空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

ローズマリ・サトクリフ『血と砂―愛と死のアラビア―』(原書房)

2008-03-21 23:01:12 | 読書
「宝塚の原作を読もう」シリーズです。返却期限の前日になんとか読了。

私、児童文学読みのくせにサトクリフ未読でして。
いや、この『血と砂』は児童文学じゃないんですが。
性的な描写もしっかりあるしな。

舞台は19世紀前半のアラビア半島。
主人公トマス・キースはスコットランド生まれの兵士。
対オスマン帝国の戦闘で捕虜となり、エジプト軍に加わり、
やがてイスラム教に改宗してアラブの戦士となる。

上巻のハイライトは2か所。

トマスが「一なる神」を感じる体験をしてイスラムへの改宗を決める
(だってキリスト教でもイスラム教でも神は同じなのだから!)場面と、
送られた10人の刺客とトマスが対峙する場面。

とにかく面白く、わくわくして読める。
宗教的体験の緻密な心理描写はものすごく感動したし、
アクションシーンは手に汗を握って読んだ。

そして下巻に入ったのですが。
ここら辺でそろそろしんどくなってきた。
この時代・この地域の予備知識の少なさが。
当時のアラビア半島がどのような勢力関係になっていて、
登場人物Aと登場人物Bのどちらが立場が上で、
誰と誰が味方でいったい誰と戦っているのか。
文中でちゃんと説明してくれてるんだけど、
イスラム圏って似たような名前が多いのもあって、
頭の中がほんまにぐちゃぐちゃになってしまう。
(だいたい東へ向かってるのか西へ向かってるのかもわからん)

ヒロイン・アノウドとの出会いや、
トマスが生涯を捧げる王子トゥスンとの関係なんかは
やっぱり面白くすらすら読めるのに、
戦いの場面になると途端にペースが重くなる。
決して面白くないんじゃなくて、
状況が整理できなくてさっぱりわからなくなってしまうのだ。
描写が緻密で丁寧だからよけいに、
そういったバックグラウンドが理解できないとストーリーに取り残される。

最後まで読んで頭に浮かんだのは、
木曽義仲と今井兼平の関係かな。いやあ、壮絶でした。
(でもあまりにも救いがないとは感じた。特にアノウド。)

宝塚の原作としては、
ヒロインとの関係よりも主従関係のほうが熱いがいいのかとか
主要キャラに「少年」が多いぞとか
展開があまりにも皆殺し…とかいろいろ心配もあるんですが、

とりあえず壮一帆さん@トゥスン(多分)がものすごく楽しみです。
美しいだろうなー。わくわく。
あと、ナイリは誰がやるんだろう?(出るかどうかもわからんが)
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