空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

宙組「風と共に去りぬ」

2013-09-29 17:30:53 | 観劇(タカラヅカ)
ポスター最高ですよね!
「レット・バトラーという 生き方がある」
脚を組んだ凰稀かなめ氏がとにかくカッコ良すぎる!

3月に「モンテ・クリスト伯」を見たとき、髭付かなめさんがあまりにも素敵で、
「かなめさんならレット・バトラー見たいなあ…」と、こっそり思っていました。
まあ、そのときに想定してたのは、みりおんスカーレットなんですけどね~(未練)

【風と共に去りぬ】

宝塚版「風共」は、2004年の全ツ版をビデオで見ただけです。
2回ぐらい見たかな。
タカハナのバトラー&スカーレットは素敵だったし、ガイチさんのアシュレも最高だったのですが、
いかんせん、作品の「古さ」が目について、あんまり見直してません。
(VHSなので、もう再生ができないというのもある。)
映画版はその更に前に見て、…おおまかな粗筋と「名場面」しか覚えてないです(汗)
クラーク・ゲーブルとヴィヴィアン・リーが超絶美しかったのは確かですが。


宝塚版の何が一番の問題かって、バトラーを主役にするために不自然な構成になることだよな~
と思っていたのですが、実際に見てみると、
バトラーの物語でした。

スカーレットを一途に愛し続けるバトラー、
本心と裏腹な行動を取ってしまうバトラー、
わざと挑発的にスカーレットに迫るバトラー、
敗北が決定的になってから南軍に志願してしまうバトラー、
…これで外見が凰稀かなめなのですから、何この完璧ヒーロー@少女漫画(笑)
「不器用ですから」で許される、現実には存在しない理想の男。
(現実の不器用な男なんて面倒くさいだけですので(暴言)、フィクション内でのみ、存在可能。)

その上で、とっても切なかった。
飲んだくれてスカーレットに絡むシーンも、よく考えたらただのDVなのですが(爆)
彼の苦しみがよくわかる。
ラストシーンの選択の苦さも。
辛いのは、一人で去っていくレットの方。「さよならは言わずに」と、全てを飲み込む男の背中。
こんなにも悲しい男だったとは。

ルックスでは、ヒゲの似合いっぷりと、全ての衣装の着こなしっぷりが素晴らしい。
メラニーやベルに見せる優しさも良かったです。
同じようにスカーレットに接することができていたらねえ。
(そのくせ、甘やかしまくりなんだからタチが悪い)


今日のスカーレットはまぁ君。
単体で見ると、とーっても美しい。
特に、一幕最後の見せ場、「明日になれば」の熱唱は素晴らしかった! これぞスカーレット。
バザーでの舞踏会に走っていきそうになるところとか、帽子かぶってみせるところとか、
女の子な顔を見せるところはめちゃくちゃかわいかった!!

正直、バトラーとの並びは、まだまだ微妙かな…?(ごめん)いや、まず、見た目が。
アシュレとだとお似合いでした。バトラー立場無い(笑)
後は、ドレス捌きその他娘役芸が…(何せ男役ですから本来。)
今後良くなっていくことを期待します。

スカーレットも難しい役で、どう見たって性格最悪女なので(笑)
これでヒロイン! になるのはかなりの力技が必要。
まぁ君のスカーレット、魅力的でしたよ。
やっぱり「明日は明日の…」はラストにしてほしいなあ。カタルシスが…。

あ、スカIIのせーこちゃんもとっても良かったです。「私とあなたは裏表」耳が幸せ。


私は元々まぁ君が好きなので、せっかくなら、まぁアシュレを見たかったのですが、
まぁスカを選択したのは、これが最後のともちんアシュレを取ったためです。
とにかくカッコいい……! 包容力のあるアシュレでした。
二幕の、スカーレットに迫られて落ちかける場面がエロすぎたのは、まあ、ともちんだから(笑)
幕開きの「君はマグノリアの花の如く」も耳福。歌がいっぱい聞けて良かったです。
…しかしアシュレって、しどころ無い役だよね?
スカーレットに感情移入しにくい最大のポイントは、
「いやいや、どう考えてもバトラー>アシュレだから!」って点にあります。
まあ、最後にスカーレットがアシュレのダメさに気付かなければ話が成立しなくなるのか。難しい。


メラニー@みりおん。
これぞ天使これぞ菩薩(笑)
本当に本当に素晴らしかった…! エトワールの歌声も最高。(みりおん好き)
メラニーこそが、本当に「強い女性」なんだよねえ。因習的な考え方からも自由だし。
(スカーレットは結構、古い価値観に縛られている)
だから、彼女の死=全体の破局 になるのですね。

後は、緒月さんのベル・ワットリングが予想以上に良かった。
あったかい雰囲気が伝わってきて、彼女とメラニーの交流が全体の救いになっていた。
…いや、緒月さんの使い方としては勿体ないと思うんですが、
アトランタの御婦人方の中での浮きっぷりは見事でした。

マミィ@汝鳥さんとか、ミード夫妻@組長副組長とかは安定の上手さだったし、
役不足(本来の意味)ながら、ちーかいも良かったし、
メイベルのうららちゃんもめっちゃかわいかった…!


「風共」は音楽が良いですね。
勿論、ザッツ昭和、な歌謡曲なんですが、耳に残る名曲が多い。
「さよならは夕映えの中で」「君はマグノリアの花の如く」「明日になれば」「故郷は緑なり」
(「愛のフェニックス」はシチュエーションが微妙なのですよ…)
そして宙組のコーラスがいいのですよ!
音楽による場面展開も結構あって、ベルばらよりはよっぽどちゃんとミュージカルしている。
まあ、南北戦争の戦闘シーンなんかがまんまバスティーユやんとか、
セリが1回も使われなかったよ盆もラストで突然使われてやっと存在思い出したよとか、
演出上のツッコミ所も満載なんですが、泣けました。


見ながら感じていたのは、脚本家の戦争体験の重さです。
うーん、実はベルばらとかで叫ばれる「戦いの愚かさ」とか「命の尊さ」は、
あまりにも唐突で全然入ってこないことが多いのですが(これは鈴木圭作品にも共通)、
今回の舞台はアメリカ南北戦争。それも敗れた南部側。
その焦土から立ち上がる人々の姿は、植田氏自身が体験している太平洋戦争や、
近い所では先の震災を経た我が国の姿と重なるものがあって、セリフは同じなのに、リアリティがあった。
(これはCD「POWER OF MUSIC!」収録の「明日になれば」を聞いた時から感じていた。)

南部の敗戦は悲劇なんだけれど、正義が南部の側にあったかと言うとそうとも言い切れなくて、
敗戦と共に消えていく「南部の誇り」が決して全面的に礼賛されるものでもなく、
負けるべくして負けたんだと思えなくもない辺りもいいなと思った。
(ここまで脚本家が意図していたかは不明。セリフでは南部礼賛だし。)
息子を失ったミード夫妻の思いも理解はできるんだけど、
「北部の人間となんか同席できない」なんていう考えが戦争を招いたわけだし、
北部と協調して新しい世界を作ろうと歌う若者たちに共感しつつ、
自分たちは何のために戦ったのかと嘆くウィリーたち帰還兵の絶望もわかる。
一人一人の思いが、リアルな重みを持っている。


フィナーレは、緒月さんとかいちゃんの「君はマグノリアの花の如く」から。
緒月さんようやく男役解禁w
かなめさんとみりおんのデュエットダンスも見られて満足。
そして風共と言えば「ナイト&デイ」!


赤いスーツで踊ってキザるともちんを見ながら、思い出したのは5年前の「ダンシング・フォー・ユー」だった。
いや、9年前に初めて宙組を見たときからの、ともちんをずーっと思い出していた。
宙組一の、宝塚一の、のっぽさん。
ステラマリスのリンドンさんや、「竜馬伝!」の武市半平太や、
A/Lのレオンや、バレンシアのルカノールや、FANTASISTAのゴージャス美女や、
パラプリのシャルルや、アムールの6カラット。
久しぶりに再会した、銀英伝のオーベルシュタイン。
色濃い役が似合う人になっていたけど、あったかい持ち味は健在だった。
長くいてくれたと思っている。長くいて、完成された姿を見せてくれた。
覚悟はしてたけど、それでもやっぱり寂しい。
幸せになってください。
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