空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

雪組「ひかりふる路」「SUPER VOYAGER!」

2017-12-03 21:43:52 | 観劇(タカラヅカ)
だいもん、まあやちゃん、トップお披露目おめでとう~~!

なかなかのチケ難公演でしたが、2回見に行くことができました。
雪組さんの人気は代替わりしても継続中、めでたいこと。
席は2回とも後ろの方(2回目は2階最後列)でしたが、
歌ウマトップコンビだと後ろの席でも恩恵があるのがいいですね。
客席降りも2階席まで来てくれたし。


【ひかりふる路 ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~

まず端的に言うと。面白かった。
(語りたいことが多すぎて、ブログ書くまで時間がかかりすぎたけど)
生田先生は、「BUND/NEON 上海」の時から気になっていたけれど、
萌えツボが似ている気がしてとっっっても楽しい。
(生田先生、森川久美好きだったりしません?<いつもの戯言
私の好み=「森川久美っぽい」しかない語彙力……)

題材は「いつものフランス革命」なので、
ロベスピエールの近くにショーヴラン@「スカーレット・ピンパーネル」とか、
カルロ@「愛と革命の詩」とか幻視してしまうのですが(笑)
だからこそ、ロベスピエール視点の物語、が新鮮でした。
お客さんにそれなりに基礎知識を要求している気がしますが、
まあヅカファンならこの辺の歴史はばっちこい、ですしね。
「続きは『眠らない男・ナポレオン』を見てね!」「前日譚は『1789』を見てね!」
「当然『ベルサイユのばら』は大丈夫だよね!」という感じ。
特に革命家3兄弟(by生田先生)の関係性が「1789」まんまで。
(そしてその時にダントンだったコマ君が今回デムーランなので軽く混乱する)
前日譚を知っている状態で臨んでいる、感じなので、今回の残酷な物語が余計に辛く哀しい。

物語を見ながら痛感したのは、
ギロチンという、機械的に人を殺せる装置が存在してしまったことの罪深さだ。
粛々と、流れ作業のように人を殺すことが可能になってしまったために、
「死」の身体性、一回性が覆い隠されてただの仕事になってしまう。
「手を汚す」ことの重みを感じられなくなってしまったのが、
マクシムやサン・ジュストの暴走の一因なのではないかと感じた。

生田先生もなかなかの歴史オタクだよな~と思った細かいこだわり。
帰ってからもいろいろ調べましたが、
最高存在を称える祭典は史実なのか…そしてマスゲームの元祖なのか…
この辺は「NEVER SAY GOODBYE」を思い出しました。ワイルドホーン繋がりで。
同じ年に同じ作曲家で同じ題材のミュージカルなんかするから、
ところどころ「ここ、『マダム・ギロチン』で良くない?」「ここ、『栄光の日々』で良くない?」
と思ってしまうけど、全部律儀に新曲。そしていい曲……!

あとは、キャストに絡めつつ。

だいもん@マクシミリアン・ロベスピエール(マクシム)。
だいもんのための役・だいもんのための曲。だいもんのための物語。
トップ就任おめでとう!!!
このマクシムは、純粋で、いい人で、でも不器用で、自分で制御しきれないパワーがある。
歪みすら、力に変えて光を放つ。
フルパワーのだいもんが解放される、快感。
生田先生、本当にだいもん好きだよねえと思いつつ、
作り手と演じ手の「全力投球」が噛み合った末に見られる物の素晴らしさに陶酔できる。


まあやちゃん@マリー・アンヌ。
真彩無双。
登場時の雰囲気はシャルロット・コルデーっぽいなと思ったんですが、
セシル・ルノーという人は生田先生インタビューを読むまで知らなかったです。
マクシムに実際に襲いかかったときに短剣2本持ってたのは、
セシルがそうだったからなのね。
(でもセシルだと処刑されちゃうから、結末を変えるために
架空キャラにしてシャルロットも混ぜた、と。)
印刷所の夫婦@ミトさんとにわにわ の苗字が「ルノー」なのも、
彼女の「家族を二度奪われた」に繋げるためか。
(あのセリフは、恋人も二度奪われた、と言ってるんだよね。
マクシムもマクシム自身に殺された、と。)

終始上手いんだけど、特に中盤、マクシム闇堕ち→恐怖政治宣言、の所の
「ポイント・オブ・ノー・リターン」(違)のデュエットの迫力!!
あのハイトーン、あのソプラノで、なおかつドスが効いてる、あんなの他では聞けない。
(あくまでも「娘役歌唱」のままやっちゃうのが凄ぇ。)
マジで鳥肌立ちました、はい。
だいもんと聞きたい曲いっぱいあるなあ。
ロイドウェーバー版「オペラ座の怪人」(できれば全曲)とか、
1曲だけでいいので「エヴィータとチェのタンゴ」とか。


咲ちゃん@ジョルジュ・ダントン。
咲ちゃんカッコいい…!!(感涙)
何か最近毎回言っている気がしますが、今回は、脱・親心(笑)
感慨よりも、素でのトキメキが勝りました。
(ただ、「1789」でも、宝塚版・東宝版ともにダントンに惚れたので、
「ダントン」というキャラが好きなだけ、という可能性は否めなかったり…)
ヒーローなのはダントン。
マクシムとマリー・アンヌとの愛には最後に救いがあるけれど、
ダントン、デムーランとの友情に救いが無いのが辛い。(巻き込まれたリュシルも)
本人たちは「友よ」と胸を張って顔を上げて死んでいくのが、
まだ救いと言えば救いかなあ。


コマちゃん@カミーユ・デムーラン。

コマちゃんが、好きだった。
コマちゃんで好きだった役は、何を置いてもアリョーシャ(「カラマーゾフの兄弟」)。
高野史緖『カラマーゾフの妹』を読んだ時に、コマちゃんの声で全部脳内再生されたぐらい、
コマちゃん以外のアリョーシャは私にとってあり得ない。
あゆちゃん@リーザとの、「気高く美しい」んだけど、どこか狂気を孕んだカップル、大好き。
シヴァーブリン(「黒い瞳」)酷薄な悪役。
ウィラード(「フットルース」)与之助(「若き日の唄は忘れじ」)佐分利先生(「JIN」)唯一無二のコメディリリーフ。
月組時代だと、ダントン(「1789」)かなあ。
イケコ作品だと専ら女役なのが個人的には残念。いや、ロミジュリの乳母好きでしたけど。

生田作品のコマちゃんはいいですね。
「シェイクスピア」のリチャード、今回のデムーラン、芯が通っていて、温かい人。

デムーランがダントンを呼ぶ「友よ」の曲、2回目で初めて「月」とか「雪」のフレーズに気付いて、
「ここで惜別ソングぶち込んで来るーー!?」とびびった。
ただでさえ、実際にはもう存在していない希望を歌い上げていて切ない曲なのに。



あーさ@サン・ジュストの天使っぷり。
(サン・ジュストの二つ名は「死の天使長」「革命の大天使」。)
人間の感情なんて知ったこっちゃない、あくまでも純粋に「死」を望む天使。
ダントン処刑時のキラキラ笑顔がマジ怖ぇ。

翔ちゃん@ロラン夫人。
「ジロンドの女王」。人物像知ってから見ると面白いなあ。
彼女も結局タレーラン@はっちさんの駒にすぎなかったってことか…

まなはる@フーシェと陽向くん@バラスがゲスですね…
そして彼らはこの後も生き残る。(バラスの愛人やってたのがジョセフィーヌなのよね)
タレーランの存在感。(どうしてもみっちゃんを思い出す。ビジュアルが特徴的だからな)
ちらっと出てきたヒメ@オランプたち女権活動家たちも、ギロチンで処刑されてしまうんだよね…
本当に人の命が軽い。


結末分かってから見た2回目は、冒頭の「ひかりふる路」で既に泣く。
そしてジャコバン・クラブでの♪大胆に行こうぜ 男なら~ で崩壊する。

途中までのマクシムの孤独が痛すぎるから、悲劇的な結末でもこれで良かったね、と思える。
気持ちの良いカタルシス。いい作品でした。


【SUPER VOYAGER! -希望の海へ-

野口先生は良くも悪くもベタな物を作るよね。
初めてのオリジナルショーなのにサヨナラ風味にしてしまうのは、みっちゃんの時と同じ……

コマちゃん卒業できちんと1シーン作ってくれたのは嬉しい。
まんま過ぎだけど。2回目はエトワールで号泣しました。
「旅立ちは別れじゃない」でも、男役のコマちゃんとはお別れなのが辛すぎる。
(できれば男役!なシーンももっと見たかったけどね。)

オープニングの(タイトルロゴ含め)ディズニーシー感すごい。
ダッフィーとかドナルドを幻視するレベル。セットも衣装も曲も。
いや、ミッキー(違)なだいもんかわいいけど。

既存曲多すぎだけど、魔女の宅急便の使い方は好き。
そして咲ちゃんに素でトキメキ(2回目)。

あーさと翔ちゃんが立ち位置とかキャラかぶるんじゃと危惧していたら、
まさかの男女カップルで、しかもお似合いだという(笑)
今更チップ&デールやる学年でもないと思うんだけど、かわいい……

トップコンビがあまり組んで踊らずに(だいもん、男の娘とばっかり踊ってたな)
デュエットダンスまで、カゲソロ使わずにほぼ「歌」って珍しいな。
いや、耳福でした。

中詰カッコ良かったし、「ダイヤモンド・ショー」のシーンは「タカラヅカ見た!」って気持ちになれる。
銀橋ロケットも迫力ありました。

パレードのだいもん大羽根で涙。本当におめでとう。

良いタカラヅカ納めになりました。

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