児玉 実英 「アメリカのジャポニズム」 中公新書
アメリカのジャポニズム―美術・工芸を超えた日本志向中央公論社このアイテムの詳細を見る |
19世紀後半から20世紀初頭の時代のアメリカの話。
ジャポニズムはフィリップ・ビュルティーと言う人によって1872年に最初に使われた言葉だそうだ。アメリカでは1888年に初めて使われたことになっている。
日本がアメリカに与えた影響は建築から洋服、磁器など多様に渡る。
例えばティファニーの創業は東洋美術(中国と日本)を扱う貿易商からスタートした。後に日本のデザインを取り入れたジャポネスクシリーズを発表する。
着物はキモノドレスとして一般化。「え、これがキモノ? へーそうだたんだ」と言うモノになる。添付した写真は「モダン・プリシーラ」1922年10月号に載ったキモノ風ドレスの挿絵。
日本が国力をつけ、アメリカに警戒心を抱かせる頃、アメリカのジャポニズムは終わっていく。
ヨーロッパでもアメリカでも20世紀初頭にはジャポニズムは廃れる。その後、ヨーロッパの印象派に日本の美術が影響を与えたと言う事実もアメリカの文化にも影響を与えたという事実も忘れ去られてしまうようなのだ。
ほんとうは記憶にも記録にも残っていたんだが、意識して無視されてしまう。日本人の研究家が戦前(第二次世界大戦)にそのことを指摘しても悲しいかな無視され続けたそうだ。再発見されるのは戦後になってしばらくたってからのこと。
戦後、ヨーロッパの植民地が続々と独立しはじめるのが1960年頃。欧米中心、白人中心の考え方もやっと自ら渋々改め始める。この時、欧米以外のモノも認めざるをえなくなった。日本の益子焼なんかが欧米人から「おお、ワンダフル!」ともてはやされ始めた時期だ。
ジャポニズムに関しても、それまで鳴りを潜めていた欧米の研究者が声を出し始める。ジャポニズムはここで再発見されることになった。
やはりここでも受身なんだね。まあ、何も言わなくても勝手に受け手が認めてしまうということは、それだけ力がある証拠だろうけど。
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