映画 シビル ウォー
大統領選のこの時期にこんなアメリカ内戦の映画を発表するとは、まさかその兆しがあるのではないかと心配してまたは期待して見に行った。遺憾ながら何らかの現実またはその兆しを反映した映画ではなく、完全作り物である。その証拠に、政府軍の主張も反乱軍の主張も一切出てこない。ただ戦争と暴力場面の連続である。(これはつまらない、ただこれを楽しみに見る人も一定数いるのだろう。)それでも見方によっては危ない題材を扱うこんな映画をこの時期に公開することを許すのであるから、アメリカは思いのほか懐の深い国である。
何らかの紛争を背景に、男の友情と対立を描く西部劇と同じ構造である。(アメリカ映画では「フーテンの寅さん」は決して出てこない。)アメリカはついにこの型から逃れられないようである。(ただし男女同権になっているのと人種差別のなくなったところだけは進歩である。)
ドキッとしたのは、ガソリンを売るのにカナダドルなら売ると言った場面と、香港の人に対する扱いである。または、反乱軍の旗が星二つになっている(テキサスとカリフォルニアだという、この二州は仲悪いはずでこんなことは絶対起こらない)しかしそれでもこういう細部に製作者の意図が隠されてるのではないでしょうなと疑いたくなる。戦争は必ず通貨価値の変更を伴うと聞いたことがある。
多分戦闘機などの場面は、アメリカの軍隊が協力していると思うがよくこんな内戦の映画に協力するものである。出演料たんまりもらうしいい演習になると考えてるんだろうけど、ここはどうも理解に苦しむところがある。
B級映画とするのはかわいそうな評価で、B級の中では上級の映画とするべきであるである。期待していた社会に対する批判とか人間に対する洞察とかは一切感じられなかった。お暇ならどうぞという程度の映画であった。