私はカップを2つ用意する。
「コーヒー、っておいしいね」の言葉に、
「ムム、オヌシ、いけるね。」私はほくそ笑む。

夫は私がコーヒーのうんちくをたれると、
何を言ってんだとばかりに、インスタントをすすりはじめる。

だから、私は1人きりで舌のうえの苦味を転がしていた。

(朝日新聞 1998年12月18日付 ひととき より)

本物のコーヒーの味といわれても、今の自分には
いつ飲んだときが、本物だったろうと考えてみるも
いつかはわからない。

ブラックで飲めるようになったのは、
高校生くらいからだった。

甘党である自分は、それでも、まだブラックで飲むことは
少ないのだが・・・・

寒くなってくる冬の季節
自動販売機のホットの缶に、手を温めてもらった人も多いのではないだろうか

温かさと苦味の交じるコーヒー
これから、私はコーヒーとどんな思い出ができるか
楽しみである。


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