空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

月組「風と共に去りぬ」(梅田芸術劇場)

2014-01-25 22:35:53 | 観劇(タカラヅカ)
総集編、というのかな。スカーレットが中心になっているバージョンです。
まあ、原作考えたら、それが普通なんですが(笑)
宝塚はどうしても、ね。
トップスター・龍真咲がスカーレット、レット役は専科の轟悠さん。
気になっていたんですがなかなか予定が合わなくて。
突発的に滑り込みで見てきました。満足です。

【風と共に去りぬ】

幕開きは、スカーレット。ポスターにもなっている、白い輪っかドレス。

スタイル抜群! 顔ちっちゃい! そしてめっちゃかわいい!

私、去年の真咲君のオスカルが結構苦手で(笑)、
ついでにアンドレも、みりカル相手はとっても好きだったのに、ちぎカル相手が駄目で、
…それが、今回の観劇に躊躇してた一因だったりするんですよね。
いや、ミーマイのジャッキーは好きだったんだけど。
(そして、去年のミーマイ見たかったな~と今更思う。)

最初の場面は「樫の木屋敷」での園遊会です。
スカーレットとレット・バトラーが出会い、アシュレとメラニーが婚約し、
スカーレットがアシュレに振られて当てつけにチャールズと婚約し、
南北戦争が勃発する場面。

なぜ去年の宙組版にこの場面が無かったのかがわからない。
スカーレット中心でもレット中心でも、必要でしょう、この場面は!

轟レットは、何て言うか、さすがです。
実は轟さんメインの作品を生で見るのは初めてだったりする。(映像ではいっぱい見てる。)
唯一見たのが「風の錦絵」(2009)で、あれは和物ショーでの一場面だし。
最初は、去年の凰稀バトラーとの違いが違和感だったんですが、途中から、
この作品には轟バトラー以外考えられなくなりました。
(轟さんのバトラーは12年ぶりらしい…っていうか、
12年経ってまたこのクオリティでできるのが凄い。)

えー、この作品、何しろ、
真咲スカーレットの存在感がすごい。
正しく、愚かで自分勝手で傲慢でウザい小娘です。(※ほめてます)

宙組版は、群像劇としての「南部の敗戦」がテーマで、
その中にバトラーの存在感が浮かび上がっていたのに対して、
月組版のメインはあくまでも、スカーレットの強烈な個性で、
そんな彼女を受け止めるバトラーの包容力が際立つ感じでした。

また、かちゃのスカーレットIIが、真咲君との「同一人物」感が強くて、
(二人ともスタイル抜群!)あんまりIとIIが分裂してない(「裏表」じゃない)、
スカIIはあくまでもスカーレットの「本音」なのだというのがよくわかる感じで。

一幕で一番美しいのが、青年たちにちやほやされている娘時代でも、
自分の感情を抑えている喪服姿でもなく、ボロボロになったラストシーンというのも
とっても良かった。赤い土を握って立ち上がる、力強さこそが美しいスカーレット。
「明日になれば」は、もっともっと聞いていたかった。
まさき君の歌声は大好き。

二幕。こちらは一幕以上に、バトラー編と異なる展開。

一番印象が異なるのがミード博士かな。
中の人(すっしーさん→マギーさん)の個性がそもそも全然違うのだけれど
(最初、マギーさん見てミード先生だと気付かなかった)
こっちのミード先生ってば、「♪アトランタ~」と若者に交じって歌い踊るわ、
自ら銃を取ってKKK団に加わるわで完全に別人。
(逆にこっちではミード夫妻の息子戦死エピが無かったし)

う~ん、この辺のエピをバトラー編で削る意味はどこにあるんだろ?
ルネの出番は確かに減るけど、代わりにフランクとかチャールズとか、
若手男役の役の数は大して変わらないし、
逆にKKK団のエピはアシュレとか、何よりバトラーの大きな見せ場なのに。
(※最初にバトラー編があって、後から色々加えられたのは知ってます。)


自分の知らない「風共」の世界にどんどんどんどん引き込まれていって、
気付いたらその世界にすっと立っている「中心」は、真咲スカーレットなのだ。

後半はどの衣装も美しくってねえ。カーテンで作った自作ドレスでさえ。
そして、結婚披露パーティの圧倒的な美しさは言わずもがな。

ミード夫人が「スカーレットにだけは借りを作りたくない」って言う理由も、
今回のバージョン見て初めてわかったよ。

コマ君のアシュレはカッコいい。
スカーレットが彼に恋してしまうのはよくわかる。
失望するのも(笑)(二幕の彼は結構危険な男になってる)
ちゃぴメラニーも良い感じ。
スカーレットの存在が大きいから、メラニーの聖母性が絶対的なものにはならず、
むしろスカーレットに対置されるものだというのが面白い。

ベルも全然違うキャラだったな~。
スカーレット相手だとギャンギャン言い合って、湿っぽさが弱まる。
まあ、宙組のは緒月さんの存在感も大きかったけど。

ラストシーン、ここは変わらず、「さよならは夕映えの中で」。
やっぱり、バトラーが悲しいと思った。
辛いのは彼のほうだよねと。
スカーレットは絶対、立ち直るもん(笑)
男の哀愁が滲み出て(バトラーとスカーレットって結構年の差あるんだよね。それがよくわかった。
スカーレットと違ってレットにはやり直す時間が、たぶんあんまりない)
しみじみしたラストでした。

本編がっつりやった分、フィナーレは簡素に。男役・龍真咲は次の大劇場までお預けですね。
「ナイト&デイ」を入れる時間が無いからでしょうか、
スカーレットとバトラーとの和解デュエットがありました(笑)
これを蛇足と見るか、宝塚ならではのハッピーエンドと見るか。微妙なところ。

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