投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

水彩画で綴る大工道具物語  ― 竹中大工道具館収蔵品(朝倉書店)

 
2009年4月10日 初版第1刷

安田泰幸(画)竹中大工道具館(文)

竹中大工道具館という大工道具だけを集めた博物館が神戸にあって、2回訪れたことがある。鍛冶職人「千代鶴是秀」の作品も並ぶ。日本国内のモノが主だが海外のもあったと思う。

この本はその博物館に収蔵されている大工道具を水彩画で見せてくれるもの。解説付き。見ていて楽しい。こういう風にスケッチが出来るようになったら楽しいだろうと思わせてくれる。

日本の景色から松の木が減ってしまってから久しい。子供のころは松の木は至る所に生えていて山々や海岸の景色を作っていた。朝鮮半島は松材を多用する建築文化があって、日本もかつてはそうだったと書いてある建築家の方の本を読んで、そういうものかと漠然と信じていたらP20の文章が目に留まって、それはそうだよなと思いを新たにした。

P20-21 木目が通った太い大木の杉、檜を打割製材していたが室町期に良材が枯渇。縦挽き製材鋸「大鋸」が大陸から伝わったのがそのころ。木目に関係なく製材ができる大鋸は建築に大きな影響を与えた。松や欅などそれまでは使いにくかった木材の利用範囲が広がる。

打割製材というのは斧で丸木の木目に沿って割れ目を入れ、そこから楔をかまして木を割いていく製材。竹を割るような製材方法。きれいに木目が通っていなければ板や角材に仕上げれない。表面は手斧や槍鉋で仕上げる。中国山地は今は植林された杉や檜、灌木が茂る山だがかつては天然の杉や檜の森林だったそうだ。どこかで読んだ。大きな寺の伽藍、東大寺に使われた木材の調達は容易だったと思う。それが枯渇したのが室町期だということ。

P14 大工道具は古墳から出土。岡山金蔵山古墳(5世紀)、奈良塚山古墳(6世紀)、愛媛鳶ヶ森古墳2号・4号(7世紀)

P26 京都伏見大工 坂田岩次郎 天保年間(1841)に桃山天満宮を建て、自分が使った道具一式約60点を奉納。
   神戸北区の西浦家には約100点の大工道具が残されている。天保年間(1830-1844)の墨書のある木の札あり。

(2021年10月 西宮図書館)
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