実は、一昨々年から楽しみにしていました。
http://2.suk2.tok2.com/user/carter/?y=2007&m=11&d=15&a=0
学生時代に見た「狩野永徳」展の出口に予告ポスターが貼ってあったのだ。
そのときのコピーは「狩野派が恐れた絵師」。
自分の才能一つを武器に、巨人・狩野永徳率いる狩野派と戦った男。
(等伯の息子・久蔵はその才能を恐れた狩野派に暗殺されたとまで言われている。)
…まさかその当時は、ここまで遠方に暮らすことになるとはつゆほども思わず。
当然ながら休日にしか行けないし(もう一週間、前か後ろに長ければ平日でも行けたけど)
朝一番には行けないし、しかもありえないほど混んでいるみたいだし
(世間の人はそんなに「等伯」を知ってるのか!?
私も永徳とのライバル関係で認識している程度だったけども)
覚悟を決めて始発の特急で行ってきました。
土曜日の朝、9時半に到着。その時点で60分待ちの表示。
でも実際は40分足らずで入れました。
狩野永徳展のときは70分待ちで実際に1時間ぐらい待ったんだよなー。
どうも休日・平日の差はあんまりないのかな。団体客多かったし。
京都に出てくるまでの絵仏師時代の作品から、丹念に等伯の歴史を追っていく。
若いころからの様々な技術の積み重ねが、後に花開いたのがよくわかる。
お目当ては、国宝「楓図壁貼付」。
秀吉の息子・鶴松を弔うために建てられた寺の障壁画。
その緻密さ・繊細さ。
狩野派を研究して、その大胆な構図は取り入れつつ、細密画で鍛えた描写力を遺憾なく発揮する。
金箔を使いながら、永徳の絵に感じた毒々しさがない。
(永徳のは、その禍々しいまでのエネルギーが好きなんだけど。)
見ていて、穏やかな、優しい気持ちになってくる。
周りから洩れてくるのは「きれい」の声。
素直に、その美しさに浸ることができる。
重要文化財「竹林猿猴図屏風」。
親子3匹の猿が描かれた水墨画。
母猿に背負われた子猿が笑みを浮かべ、父猿がそれを見守っている。
栄光のさなか、苦楽を共にした妻子を失った等伯。
彼が守りたかったもの。失ったもの。その思いが胸を刺す。
チケットにも印刷されている目玉作品、国宝「松林図屏風」。
正直、テレビで特集を見ても、ポスターを見ても、何がいいのかさっぱりわからなかった。
何か地味だし、雑に見えるし、綺麗じゃないし。
説明されても、いまいち。
それが、実物を見て。
あれだな、印象派の絵とかもそうだけど、生を見なきゃわからないものってあるよね。
何も描いていない白い空間に、確かに「霧」が描かれているのが見えた。
墨の濃淡だけで表現された松林。近くの松、霧でかすむ遠くの松。
うっすら見える背景の山。
霧の中に沈む松林の光景が、その冷たい空気が、確かに伝わってきた。
何なんだ、これは。
どうしてこんなことができるんだ。
この部分はただ白い紙があるだけなのに、そこに漂う霧が、確かに見える。
圧倒されて、前を動けなかった。
見られて良かった。
記念に絵葉書を買ったけど、そこにはあの霧は写っていない。
この目で見なければ、わからなかった。
大満足です。
http://2.suk2.tok2.com/user/carter/?y=2007&m=11&d=15&a=0
学生時代に見た「狩野永徳」展の出口に予告ポスターが貼ってあったのだ。
そのときのコピーは「狩野派が恐れた絵師」。
自分の才能一つを武器に、巨人・狩野永徳率いる狩野派と戦った男。
(等伯の息子・久蔵はその才能を恐れた狩野派に暗殺されたとまで言われている。)
…まさかその当時は、ここまで遠方に暮らすことになるとはつゆほども思わず。
当然ながら休日にしか行けないし(もう一週間、前か後ろに長ければ平日でも行けたけど)
朝一番には行けないし、しかもありえないほど混んでいるみたいだし
(世間の人はそんなに「等伯」を知ってるのか!?
私も永徳とのライバル関係で認識している程度だったけども)
覚悟を決めて始発の特急で行ってきました。
土曜日の朝、9時半に到着。その時点で60分待ちの表示。
でも実際は40分足らずで入れました。
狩野永徳展のときは70分待ちで実際に1時間ぐらい待ったんだよなー。
どうも休日・平日の差はあんまりないのかな。団体客多かったし。
京都に出てくるまでの絵仏師時代の作品から、丹念に等伯の歴史を追っていく。
若いころからの様々な技術の積み重ねが、後に花開いたのがよくわかる。
お目当ては、国宝「楓図壁貼付」。
秀吉の息子・鶴松を弔うために建てられた寺の障壁画。
その緻密さ・繊細さ。
狩野派を研究して、その大胆な構図は取り入れつつ、細密画で鍛えた描写力を遺憾なく発揮する。
金箔を使いながら、永徳の絵に感じた毒々しさがない。
(永徳のは、その禍々しいまでのエネルギーが好きなんだけど。)
見ていて、穏やかな、優しい気持ちになってくる。
周りから洩れてくるのは「きれい」の声。
素直に、その美しさに浸ることができる。
重要文化財「竹林猿猴図屏風」。
親子3匹の猿が描かれた水墨画。
母猿に背負われた子猿が笑みを浮かべ、父猿がそれを見守っている。
栄光のさなか、苦楽を共にした妻子を失った等伯。
彼が守りたかったもの。失ったもの。その思いが胸を刺す。
チケットにも印刷されている目玉作品、国宝「松林図屏風」。
正直、テレビで特集を見ても、ポスターを見ても、何がいいのかさっぱりわからなかった。
何か地味だし、雑に見えるし、綺麗じゃないし。
説明されても、いまいち。
それが、実物を見て。
あれだな、印象派の絵とかもそうだけど、生を見なきゃわからないものってあるよね。
何も描いていない白い空間に、確かに「霧」が描かれているのが見えた。
墨の濃淡だけで表現された松林。近くの松、霧でかすむ遠くの松。
うっすら見える背景の山。
霧の中に沈む松林の光景が、その冷たい空気が、確かに伝わってきた。
何なんだ、これは。
どうしてこんなことができるんだ。
この部分はただ白い紙があるだけなのに、そこに漂う霧が、確かに見える。
圧倒されて、前を動けなかった。
見られて良かった。
記念に絵葉書を買ったけど、そこにはあの霧は写っていない。
この目で見なければ、わからなかった。
大満足です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます