本の感想

本の感想など

映画 シビル ウォー

2024-10-05 22:53:40 | 日記

映画 シビル ウォー

 大統領選のこの時期にこんなアメリカ内戦の映画を発表するとは、まさかその兆しがあるのではないかと心配してまたは期待して見に行った。遺憾ながら何らかの現実またはその兆しを反映した映画ではなく、完全作り物である。その証拠に、政府軍の主張も反乱軍の主張も一切出てこない。ただ戦争と暴力場面の連続である。(これはつまらない、ただこれを楽しみに見る人も一定数いるのだろう。)それでも見方によっては危ない題材を扱うこんな映画をこの時期に公開することを許すのであるから、アメリカは思いのほか懐の深い国である。

何らかの紛争を背景に、男の友情と対立を描く西部劇と同じ構造である。(アメリカ映画では「フーテンの寅さん」は決して出てこない。)アメリカはついにこの型から逃れられないようである。(ただし男女同権になっているのと人種差別のなくなったところだけは進歩である。)

ドキッとしたのは、ガソリンを売るのにカナダドルなら売ると言った場面と、香港の人に対する扱いである。または、反乱軍の旗が星二つになっている(テキサスとカリフォルニアだという、この二州は仲悪いはずでこんなことは絶対起こらない)しかしそれでもこういう細部に製作者の意図が隠されてるのではないでしょうなと疑いたくなる。戦争は必ず通貨価値の変更を伴うと聞いたことがある。

多分戦闘機などの場面は、アメリカの軍隊が協力していると思うがよくこんな内戦の映画に協力するものである。出演料たんまりもらうしいい演習になると考えてるんだろうけど、ここはどうも理解に苦しむところがある。

B級映画とするのはかわいそうな評価で、B級の中では上級の映画とするべきであるである。期待していた社会に対する批判とか人間に対する洞察とかは一切感じられなかった。お暇ならどうぞという程度の映画であった。


なぜ入社してすぐやめる人が増えるのか

2024-10-03 23:32:30 | 日記

なぜ入社してすぐやめる人が増えるのか

 テレビで上のテーマの放送があり、「今の若者は自分の個性を大切にするように教育されているから、自分を活かせないと看ると会社を辞めるに躊躇しない。」が原因であるとしていた。異議ありである。自分の個性を大切にするように教育するのは、戦後すぐの教育からである。しかし、その世代の人が躊躇なく会社を辞めることはなかった。(いないわけではなかったが、やめる人は十分の準備をして大抵は自営業に近い仕事を選んだ。)いったんやめた人を再び雇う人材の市場はなかった。それが今は転職のコマーシャルはテレビの中に電車のなかの宣伝に満ち溢れている。今は転職してもいいとの風潮が世を覆っているのである。昔の世代は自分を活かせないと感じながら勤めたのである。昔は苦界に身を沈めると自嘲しながら勤める人が多くいた。どちらがいいとか望ましいとかは別である。

昔の人が辞めなかったのはそれだけではない、会社は様々な楽しみや利得を社員に提供したのである。社員は夜遅くまで働いたあと縄のれんの向こう側で、上司の悪口や会社の方針を諫める会話を楽しめたのである。または、社内人事の噂話に興じることができたのである。人は週刊誌ネタが大好きである。それも自分のごく近くにいる人のネタが大好きである。ここに眼をつけてこういう社員管理の仕方を思いついた人が昔いたのである。外に出られなくして仲間内で楽しめるゲームをする。そうして50歳55歳くらいまで引っ張るのである。

ここで女性が社会進出した。女性はこの会社に遊んでもらう人生を「その手は喰わない。」と拒否したのである。会社は社員管理の大事な手法を失ってしまった。会社は社員を愛すること赤子の如くし、(いざとなれば)社員を棄てること糞土の如くするものである。その愛するところが(女性社員が見破ってしまったので)なくなったのである。糞土のように社員をリストラするところだけが残っているのである。

私の見るところ、若い人が陸続として会社を辞めるのは、転職市場ができたことと会社が社員を愛さなくなった(または愛しているふりさえもしなくなった)ためであろう。個性を大切にするように教育されているからではない。