空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

雪組「星逢一夜」「ラ・エスメラルダ」

2015-08-11 15:24:33 | 観劇(タカラヅカ)
いいもの、見ました。

初日以来、とにかく凄い評判で。
お盆期間中とは言え、立ち見もぎっしり。
日本物でこれは凄い。

そして期待通り、素晴らしい作品でした。

【星逢一夜】

プログラムで上田久美子先生が「よりにもよって宝塚で百姓一揆」みたいなことを書いておられたけど(笑)
確かに、往年の児童文学クラスタとしては、ついつい脳裏に
斎藤隆介とか、さねとうあきらとか、長崎源之助とかが浮かんでしまいました。
誰も悪い人が出てこない辺りは、長崎ワールドに近いかな。
モデルになったのは郡上一揆ということで、Wikipediaで見てみましたが、
あまりの長さに途中で何度か挫折しました(笑)

晴興=紀之介@ちぎちゃん、泉(せん)@みゆちゃん、源太@だいもんの、幼なじみ三人の絆と悲劇。

淡々とした、それでいて美しい物語。
ちょび康とか、もっとあざとく描けるのに、抑制して描かれていることで逆に胸に迫る。

自分の視点がどこにあったかというと、晴興に感情移入していた。
晴興の目で源太を見て、そして泣いた。

キーワードは「星を見る」

紀之介は、ただ文字通り、星を見ていた。
星見の櫓を造り、目線を上げて、山に阻まれて見えない星を求めた。
遠眼鏡を用いて、肉眼で見えない星を探した。
自ら観測し、旧習に囚われない客観的データを活用した。

「星を見る」ということ。
「今、ここ」に限定されない、広い視野を獲得するということ。
制度や慣習に囚われず、自分の見たものを信じるということ。
星を見ることは、自由になることだ。


…という感じのことを、源太の叫びを聞いて気付いて、そしてぶわーっと泣いた。

源太の戦いは、紀之介の戦いだった。いや、そうであるべきだった。
魂の自由を、泉や源太に与えた紀之介こそが、自由のために戦うべきだったのだ。

晴興も、わかっていたのだと思う。
「見ないようにしてきた」と貴姫@せしるに指摘されていたけれど、
「やりたければやれば良い」と美和@きゃびぃに言われて、できなかったように。
わかっていたけれど、できないことを、吉宗@エマさんの期待に応えることで、代用していた。
足下を見ないことを、「星を見る」ことと同義だと、自分に言い聞かせて。

晴興は、源太を斬ることで、自らの自由を殺した。
吉宗の裁きが、現実としてそれを追認して。
(ここは、森川久美「信長」クライマックスを彷彿として、
森川先生の絵でここの二人を見たい~とも思ってしまった)

ストーリーの骨格に感動して泣きつつ、別ベクトルで、
源太との「友情」にも泉との「悲恋」にも泣ける。
泉の心情の、リアリティ。

ちぎ&だいもん、いいですねえ。
森川作品で見てみたいのがいっぱいある。
「花の都に捧げる」とかどうですか?
ルックスだと、ちぎ=サヴォナローラ、だいもん=ロレンツォかな。
逆も見てみたいけど。(みゆちゃんはルクレツィアで泣かせてくれるはず)
「シメール」もいいなあ。
「水の都風雲禄」とかは、読後感が今回の作品に近い。
こっちもルックスで、だいもん=マルコ、ちぎ=リオネル。

子ども時代上手すぎ。
そしてあのラストはずるい。

天球儀を見ただけで崩壊しました…
ここまで心揺さぶられる作品を創り上げた、ウエクミ先生と
雪組の皆さんを本当に凄いと思う。


【ラ・エスメラルダ】

斎藤先生ありがとう!って感じ(笑)
お芝居でしみじみ泣いて、その哀しさに浸ってる心を、
一気に楽しい世界に持って行ってくれる。
これぞ夏!な黒塗りショー。
五十代以上にしかわからない歌謡曲満載(笑・私が言ったんじゃないですよ)

咲ちゃんカッコ良くなったなあ、とか、
大ちゃんもきんぐもやっぱり好きだわ、とか、目が足りないショーでした。

全国ツアーも見たいなあ…。

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