空中楼閣―Talking Dream―

好きなものを徒然なるままに。

花組「エリザベート-愛と死の輪舞-」

2014-09-20 20:56:12 | 観劇(タカラヅカ)
…てゆーか何ですか、このチケ難ぶりは(真顔)

友会で取れず、一般は瞬殺、カード貸切も駄目(星組さんでSS席来たから文句言ってはいけないのか)
最後の望みだった、互助組合の福利厚生サービスで
「チケット届いてますよ」と言われた時には、もう踊りだしてしまいました(ちょっと嘘)

…それでも、一般駄目だった頃には「当日並んだら立ち見は行けるのでは?」と
思っていました(基準:月ばら)
まさか「徹夜お断り」の表示が出るほど、当日券争奪戦も過熱していたとは…

というわけで、最初で最後の、花組「エリザベート」です。


私はとにかく「エリザベート」という作品が好きで、それで卒論を書いたぐらいで。
(その時はたくさんのヅカファンの方々にお世話になりました)
でも就職してからは(主に職場の立地の関係で)東宝版も前回の月組版も見られておらず、
実に7年ぶりの生エリザでした。(前回は水トート&となみシシィの雪エリザ)

勿論、みりお君のお披露目とか、蘭ちゃんラストだとか、
一花ちゃんもラストだとか、だいもんも組替になっちゃうとか、
ヅカファンとしての思い入れも色々あれど、何より勝るのは「エリザ」愛。


それにしても1回しか見られないのはなあ…とため息つきながらの観劇。
今日も凄い人出でした。
1回チケットが手に入っただけでも感謝しなくちゃね。(しかも良席だった)


【エリザベート-愛と死の輪舞-

幕間に出てきた言葉は、
「やばい、みりおトートやばい」
だけでした(爆)

いや勿論、期待も十分あったんですが…それどころではなく……

よく考えたら、ロミオもオスカルも見たので、「大劇場の真ん中で主役する明日海りお」は、
よく知っているはずなのです。(「お披露目」感は全く感じなかった)
そして、ロミオのときもアンドレのときも「理想の恋人」だの「こんな風に愛されてみたい」だの
書き散らしていたし、「愛革」のカルロも大好物な役柄で美味しくいただいていたのです。

それらを踏まえてなお、「恋するみりおトート」の破壊力よ。

また、今回の席が、下手側前方だったので、
最初の「愛と死の輪舞」での、トート様の表情がよく見えたのです。

エリザベートと出会って、「恋に落ちた」トートの表情に、
こっちがあっさり陥落しました(笑)
何あれ。
あそこだけでキュン死(死語だよね)したんですが。

そして「最後のダンス」。
念願の、黒みりお様
リアルに、息ができなかった(笑)

黒いトート様、企んでるトート様、冷酷なトート様が、とにかくカッコいい。
(最早、語彙が吹っ飛んでいってしまい、表現できる言葉が全然ないのですごめんなさい)
それなのに。

時折見せる、「恋をしている」表情に、ぎゅっと胸が締め付けられる。

一幕ラスト(「私だけに」三重唱)、「愛してる…!」の、絶唱。
幕が下りたときの万雷の拍手も、納得でした。凄すぎる。

この世のものでない美しさと、完成されたカッコ良さを持っているのに、
あんなにかわいいなんて……(落ち着け)

ドクトル・ゼーブルガーとしてシシィの前に現れる場面。
あそこって、何食わぬ顔して説明しながらシシィの服脱がせるとか、
そんな場面今までありましたっけ?(7年ぶり故に記憶が無い)
何、お医者さんごっこしてるんですか閣下(違)
揺るぎない、そしてちょっとセコい閣下にニマニマしてしまった。

そして前評判から凄かった、「死の嘆き」~「愛と死の輪舞」リプライズ。
あ、トート閣下が苦悩する壁は上手側だっけか、というのが少し悔しかったのですが(笑)
絶品。

この場面、さえこトートはとにかく可愛かった!
心にもなくあさこシシィを拒絶してしまった自分に盛大に後悔してる感じ。
初恋に悩む中学生男子みたいな。

水トートは切なかった。
となみシシィと同じ地平では愛し合えないことを実感してしまい、
本当に「青い血を流」しているのが見えた。(これは絶望的な断絶に思えた)

みりおトート。
彼もまた、血を流しているのがわかった。
でもそれは、絶望の青い血じゃないのかもしれない。
血の通った、「愛」ゆえの苦悩だった。
「最終答弁」での「違う!」の切ないこと切ないこと。

だからこその、ラストシーンのカタルシス。
これは、ハッピーエンドのラブストーリーだ。

全然語り足りないのですが、語ったところで語彙が追い付かないのです。
ものすごくもどかしい。

とにかく、作品愛をも凌駕する勢いで、みりおトートが好きです。
好きすぎて危険です。
見る前は「どうして1回しか見られないんだ…」と思ってましたが、
これ、複数回見たら、現実世界に戻ってこられないかもしれません。
(実例:雪エリザは4回見たけど、当時、自分史上マックスで病んでいた時期だったのもあり、
公演期間中ずっと世紀末ウィーンに逃避していた。事情は違うけど。)
これ、日常生活に支障が出そう。(今既に。)
ああでも、やっぱり、せめてもう1回見たかった(未練)。

対ルドルフも対ハンガリー勢も好きでしたが、
やっぱり対シシィが好き。故に「愛と死の輪舞」と「最後のダンス」と「私が踊る時」が好き。
あ、ルキーニとの同期コンビも最高でした。「ミルク」とか大好き。
…って、どっちのコンビネーションも今作限りか…。



蘭ちゃんシシィ。
肖像画から飛び出してくる、少女シシィが、本当にかわいい。
お見合いのブルーのドレスも、結婚式の赤いドレスも、ハンガリー三色旗ドレスも、
戴冠式も、勿論鏡の間の白ドレスも、どれもすっごく似合っていた。

そして、私は蘭ちゃんの演技が好きだった、というのを改めて思い出した。
何て言うか、彼女の「孤独」に、凄く説得力があった。
エリザベートの魂は、死によってしか解放されない。
「この世で休めない」のだ。それは誰が悪いのでもない。
フランツのせいでも、ゾフィのせいでも、ハプスブルク家のせいでも、
ましてやマックスやシシィ自身を責めても仕方ない。
彼女は「そういう人」で、そういう人ゆえに苦しみ続けることになった。
そういう人だから、彼女が息子を救うことも絶対にできなかった。

…という悲劇。
こう書くと非常に特異な人物に見えるけれど(実際、特異な人生なのだが)
私の中にも小さなエリザベートは住んでいる。
だからこそ。
あのラストは、エリザベート視点で見ても、ハッピーエンドなのだ。
(書きながら、東宝版の、最後まで噛み合わないままそれぞれ幸せと勝利を歌う
シシィとトートを思い出したw)
最後に「本当の自由」を手に入れたシシィ。

シシィは全くダンスの無い役なので、フィナーレのデュエットダンスは
本領発揮でしたね。「掌上の舞を成しつ」軽やかさ!
これも見納めなんだなあ。


みっちゃんフランツは、期待通り、耳が幸せ。
「若くてハンサムな皇帝」時代よりも、壮年期以降がとにかく素敵で。
(前作でのタレーランもおじさまぶりが素敵でした…)
「夜のボート」の老皇帝の孤独にしみじみさせられた後、
「最終答弁」でトートを追い詰める迫力も素晴らしかった。
そしてフィナーレの男役群舞、みりお君がはけた後のセンターで踊る踊る!
相変わらず容赦ない上手さ。カッコ良さ。


だいもんルキーニ。やっぱり、上手い人だ。
上でも書いたけど、みりおトートとのコンビネーションが大好き。
そして滲み出る色気。「マダム・ヴォルフのコレクション」とか最高。
「キッチュ」でも完全に場を支配していました。
ハンガリー独立運動場面での高笑いも凄かった。
こちらも男役群舞が凄かった。ザッツ・花男。
雪組でも輝いてください。


レイ君ルドルフ。とにかく美しい。
最近、翻弄する柚香君ばっかり見てたから、翻弄されるのが新鮮(笑)
儚く美しい、でも意志の強さも感じるルドルフでした。
キキ君ルドルフも見たかった~。

一花ちゃんのゾフィ様。
一花ちゃんは、本当に長く見てきたんだなあと思う。
(と言いつつ、カルロッタを見られていないのだが)
二幕の老けメイクに役者魂を見た。
ちっちゃいけど、迫力満点。


7年ぶりに見ると、記憶と一致したり違ったりするところが結構あって。
シシィのセリフ回しが、(多分相当過去作を勉強したんだろうなあ)記憶通りだったり、
逆に、「宅配」にまつわるラウシャー大司教とゾフィ様のやり取りが
記憶よりもだいぶナチュラルなセリフ回しになっていたりして、
「エリザ」はどこまでが「型」なんだろうなあとか考えたりした。
(勿論、演出家とか指導者の意図もあるんだろうけど)

相変わらず、演出面白いなあと思うんだけど、
結構面白いというか、シュールな振付も多かったんだと再確認。
やっぱり凄いと思うのは、黒天使の使い方。
音もなく「死」が世界を支配していくのを感じて、ゾクゾクする。

プログラム読んだら、歌唱指導の楊先生が引退とのこと。
小池先生は勿論、キャストもスタッフも総力を結集した素晴らしい作品だと改めて実感しました。

ル・サンクでは足りなくて、写真集を買うかどうか悩み中。

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