空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

ゲキ×シネ「髑髏城の七人」(2011・「ワカドクロ」)

2013-02-03 15:14:06 | ゲキシネ、舞台中継
やっぱりいいなあ。

1.「髑髏城の七人」という作品が。
2.「ゲキ×シネ」という企画が。
3.「ワカドクロ」の完成度が。

→答え:全部(笑)

満足です。

観劇時の感想はこちら
ゲキ×シネで見た2004年「アオドクロ」はこちら
これはDVD買っちゃったくらい大好きな作品。
同じく2004年「アカドクロ」はこちら
これは今年の1月に関西テレビで放送があったのを録画しました。楽しかったー。

つまり、劇団☆新感線の作品の中でも、特に馴染み深いものの一つ。
よく知っていて、そしてよく知っているからこそ、新たな発見も多かった。

まずは、当たり前のことから。
・早乙女太一@蘭兵衛の殺陣と所作が物凄すぎる。立っているだけでため息、動けば呆然。
・森山未來@天魔王の怪演ぶりとアクションが物凄すぎる。
・小栗旬@捨之介がカッコ良すぎる。
・小池栄子@極楽太夫が美しく、かつ男前すぎる。
・勝地涼@兵庫がバカすぎてかわいすぎる。
・仲里依紗@沙霧がかわいすぎる。

以上。まあ、世界の常識ですね、はい。
でも、大画面で改めて見た感動はなかなかのものでした。
小栗旬は3Dで見る迫力も凄かったけど、大写しになる笑顔の破壊力も凄いなあ。侮れん。

同じところで笑って、同じところで泣いて。
やっぱり面白い。

その上で、新しく気付いたところなど。

観劇時には、まだ「アカドクロ」「アオドクロ」の印象が自分の中で強すぎて、
天魔王と蘭兵衛の関係性がいまいち納得いかなかった。
過去作だと、天魔王は「信長の影武者」で、「信長と同じ顔」なので、
その天魔王に蘭兵衛が支配されてしまうのは必然に見えたんだけど
(そして、「アカ」も「アオ」も、2人のキスシーンがエロかったもんで…)
「ワカドクロ」では、この「影武者」「同じ顔」設定がなくなったもので、
天魔王と蘭兵衛がわりと対等な関係になり、その結果、まあ、早い話、
萌えの面では薄くなってしまって(「色気がない」とか書いてるもんな私…)
そこだけがいまいち好みじゃなかった。

映画で改めて見て、この2人に捨ノ介を加えた3者の関係が初めてクリアに見えた。
天魔王は支配者ではない。
支配しているのはあくまでも、「天魔の御霊」すなわち、今はもういない織田信長の存在である。
3人は「信長・ユーゲント」だっけ?(脚本家コメントより)
信長に支配され、本能寺の変から8年を経てもなお、その亡霊に
縛られ続けている若者たち。
信長の影から逃れられず、新しい人生を歩めない者たち。
天魔王は信長に成り代わって同じ夢を見ることを求め、
捨之介は全てを「捨て」て忘れようとし、
蘭兵衛は雑賀の女たちを守りながら、どこかで失った死に場所を求めている。
秀吉を侮り、家康を挑発するのもその若さゆえ。
「今度は一から、自分自身の力で」って、コドモの発言だよね。

過去作では、「同じ顔」ゆえに、天-地-人のトライアングルだったのが、
この「ワカドクロ」は、絶対的な「天」の下にいる、青年3人のトライアングルになっている。
であれば、蘭兵衛をめぐる関係性が変化するのもそれは当然。
違和感があったラストも、あれで正解だと思わされた。
「天魔王の首」は、「人(ジン)の男」のものではふさわしくない。
空っぽの仮面、真贋不明の「信長公のしゃれこうべ」こそがラスボスにふさわしい。
その魂を葬った関東平野に開かれる家康の国こそが、
天下統一の中心になるというのもね。


小池栄子の極楽太夫は、早い段階から蘭兵衛への秘めた思いを見え隠れさせていて、
だからこそ、あの決着に納得がいった。
まあ、極楽太夫(竜胆)と蘭兵衛の関係性は、前にも書いたけど
「アカドクロ」での、「戦友としての女2人」Ver.が一番好みだけど、
誰よりも強く誰よりも美しい早乙女蘭兵衛にはこれが正解。

関八州荒武者隊のくだりは、わかっていても毎回泣きます。

「百人斬り」は、全然見きれていなかったんだなあ。
使う刀が1本から2本になり、3本になりと、自在に変化していくのが面白い。
いや、すごい殺陣です。

たくさんの人に見てほしい。
文句なしの名作、です。

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