空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

劇団☆新感線「髑髏城の七人 Season花」ライブビューイング

2017-05-19 19:39:18 | ゲキシネ、舞台中継
迷った末に新カテゴリ作りました。
ゲキ×シネとか、ライビュはこのカテゴリで書きます。

新感線の「髑髏城の七人」。

2004年の「アカドクロ」「アオドクロ」はゲキ×シネで。
(その後、「アオドクロ」はDVD購入、「アカドクロ」はTV放送録画)
2011年の「ワカドクロ」は大阪公演1回と、ゲキ×シネで

大好きな作品。
今回は、東京にできた「360度シアター」こと「ステージアラウンド」のこけら落とし公演で、
本来の「ドクロイヤー」である2018年に先駆けて1年計画で実施される「花鳥風月」シリーズの
第一弾……ということですが。

チケットも休みも取れなかった…orz

よって泣く泣く「ゲキシネ上映を待つしかないな…」と諦めていたのですが、
全国の映画館でライビュやるよ!という知らせが入ったので、「これは行かねば!」と
気合い入れて見に行きました。

当日の上映後には、「Season風」のキャストも発表になり、またテンション急上昇!
(でも「風」も上演期間中に上京できる気がしないんだよな…)
次の「鳥」は8月のチケット確保済みです。楽しみ~~。

さて、新感線初のライブビューイング。
ゲキ×シネが毎回高クオリティなので何の心配もしていなかったんですが、
さすがに編集無しだとカメラの切り替えが難しいのか、
客席回転型のアラウンドシアターでの撮影が難しいのか、
ゲキ×シネに比べるとやや満足度は低かったです。
つまり、編集入ってゲキ×シネになったらまた行きたい、ってだけなんですがね(笑)

360度劇場の効果は、夏に実際自分で行ってみないとわからないな、というのが正直な感想。
でもカーテンコールでの使い方には興奮した。あれ最高!!

さて、前回「ワカドクロ」から6年ぶりの「髑髏城」。

まずは、脚本上、「同じ」ところと、「変わった」ところと。

1.捨之介-蘭兵衛-天魔王のトライアングルについて。
「ワカドクロ」の観劇感想に、「よくわからなかった」と書いた部分が、
大幅に説明が増えてものすごくわかりやすくなっていた。
「捨之介と天魔王は同じ顔でなおかつ織田信長の影武者」設定が消えたゆえに、
「なぜ、天魔王は『自分も天=信長に成り代われる』と考えたのか」
「なぜ、蘭兵衛は天魔王の手に墜ちたのか」
「なぜ、家康は天魔王の首の代わりに仮面で納得したのか」
…大きくは以上3点。
前2つ→天魔王は蘭丸の代わりに信長の最期を見届けた、ただ1人の人間。
ラスト→真のラスボスは天魔王ではなく、かつて死んだ信長の幻影。
後者は、ゲキ×シネ段階で納得していたけれど、家康のセリフとしてきちんと説明されるようになった。

2.蘭兵衛と極楽太夫の関係。
私自身の見た順で言うと、
「アオドクロ」池内蘭兵衛×高田太夫 のときはよくわかっていなかった。
「アカドクロ」水野蘭兵衛×坂井太夫 は、大好物の「戦友としての女ふたり」だった。
「ワカドクロ」早乙女蘭兵衛×小池太夫 は、太夫の片思いに見えた。
今回は、はっきりと、対等な恋人同士であり、同志だった。
そして、だからこそ、極楽太夫に救いが無かった。
あれだけはっきり思いが通じ合っていた男に裏切られた太夫が、かわいそうで仕方なかった。
そもそも蘭兵衛は彼女を守るために乗り込んだはずだったのに、
結局は、今はもういない愛しい人への思いに負けてしまった。
直接対決して、彼の最期を看取って、銃を撃ち続けて。
そんなことしたって、報われない。救われない。
ラスト、兵庫に本名「竜胆」を告げる場面。
あれは、兵庫に心を許した、という意味もあるけれど、それ以上に、
「『極楽』の名は蘭兵衛以外には呼ばせない」という凄絶な痛みを感じた。
(蘭兵衛との決別、と取ればまだ救いがあるんだけれど、むしろ、
兵庫には絶対に触れさせたくない領域があるんだろうと思わせられてしまった)

3.斬鎧剣
ノーマルバージョンに戻ってましたね。
「ワカドクロ」のは何だったんだ(笑)


後はキャスト個別感想の中で。

小栗旬@捨之介は、6年の歳月を経て、大人になっていた。
失って初めてわかる。「ワカドクロ」の、1回性。
あのときの、小栗捨之介-早乙女蘭兵衛-森山天魔王は、あのときにしか存在しえないものだった。
少年時代を捨てきれない、青年と大人のギリギリの狭間。
優劣をつけるわけではなく、あの時の「青年」捨之介はもういないのだと、実感した。

大人になった捨之介は、ヒーローだった。
沙霧にとっての、「王子様」だった。
とにかくカッコいいカッコいいカッコいい!!
少し出てきた余裕が、滲み出る色気になる。
「守りたい」と思うのは、守る力があるからだ。
守る力があったのに、蘭兵衛や無界を守れなかった。
だから、もう二度と後悔しないため、彼はヒーローになる。

この日は「百人斬り」のシーンで刀を落としちゃったのが残念。
てか、そのシーンの前に運動させられすぎだ(笑)
いや、物語上でも、それまでにヘロヘロになってる設定だけれども。


山本耕史@蘭兵衛。
色気ダダ漏れすぎてやばいっす(笑)
最初に天魔王と対峙する場面の受けオーラ(おいこら)が凄まじすぎる。
不思議なことに、メイクの関係か、時々片岡愛之助丈に見えて、
よって去年の大河「真田丸」の、大谷刑部×石田治部を思い出して思い出して(掛け算はやめなさい)

で、天魔王の手に墜ちる場面ですが。
キスシーンはあっさり。というか、
「天魔王に墜ちたのではなく、自分の意志で選んだ」ように見えた。
守るつもりだった極楽太夫と決別し、かつて守れなかった信長の意志を継ぐことを。
だから、途中までは「これ、ラスボスは蘭兵衛のほうが良くないか?」とまで思ってしまった。
それが、それこそが罠だったとは思わなかった。
以下、天魔王の項目で。


成河@天魔王。
去年の東宝エリザ、ルキーニがあまりにも鮮烈だった成河さん。
この天魔王も登場した時の迫力が凄くて。
でも2幕で、少し首を傾げた。
蘭兵衛を「兄者」と呼び、足を引きずり、卑屈に接する天魔王。
ラスボスがこんな姿で良いのか?と思ったのだ。

この天魔王は、間違いなく「人<ジン>の男」だった。
人の心に入り込み、たやすく操れる力を持った魔物。
蘭兵衛が、「自分の意志で」闇に墜ちた、ように見えたこと。
天魔王よりも蘭兵衛のほうがラスボスに見えたこと。
それは全て、天魔王の計画の内だった。
全ての罪を蘭兵衛(もしくは捨之介)にかぶせて生き残るための。
顔の火傷の痕も、足を引きずって歩く姿も、全部全部。
ゾクリとした。
カリスマ性を見せないのは、あえての姿で、
本性を剥き出しにしてしまえば、
そこにはたった一人で関東平野を呑み込める「魔王」がいたのだ。

そうだ、ずっと言われていた。天魔王のかつての役割は「人<ジン>」。
人の中に入り込み、人心を掌握する使命を与えられていた男。
彼が持っていたのは、信長の髑髏で作った仮面だけではない。
必要に応じて、ありとあらゆる仮面を付け替えられる。
だから、彼には将監(「ワカドクロ」)は必要ないのだ。
何となく、この天魔王は生き残っていそうな気がする。
別の仮面を付けて、どこかでしれっと生きていそうな(それめっちゃ怖い)。

そして身体能力すごいっすね。
小柄な体格を小柄に見せない、動きの大きさ。
惚れました。


りょう@極楽太夫。
ラストがこんなに悲しかった極楽さんは初めてだわ。
美しい、そして声に聞き惚れる。
彼女は「竜胆」ではなく、あえて「極楽」と呼びたい。蘭兵衛が呼んだ名で。


青木崇高@兵庫。
いや、ハマリ役なのはわかってるんですよ。ていうか、まんまだし。
今まで持ってた青木君のイメージそのものだし。
しかし、今まで見た4作で一番、極楽太夫とお似合いだった。
ラストの包容力に惚れた。
幸せにしてあげて下さい。


古田新太@贋鉄斎。
地味に、毎回一番設定変わるの贋鉄斎だよね。
いやあ、いろいろやりすぎていましたが(笑)さすがでした。
登場すると全部持って行っちゃうんだよね(笑)


清野菜名@沙霧。
不勉強なもので今回初めて知ったんですが。
アクションが凄すぎる。(事前番組で見てたけどね)
沙霧の疾走が物語を動かす。沙霧の視点で物語に入っていく。
それは毎度のことなのだけれど、
沙霧がいたから、捨之介は戦えたのだと思った。
沙霧は少女だから、子どもだから、何も知らないから暴走する。
でもその暴走がなければ、誰も救うことはできなかった。
文句なしのヒロイン。良かったです。
一方で、「熊木衆」としてのプロフェッショナル性は弱い気がしたけど、
「レオン」的な萌えがありました。少女と大人。


河野まさと@裏切り三五。
沙霧とのコンビ感がとっても良かった。安定の面白さ。

近藤芳正@狸穴二郎衛門。
真田丸からの転生組が多すぎる気もしましたが(笑)
狸親父っぷりがよく出ていました。
彼が極楽太夫に平手打ちされる理由もしっかり説明されていたし。
この後天下を取るのも納得の切れ者。
ラストも、情ではなく理で判断した感じなのが好き。


とにかく面白かったーーーー! と叫んで一旦終了。
またゲキシネで上映してくれたらいいな。
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