源氏物語について語らせると長いですよ(笑)
何しろ、小学校時代からになりますので。「私と源氏物語」は。
それなのに文学部に進学せずに周囲を驚かせた過去も。
大劇場で「源氏物語」を見るのは初めてです。
21年前の「新源氏」上演は勿論見ておらず、「あさきゆめみし」もまだヅカファンじゃなかった。
オサ様主演の「あさきゆめみしII」は、見ました。梅芸で。
あさきりの「夢の浮橋」は見に行けず…(幾つかある「一生の不覚」の一つ)
その後、NHKの放送で見て、震えるほど感動した作品。
こんな解釈があったのか!!…と。
それにしても、最近、王朝物って本当にご無沙汰だったのですね。
「夢の浮橋」が最後で、それが7年前。
最近雪組さんが和物続き(次もだし)だったので感覚が麻痺してましたが、
あれ全部、戦国~江戸だもんね。(ていうか幕末多すぎ)
パンフのコメント見る限り、大野先生が王朝物書きたくて書きたくて仕方ないみたいなので
(でも次作は「信長」と発表がありましたが)
楽しみに待っています。あ、ウエクミ先生にも期待。「月雲の皇子」に引き続きの…。
【新源氏物語】
源氏オタのくせに田辺版読んでいなかったので(いきなりツッコミ待ち)
この機会に読んでみました。
「あさきゆめみし」の種本だったのか、というのはわりと早い段階で気付き、
そのまま何の違和感も無くさらさら読了。
この「何の違和感も無く」というのが凄いよね。お聖さんの力。
読みやすい文章、読みやすい再構成で、内容が自然に入ってくる。心地よい、美しい文章。
「あさき」をはじめ、後の作品に大きく影響を与えたのも納得。
まあ、「あさきゆめみし」と基本解釈が一緒ですので、予習としては「あさき」で行けると思います。
幕開きはチョンパ!!
…ため息がでるほど美しい。やっぱり日本物はチョンパがいいよね~
大階段を使ってのオープニング。
作品全体が「絵巻物」なんですよね。その世界観が、最初に示されている。
不満点が、無いわけじゃない。
高貴な女性が顔を晒しすぎでしょ、と思うのだけれど、
いちいち扇や御簾で隠してたら舞台ビジュアルとしてなかなかしんどいことになるので、
まあこれは舞台上の嘘として許されるレベルでしょう。
エピソードの順番入替も、わかりやすくするためには必要だと思うし。
あ、犬君が男の子なのは直してほしい…
とにかく、息つく暇も無いほどのダイジェスト版。
夕顔-玉鬘ラインのカット(頭の中将が「常夏の女」を語る場面はある)、
明石エピソードのカット(入道だけ登場)、この辺は妥当。
その割に夕霧と雲居雁とのエピソードとかがちゃんと出てくるけど。
そして省略しすぎたせいで、若紫エピソードの犯罪度が増している!(爆)
せめて尼君死んでから略奪しなきゃ!!
正直、誰に感情移入していいのかわからなくて、
とにかく、明日海りおの美貌を見ていた。
まさしく「光る君」の美しさ。
紅葉賀の青海波のシーンは無いけど、代わりに花宴の桜の舞があったし。うっとり。
それに浸りながら。
「どうせ、桐壺の更衣と藤壺の宮と紫の上と光源氏と冷泉帝と夕霧は
全員が『同じ顔』設定なんだから、みりお君一人で6役ぐらいやっちゃって良いのでは?
歌舞伎の『お染の七役』みたいに。」とか思ってしまっていたのですよ。
それぐらい、光源氏のワンマンショーで。
藤壺も紫の上も、六条御息所と同等ぐらいの点景にしかならない。
(そもそも「藤壺と紫の上がそっくり」がわからない~~)
必要な情報は全部、セリフか歌かで説明されてるし、「光源氏の一生」を網羅する
「100分でわかる源氏物語」でいいのかな、と思っていたのですが。
いや~、柴田作品は、ラストで持って行きますね。
「あかねさす紫の花」にしても、「花の業平」にしても、
中盤に不満はあってもラストシーンの衝撃とその余韻で、
文学作品を読み終えた、という満足感を得ることができる。
(「アルジェの男」みたいに、正直成功してないな~と思えるものもある…)
そして、そのラストから作品全体を照射したときに。
この「新源氏物語」のテーマと構成が、クリアに見えた。
なまじ、「田辺聖子作」とか言うから惑わされたんですね。
これは田辺版じゃない。「柴田版」もしくは「柴田・大野版」
(どこまで大野先生の意向が入ってるかはわからないけど、「夢の浮橋」と地続きの世界だなとも思ったので。)
と呼ぶべきものだ。田辺版のセリフとかも別に使ってないしね。
いっそ、橋本治版とかに準拠したほうが面白かったかもしれないよ。
田辺源氏は、(私の感想としては)光源氏を通した女たちの物語。
描き方が細やかで、紫の上を筆頭に、登場する女人たちに感情移入して読めたんですよね。
一方、この宝塚版のテーマは、「光源氏の罪と罰」だ。
柏木と女三宮の密通、という、最大の報いを受けて、光源氏は自分の罪を再確認する。
そしてそれが、父から最後まで「赦されていなかった」ということも。
光源氏を赦さないまま、死ぬ瞬間までそれを秘め続けた父の生き方の上に、
光源氏もまた、用意された栄華の道を歩み続けなければならない。
一見、栄光に見える、地獄の道を。
だから、選ばれたエピソードは全て、光源氏の罪の物語なのだ。
藤壺@かのちゃん、紫の上@べーちゃん、
葵の上@じゅりあ様、六条御息所@カレー君、朧月夜@仙名さん。
(六条御息所と柏木がカレー君のワンキャストだったのは、
柏木事件の黒幕が御息所の亡霊だったというのの暗示?)
須磨での桐壺帝の亡霊出現シーンから、一気に女三宮降嫁まで話が飛ぶのも、納得。
必要だったのは、桐壺帝だったのね。
「恋の残酷 五十四帖/恋の過ち 五十四帖」
主題歌「恋の曼荼羅」の歌詞だけど、まさしくこれだったんだな~と今更。
光源氏が体現した、様々な「恋の残酷」。
そしてその「罰」までも描き、それでも進み続ける光源氏の姿で締める。
オープニングと対をなす、壮麗なラストシーンで。
とにかく美しい舞台でした!
車争いから生霊騒ぎに至る場面が特に好き。
衣装が能の「葵上」とおなじ、蛇の鱗を表す衣だったのも良かった。
女性陣は言うに及ばず、男性陣もみんな綺麗だった!
惟光@キキちゃん、頭中将@アキラ君、夕霧@ちなつちゃん。
京さん演じる弘徽殿も良かった!!
これは名作。
【Melodia -熱く美しき旋律- 】
ショーはスペイン物。
安定の中村B先生。
2階席だったんですが、オペラ使用を控えめにしてフォーメーションを楽しみました。
とっても楽しかった!
そして私、KAZUMI-BOY先生の振付が大好物なので(後でパンフで気付いて「ああ、道理で…」と)
おいしく頂戴いたしました。
キキちゃんも安定してきたなあ。歌もダンスも、安心して見られるようになった。
カレー君のキラキラ感も半端ないし。カレー君のダンス大好き。
真由君とかマイティの銀橋に胸熱。(マイティの歌は手に汗握りましたが…)
B先生作品だと、娘役群舞が多いのも嬉しい。
ちょっと評価に困ってるのが「黄金郷」の場面。
ダンス自体は好きなんですが…あきら君も大活躍だし…
ピサロ主役なのに滅びるインカの悲哀も語られてたりするから、
視点をどこに持っていったらいいのかわからないのですよ。
あ、ここのかのちゃんはとっても好き。
黒燕尾はお腹いっぱいいただきました…花男最高。
でも、しばらく海外ミュージカルが続くんですよね…貴重なショーだったのね。
何しろ、小学校時代からになりますので。「私と源氏物語」は。
それなのに文学部に進学せずに周囲を驚かせた過去も。
大劇場で「源氏物語」を見るのは初めてです。
21年前の「新源氏」上演は勿論見ておらず、「あさきゆめみし」もまだヅカファンじゃなかった。
オサ様主演の「あさきゆめみしII」は、見ました。梅芸で。
あさきりの「夢の浮橋」は見に行けず…(幾つかある「一生の不覚」の一つ)
その後、NHKの放送で見て、震えるほど感動した作品。
こんな解釈があったのか!!…と。
それにしても、最近、王朝物って本当にご無沙汰だったのですね。
「夢の浮橋」が最後で、それが7年前。
最近雪組さんが和物続き(次もだし)だったので感覚が麻痺してましたが、
あれ全部、戦国~江戸だもんね。(ていうか幕末多すぎ)
パンフのコメント見る限り、大野先生が王朝物書きたくて書きたくて仕方ないみたいなので
(でも次作は「信長」と発表がありましたが)
楽しみに待っています。あ、ウエクミ先生にも期待。「月雲の皇子」に引き続きの…。
【新源氏物語】
源氏オタのくせに田辺版読んでいなかったので(いきなりツッコミ待ち)
この機会に読んでみました。
「あさきゆめみし」の種本だったのか、というのはわりと早い段階で気付き、
そのまま何の違和感も無くさらさら読了。
この「何の違和感も無く」というのが凄いよね。お聖さんの力。
読みやすい文章、読みやすい再構成で、内容が自然に入ってくる。心地よい、美しい文章。
「あさき」をはじめ、後の作品に大きく影響を与えたのも納得。
まあ、「あさきゆめみし」と基本解釈が一緒ですので、予習としては「あさき」で行けると思います。
幕開きはチョンパ!!
…ため息がでるほど美しい。やっぱり日本物はチョンパがいいよね~
大階段を使ってのオープニング。
作品全体が「絵巻物」なんですよね。その世界観が、最初に示されている。
不満点が、無いわけじゃない。
高貴な女性が顔を晒しすぎでしょ、と思うのだけれど、
いちいち扇や御簾で隠してたら舞台ビジュアルとしてなかなかしんどいことになるので、
まあこれは舞台上の嘘として許されるレベルでしょう。
エピソードの順番入替も、わかりやすくするためには必要だと思うし。
あ、犬君が男の子なのは直してほしい…
とにかく、息つく暇も無いほどのダイジェスト版。
夕顔-玉鬘ラインのカット(頭の中将が「常夏の女」を語る場面はある)、
明石エピソードのカット(入道だけ登場)、この辺は妥当。
その割に夕霧と雲居雁とのエピソードとかがちゃんと出てくるけど。
そして省略しすぎたせいで、若紫エピソードの犯罪度が増している!(爆)
せめて尼君死んでから略奪しなきゃ!!
正直、誰に感情移入していいのかわからなくて、
とにかく、明日海りおの美貌を見ていた。
まさしく「光る君」の美しさ。
紅葉賀の青海波のシーンは無いけど、代わりに花宴の桜の舞があったし。うっとり。
それに浸りながら。
「どうせ、桐壺の更衣と藤壺の宮と紫の上と光源氏と冷泉帝と夕霧は
全員が『同じ顔』設定なんだから、みりお君一人で6役ぐらいやっちゃって良いのでは?
歌舞伎の『お染の七役』みたいに。」とか思ってしまっていたのですよ。
それぐらい、光源氏のワンマンショーで。
藤壺も紫の上も、六条御息所と同等ぐらいの点景にしかならない。
(そもそも「藤壺と紫の上がそっくり」がわからない~~)
必要な情報は全部、セリフか歌かで説明されてるし、「光源氏の一生」を網羅する
「100分でわかる源氏物語」でいいのかな、と思っていたのですが。
いや~、柴田作品は、ラストで持って行きますね。
「あかねさす紫の花」にしても、「花の業平」にしても、
中盤に不満はあってもラストシーンの衝撃とその余韻で、
文学作品を読み終えた、という満足感を得ることができる。
(「アルジェの男」みたいに、正直成功してないな~と思えるものもある…)
そして、そのラストから作品全体を照射したときに。
この「新源氏物語」のテーマと構成が、クリアに見えた。
なまじ、「田辺聖子作」とか言うから惑わされたんですね。
これは田辺版じゃない。「柴田版」もしくは「柴田・大野版」
(どこまで大野先生の意向が入ってるかはわからないけど、「夢の浮橋」と地続きの世界だなとも思ったので。)
と呼ぶべきものだ。田辺版のセリフとかも別に使ってないしね。
いっそ、橋本治版とかに準拠したほうが面白かったかもしれないよ。
田辺源氏は、(私の感想としては)光源氏を通した女たちの物語。
描き方が細やかで、紫の上を筆頭に、登場する女人たちに感情移入して読めたんですよね。
一方、この宝塚版のテーマは、「光源氏の罪と罰」だ。
柏木と女三宮の密通、という、最大の報いを受けて、光源氏は自分の罪を再確認する。
そしてそれが、父から最後まで「赦されていなかった」ということも。
光源氏を赦さないまま、死ぬ瞬間までそれを秘め続けた父の生き方の上に、
光源氏もまた、用意された栄華の道を歩み続けなければならない。
一見、栄光に見える、地獄の道を。
だから、選ばれたエピソードは全て、光源氏の罪の物語なのだ。
藤壺@かのちゃん、紫の上@べーちゃん、
葵の上@じゅりあ様、六条御息所@カレー君、朧月夜@仙名さん。
(六条御息所と柏木がカレー君のワンキャストだったのは、
柏木事件の黒幕が御息所の亡霊だったというのの暗示?)
須磨での桐壺帝の亡霊出現シーンから、一気に女三宮降嫁まで話が飛ぶのも、納得。
必要だったのは、桐壺帝だったのね。
「恋の残酷 五十四帖/恋の過ち 五十四帖」
主題歌「恋の曼荼羅」の歌詞だけど、まさしくこれだったんだな~と今更。
光源氏が体現した、様々な「恋の残酷」。
そしてその「罰」までも描き、それでも進み続ける光源氏の姿で締める。
オープニングと対をなす、壮麗なラストシーンで。
とにかく美しい舞台でした!
車争いから生霊騒ぎに至る場面が特に好き。
衣装が能の「葵上」とおなじ、蛇の鱗を表す衣だったのも良かった。
女性陣は言うに及ばず、男性陣もみんな綺麗だった!
惟光@キキちゃん、頭中将@アキラ君、夕霧@ちなつちゃん。
京さん演じる弘徽殿も良かった!!
これは名作。
【Melodia -熱く美しき旋律- 】
ショーはスペイン物。
安定の中村B先生。
2階席だったんですが、オペラ使用を控えめにしてフォーメーションを楽しみました。
とっても楽しかった!
そして私、KAZUMI-BOY先生の振付が大好物なので(後でパンフで気付いて「ああ、道理で…」と)
おいしく頂戴いたしました。
キキちゃんも安定してきたなあ。歌もダンスも、安心して見られるようになった。
カレー君のキラキラ感も半端ないし。カレー君のダンス大好き。
真由君とかマイティの銀橋に胸熱。(マイティの歌は手に汗握りましたが…)
B先生作品だと、娘役群舞が多いのも嬉しい。
ちょっと評価に困ってるのが「黄金郷」の場面。
ダンス自体は好きなんですが…あきら君も大活躍だし…
ピサロ主役なのに滅びるインカの悲哀も語られてたりするから、
視点をどこに持っていったらいいのかわからないのですよ。
あ、ここのかのちゃんはとっても好き。
黒燕尾はお腹いっぱいいただきました…花男最高。
でも、しばらく海外ミュージカルが続くんですよね…貴重なショーだったのね。
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