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『聖エセルドレダ女学院の殺人』 ジュリー・ベリー(著),神林美和(翻訳)

2022年01月06日 21時47分00秒 | ■読書
アメリカの作家「ジュリー・ベリー」の長篇ミステリ作品『聖エセルドレダ女学院の殺人(原題:The Scandalous Sisterhood of Prickwillow Place)』を読みました。


ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。

-----story-------------
女子寄宿学校に死体はいらない!
謎に立ち向かう7人の少女

十代の少女7人が在籍する小規模な寄宿学校で、ある日の夕食中、校長先生とその弟が突然息絶えてしまう。
それぞれの事情から家族の元へ帰されたくない生徒たちは、敷地内に死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする。
翌日、科学の得意な「ルイーズ」の分析により、ふたりは毒殺されたと判明。
生徒たちは得意分野を活かして大人の目をあざむきつつ犯人を探り始めるが……。
解説=「大矢博子」
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解説によると… 2014年(平成26年)にアメリカをはじめドイツ、イギリス、ブラジルで出版され、同年のウォール・ストリート・ジャーナルによる最優秀児童図書に選ばれたほか、2015年(平成27年)にはアメリカ図書館協会が最も優れた児童向けのオーディオブックに授与するオデッセイ賞のオナー賞(次席)を受賞するなど、高い評価を受けた作品らしいです。


ヴィクトリア朝終盤の1890年、イングランドのケンブリッジシャー州イーリーにある小規模な女子寄宿学校・聖エセルドレダ女学院では、12歳以上の少女7人が在籍し、淑女にふさわしい教養を学んでいた… ところが、ある日夕食の席で「プラケット女校長」とその弟「ゴッディング」が突然息絶えてしまう、、、

それぞれの事情から家族のもとへ帰されるのを恐れた生徒たちは、死体を埋め、事実を隠して学校生活を続けることにする… 翌日、科学の得意な「ルイーズ」の分析で、ふたりは毒殺されたと判明。

なぜ、誰に殺されたのか? 決断力と行動力に富むリーダー格の「気転のキティ」、恋愛ハンターの「奔放すぎるメリー・ジェーン」、優しくて親切で、同情心に溢れた「愛すべきロバータ」、気が弱くて騙されやすいが、時に周囲をびっくりさせるような衝動的行動に出る「ぼんやりマーサ」、体型が似ているからと「プラケット校長」の影武者を押し付けられるも、驚くべき演技力を見せる「たくましいアリス」、7人の中で探偵役を担うことになる、科学知識豊かな「あばたのルイーズ」、死や死体に魅せられるというオカルティックなところがある一方で、「アリス」「プラケット校長」に似せるためのメーキャップに意外な腕を発揮する「陰気なエリナ」、、、

生徒たちは得意分野を活かして大人をあざむきながら犯人を探り始めるが… 個性豊かな少女たちが一致団結して謎に挑む!


個性豊かな十代の少女7人が、それぞれの得意技を遺憾なく発揮して事件を解決に導く展開が愉しかったですねー その行動も、純粋に事件を解決したいという正義感からではなく、家に帰りたくなく7人で姉妹のように暮らし続けたいだけという子どもっぽい発想なんですよね、、、

そのために場当たり的にごまかしを続けていくというコミカルな展開に… 死体を埋めて隠そうとするシーンはブラックユーモアたっぷりで、「アルフレッド・ヒッチコック監督」作品の『ハリーの災難』を彷彿させましたね。

学校周辺に現れる男性が気になったり、憧れの男性に会うことを愉しみにしたり、亡くなった「プラケット校長」に扮装させられて嘆いたり(殺されかけたり)、子犬をもらってきたり… と、ごく普通の少女らしい行動を織り込みつつ、犯人は7人の中にいるのか、それとも他にいるのかというスリルも潜ませながら、事件は思わぬ方向に、、、

現実感はなく、ツッコミを入れたくなるような展開でしたが、最後には全て回収され、未来も明るそうな結末、そして爽やかな読後感でした… 舞台とか映像作品でも愉しめそうですね。



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