空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

宙組「王妃の館」「VIVA! FESTA!」

2017-02-12 18:58:16 | 観劇(タカラヅカ)
私の「ホーム」はやっぱり宙組なんだ、と実感してきました。

トップ娘役・みりおんの退団公演。
みりおんは、花組さんにいた頃から見てきた娘役さん。
美人さんで歌えてダンスもできて、大好きなんだけど、
…でもなぜかいつも、もどかしさも感じてきた。
娘役って難しい。

役に恵まれなかった、こともあると思う。
「風共」ではメラニー、『ベルばら』ではロザリー、って、
「それヒロインちゃうやん!!」みたいな扱いもあったし、
かといって『うたかたの恋』みたいな王道ヒロインは、
それはそれでコレジャナイ感があったと聞く。

知性が見えて、理が勝っちゃう感じが、宝塚のヒロインやるには不向きだったりもしたんだろうな。
だから、まぁ様と組んでからのアイーダやシェイクスピア夫人みたいな
知的で理性ある役柄はぴったりだったし、
シシィも、その延長線上である『双頭の鷲』の王妃も、
みりおんならではの気品と知性が見えて好きだった。

そして退団公演。

【王妃の館 -Chateau de la Reine-

原作は浅田次郎。未読です。映画版も見てません。
経営難からダブル・ブッキングツアーを敢行した旅行社と客たち、
それに宿泊先のホテルに出没したルイ14世の幽霊を巡る、
浅田節全開のドタバタ・ハートフル・コメディ。

まぁ様の役はスランプ中の作家、みりおんは旅行社の社長。

まずは一言。
色男・まぁ様が劇中で一番本気で口説く相手が、真風でいいの?(爆)

いやあ、いいツンデレでした、真風@ルイ14世。
あのツンツンを口説き落とせるまぁ様@右京、マジ凄腕。
……って。
まぁみりコンビの素晴らしさは、
どうしても理が勝って色気に欠けるお堅いみりおんを、
まぁ様が花組直伝の甘さと色気で口説き落とすのを、
観客がみりおん目線でうっとり堪能できるところじゃなかったの?
(※個人の感想です)
いやあ、今回のみりおん@玲子は、みりおん全開の素晴らしさなのですよ。
美貌と知性と矜恃、それが空回りすることがコメディになる…という、
みりおんでなきゃ成立しないヒロイン。
だからこそ! まぁ様、何を男口説くのに必死になっちゃってるの!?
と、思わずにはいられない。
いや、良かったんですよ、「同志」的な、まぁみりも。
でもサヨナラ公演だからなあ。
あのツンツンみりおんをこそ、まぁ様に口説き落としてほしかったなあ。

現代(昭和?)日本人がメインキャラなので、宝塚として成立させるのは難しい題材だったと思うのですが、
舞台背景と、衣装の美しさで何とか持たせた感じ。
持たせた、という辛口評価になってしまうのは、
どうしても、この「お笑い」ノリに「駄目だろう」と思ってしまうところが多かったから……。
石田先生作品に通じる「駄目」さ。
愛ちゃん@金沢のネタも大概だったけど、
りく君@クレヨンのいじり方が、
「この作品発表当時はともかく、今ではやったらあかんやろう」
とどうしても思ってしまう。
いや、りく君の本気の美女っぷりと、
あっきー@近藤の最後の対応とで、ギリギリセーフに
踏みとどまっていたかも知れないけれどね。

それでも、役がある人が多くて、
みんなで舞台上でわちゃわちゃやってる感は楽しかったし、
コメディの見せ場はそれぞれあるから、
組ファンは通えると思うし、一見さんも楽しめるから、
良い公演だとは思うのです。

シリアスパートその1の、真風&ディアナ@うららちゃんは
その美貌を生かして良い仕事をしていたし、
真風の空回りをまぁ様がいじり倒す様は
眼福かつとっても楽しかった。

シリアスパートその2の、すっしー&あおいちゃんの夫婦も、
「いかにも浅田次郎」だと思えばアリではあったし。

せーこちゃん@リツ子の扱いも、そら君@ピエールの言動が良心的で、
別に不快感は覚えなかったし。
そういう意味では、田渕先生が上手く処理してくれたのかも。

贅沢を言えば、せっかく舞台なのだから、ダブル・ブッキングの2つのツアーが
「同時並行でドタバタしている」感がもっとあれば良かったかなとか言ってみる。

ところで最近のお気に入り、ずんちゃん@戸川は、
もう可愛くて可愛くて!!

そしてずん×みりおんっていいよね。
同期の絆も見えるし(かつてのキムとな的な)
高嶺の花・みりおんへの純情ずんちゃん、というのが非常に萌えでした。(『双頭の鷲』に引き続き。)

【VIVA! FESTA!】
一本物が多くて、だいぶ待たされた感のある、まぁ様のショー。
中村A先生のショーも久しぶりだよね。
目新しさはないけれど(酷)安定して楽しませてくれる作品。

りく君のダンス全開だったのも良かったし、
ずんちゃんに見せ場が多くて隔世の感を覚えたし。

リオのカーニバルの場面は、正直、
「去年の夏やるべきだったのは(エリザじゃなくて)こっちやろ…」と思ってしまったけれど、
お約束の楽しさと盛り上がり。

中詰め後の2グループ対立シーンが、
「どこのFANTASISTA?」という既視感のあるものだったけれど、
だからこそ、「ああ、宙組だな」と実感した。
私のホーム。
10年前に「FANTASISTA」を見ながら「好きだー!!」と
叫びたくなってしまったあの頃の宙組の人たちは、
すっしーやあおいちゃんといった管理職以外、ほとんど
いなくなってしまったのだけれど、
それでも、私が一番好きなのは宙組なんだ。

黒燕尾最高。
そして最後に見せてくれた、まぁみりのデュエットダンスが泣けるほど素敵でした。
みりおん、好きだったよ。幸せになって下さい。

…「トップ娘役不在」という状況にはトラウマしかないので
正直とっても辛いのですが、それでも、
まぁ様と宙組のみんなと宙ファンの人々にとって
良い作品が来ますように。
(とりあえず、ウエクミ先生の新作はとっても楽しみ!!)

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