空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

月組「舞音-MANON-」「GOLDEN JAZZ」

2015-11-29 13:55:56 | 観劇(タカラヅカ)
こんなのが、見たかったんだと気付いた。

【舞音-MANON- ~アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」より~

原作は読んでないし、過去にバウであったやつ(これも景子先生ですね)も見てません。
Wikipediaであらすじを追った感想としては「ひどい話やな~」
でも宝塚だからマノンのキャラ造形はソフトになるはずで。
景子先生の舞台なのだからとにかく美しいのは確実なので、そこは安心して行きました。

そして、気付く。

私は、まさちゃぴの恋愛物が見たかったんだ…!!

コンビ3年目にしての気付き。
そう、ロミジュリから3年。やっと、見たかったものが見られた。
ベルばらとか風共とか1789とか、そもそもカップル役じゃないのも多かったし、
パックも子どもの初恋だし、ルパンもあっさりだし。(全ツ見られてないし。)
ミーマイもきゅんきゅんしたけど、あれもかわいい系だし。
こってり濃厚なのに飢えてたんだなあと。

ど……っぷりの恋愛物。満腹です。

トップ就任より前からのまさおスキーです。
ちょっと狂気入ったまさおが好きです。
愛なのか、ただの執着なのか、下手したらそれは憎しみなんじゃないの?
と思ってしまうようなまさおが見たいので、
もうちょっとやりすぎてくれても良いぐらいなのですが、
まあ、現在「まさお節」が抑制されてるので(笑)今ぐらいが適正なのかな、
景子先生ありがとう。

まずは、眼福。
白い軍服@海軍さんが美しすぎる。何あのスタイル!(白目)
宝塚男役の完成形の一つだよね。
まさお君、こんなに白が似合ったのか。
悲劇をやりながら、どこかに「軽さ」(軽薄って意味じゃなく、軽やかさ)が残るのが、
あさこさんの下で育った人なんだなあ…と思う。

美しいまさおと美しいちゃぴのメロドラマなんですから宝塚として正解、
この作品への世間の評価がいろいろあったとしても(よく知らないけど)
これでいいんだよと思ってしまう。


内容面ですが。
構成というか印象は、「舞姫」に似ていると思いました。
あ、タイトルがじゃなく(笑)テーマが。
国のために歩んできたこれまでの人生と、個人としての愛との選択。
主人公の選択は真逆だし、ヒロイン像も全然違うんだけど、
結局悲劇になるんですね……

ベトナム近代史ってダイレクトに現代に繋がるので、
どうしても生々しくなってしまうのですが、景子先生の舞台特有の美しさで、
ぎりぎり、ファンタジーとして存在できてたと思います。
お祭の場面が中盤にあるのは宝塚のお約束ですが、ランタンの祭のシーンが良かった。

非常に上から目線で恐縮なのですが、
一番盛り上がる曲がクライマックスに来るようになり、景子先生成長したなと(爆)
タメとカタルシスというか、
これでもかとばかりに良い曲が詰め込まれて逆に平板になっちゃってるのが過去にあったので。
その曲(「I found Love」)も、良い曲な上に、まさお君の美声で、
うっとり酔いしれることができる。
いいものを見た、と素直に思える。
ラストは泣いちゃったし。


そして誰よりも、ヒロイン・ちゃぴの功績ですね。
アオザイを美しく着こなすためにはあれだけのスタイルが要るのかな(遠い目)
ファム・ファタルでありながら、あの透明感!!
彼女なら、もっと悪女キャラにしても、宝塚ヒロインたりえたんじゃないかとさえ思います。
無理に犠牲者にしなくても、本当に罪を犯していても。
(…というわけで、来年のカルメンが見たいです…)
元々好きだったけど、マリー・アントワネットで一皮むけた感じ。
歌も本当に上手くなったし。

繰り返しになりますが、まさおとちゃぴが真っ正面から恋愛するのを見るのが本当に久しぶりで。
求め合って傷付け合って、でも「運命の人」であることの説得力ったら。

こんな2人が見たかったんですよ。


みやるりの役(「もう一人のシャルル」)は、景子先生の信頼の表れだと思います。
最後の最後までセリフが1つも無いけど、それでもずっと舞台にいる。
前半に出てきたエロダンス(違)は、…「薔薇に降る雨」にこんなのあったな~と思い出しました。
この役柄が成功してたかどうかはかなり微妙だと思いますが(爆)
ずっと美しいみやるりを見ていられて幸せではありました。

かちゃ@クリストフはまさお@シャルルの親友役…多いよね、この設定。
この2人はかなり相性がいいと思ってるので、
もっとがっつり絡み合うのが見たいんですが(それこそ、豊太郎と相沢的な)
どうしてもあっさりで終わっちゃうんですよね……
かちゃは善良な役が似合うんだなあ、というのは月組になってからの発見。

たまきち@クオンは、第一印象が「美しい」になったのが、大きな成長。
後は、迫力を出すことですね。頑張れ!!

とし君@ソン、良かった。
わかばちゃん@カロリーヌ、やっぱり抜群にかわいい。
くらげちゃん@ホマの造形は、女性作家ならではだなあと思います。マノンに対する視点がいかにも女性的。

マギー@ギョームとすー様@マダム・チャンの安定感たるや。
てか、すー様のラスボスオーラってどうしても消せませんよね(笑)



【GOLDEN JAZZ】

すっきり上品なお芝居に対して、正統派ギラギラのショー。
ジャズなので、曲のテンポが全体的におとなしめなのですが、
その分、衣装がキンキラキン(笑)
主題歌の雰囲気含めて「年の瀬」感がめっちゃあるんですが、
これ、年明けの東京公演大丈夫?と心配してしまうレベル(笑)

最大のトピックは「たまきち二番手!!」ってところでしょうか。
歌もダンスもいけるし、ビジュアルも大成長中なので、
あと必要なのは押し出しだよね。
キラキラタイプじゃないからなあ。それはそれでいいので。
「俺、スター!!」という自信を持ってもらえれば。

中詰後のメインシーン、「Rhythm」。
どこの「カポイェラ」だよ、と、恐らく全員がツッコんだと思いますが、
迫力は満点でした。
ちえちゃんのポジションは、ちゃぴ!!
娘役の実質ソロ場面ですよ。それもダンスの。
いや、凄かったです。伝説になりそう、これ。
千海君の歌にも聞き惚れました。

その次のシーン、「GOD SONGS」。
まさお君の歌を、じっくり聞かせる。

この2つのシーンを続けて見て、何か、2人とも、完成したんだなあ…としみじみ思った。
ちゃぴのダンス、まさお君の歌、得意分野をそれぞれ極めつつ、コンビとしても。
宝塚のトップスターとしてのゴールに辿り着きつつあるのだと。
これは2年前に「Mr.Swing!!」を見たときの感想に近い…って、
あの時と芝居・ショーの作家の組み合わせが一緒なんだけどね。

この先、月組がどうなるのだとしても(「FOREVER LOVE」だしなあ…)
「今」の最高の形を見ることができたと思ってる。

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