投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

ジョゼと虎と魚たち(晩飯に出てきた たこ焼き) - 映画に出てくる食事の場面(69)

 
2020年12月25日に公開されたタムラコータロー監督のアニメーション映画。原作は田辺聖子が『月刊カドカワ』1984年6月号に発表した短編小説。2003年に実写映画化。2020年には韓国で実写映画がリメイクされた。



アニメ版は原作を忠実にトレースしていなくて現代的に脚色している、らしい。らしいというのは私が原作を読んでいないから。Wikipediaを読むと原作も面白そうなので先日、図書館で借りようとしたら貸し出し中だったので予約してきた。年に一回の図書館の本の整理期間を挟んでいるので8月の休暇中に借りられたら良い方だと思う。

2022年、国際交流基金が世界各地で開催している日本映画祭「Japanese Film Festival」の上映作品に選ばれているのだが、時系列的に見てそれとは関係なく世界25か国で上映されている。邦画としては凄い数だと思う。2023年3月30日よりロシア60都市において150館以上でリバイバル公開となっている。ロシアはその時期ウクライナとの戦争の真っ最中なのに。

アニメ作品の内容は
・Girl Meets Boy 
 下肢が先天的に不自由な女性と健常者の青年の出会い
・Road movie 
 旅行するわけではない。二人で街を散策する
になる。映画「プリティ・ウーマン」を想像してもらいたい。無教養故に売春婦として狭い世界で生きてきた女性が事業家の青年との出会いで自分の思いや考えを新たにし蝶が羽化するように変わっていく過程が描かれていた。青年自身も同じだ。それとそっくりだなと言うのが観終わった時の感想だった。

アニメ版の話だが面白い作品だと思う。こういう締めくくりが2020年代の感覚なのだろうと思ったりする。とても奇麗なのだ。では1980年代の原作の『ジョゼは「アタイたちは死んだモンになってる」と思う。ジョゼにとって完全な幸福は死と同義だった。』というWikipediaの文章は何なのだろうか。1980年代はバブル経済の絶頂期。私も20代を過ごした時代。あの時代は何だったのだろうかなどと考えてしまうのだ。

原作1980年代、実写映画化2000年代、アニメ化2020年代。20年を間を置いての作品化はその時代を反映したものになっているはずで、その時代を感じたくて原作を読んだら実写版も観てみたいと思っている。

原作が書かれた1980年代の日本は景気は良かったかも知れないが人も街も汚かった。「素敵なダイナマイトスキャンダル」と言う映画が2018年に公開されたが原作は1982年で作品の中の時代は1970年代から1980年とされている。荒々しくエネルギッシュだが今から見ればめちゃくちゃだろう。1980年代はそれを引き継いでいる時代。2020年代の今も悩みや暗部はあってもそれが奇麗に化粧されている表から消されている時代。見えなくなっている時代。1980年代はそれが表にまでにじみ出ている時代。原作はきっと奇麗ごとでは済まされない悩みを抱えた暗い部分をきっちり表現しているのだろうと思うのだ。

でもアニメ版がダメだとは私は言っていない。先に「プリティ・ウーマン」を引き合いに出した通り面白く良くできていると思っている。例えばWikipediaの解説を読むと原作では二人は幸せに何不自由なく暮らしているが結婚していないのだ。親にも言えず二人で暮らしている。逃げている、ずっと逃避行だ。そんな感じに受け取れる。それが「アタイたちは死んだモンになってる」というジョゼの言葉なのだろう原作は1980年代だからそれは不思議ではない。結婚するのが当たり前。子供を作って当たり前。親や親せきから認めてもらって祝福してもらって当たり前。でも今ならどうだろう。2020年代の今なら。アニメ版は結婚まで描いていないし、二人は一緒に住んでもいない。それぞれがそれぞれの世界で活き活きと生活している。原作に忠実に描いてしまうと時代設定を過去に変えないと現代人と感覚がずれてしまうだろう。

ここまで書いてきて私はもう原作を読まなくていいような気がしてきた。何か内容が想像できてしまった。予約したから読むけど。

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選んだ食事の場面は偶然の出会いで恒夫がジョゼの家に招かれ食事を振舞われた場面。ジョゼは自分の部屋に引きこもってしまい、食事を用意してくれたのはジョゼの祖母。大阪らしく「たこ焼き」が晩飯に出ている。いや、晩飯のおかずに「たこ焼き」はおかしいだろう、いくら大阪でも。



「お好み焼き」ならありそうな気がするが、、、。




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