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ドイツ式シンプルに生きる整理術 - リタ・ポーレ(主婦の友社)

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リタ・ポーレ ドイツ式シンプルに生きる整理術 主婦の友社 2002年11月1日 第1刷発行

 著者はインダストリアルデザイナー。シュツットガルト在住。1996年に独立しデザイン&コンサルティング社を設立。風水の専門家。ドイツ人が書いた整理術ということで読んでみた。なかなか過激な整理術だった。著者がいう整理とはモノを捨てるということ。そしてシンプルに気分良く生きることを薦めている。その捨てるモノの中に人間関係が入っていることが面白い。

 我々日本人は、軒と軒が接するような住環境で肩寄せあって寄り集まって暮らすことを案外心地よく思っているように思う。つい最近まで漫画「サザエさん」の茶の間のようなシンプルな暮らしぶりだったはずで、少々街が狭くても、家が狭くても、庭には物干し竿をかけるスペースしかなくとも、シンプルにすっきり暮らしていたはずだが、モノがあふれた今、古くからの住環境は少々手狭になり、新しい生活習慣にそぐわなくなってきている。ドイツはというと映像や写真で見る暮らしぶりは、街も住宅もすっきりしていて、さぞやそういう国民意識が高い国、人たちなのだろうと思っていたが、著者のようなコンサルト(家や事務所の整理をするアドバイスを有料で請け負う)が多いらしいところをみると、どこも同じらしい。アメリカの例が出ていて、溢れかえったモノを整理する仕事が職業としてあるそうな。
 
 実を言うと、この本を数ページ読んだ時、モノを買わないようにしよう、不要なモノは捨てようという考えが、余りにも凡庸な内容に思えて読むのを止めようかと思った。ドイツ人らしい、日本人とは違った整理術の内容を期待していたのだが、余りにも当たり前で工夫がないように思えたから。ところが読み進めていくうちに、日本人が書く、例えば「隙間を利用した」とか「衣類の畳み方で」とかいう整理術の方が、策を弄し過ぎていて整理になっていないことに気づいた。いかにコンパクトに詰め込むかに腐心しているに過ぎない。

 著者は「風水の専門家」でもあるから、所有するモノがいかに所有者の「気」を高めるかどうかについて書く。だから「気」をそぐようなモノ、自分にとってプラスにならないと感じたものは不要なものであり、捨て去って良いモノなのだと解く。熟考した後、どうしても欲しいモノ、必要なモノがあれば、高価でも良いモノを買えともいう。ここ1年間使いもしなかったモノや、いつか直して使うかもしれないモノなどは、所有者の「気」を高めるかどうかなど考える以前の問題として、さっさと捨てなさいと言っている。同じことは人間関係にもいえることで、まず手始めに住所録の整理を薦める。会いもしない人の住所や電話番号など必要ないのだと。仕事の顧客もいっしょ。嫌な思いをしてまで無理に付き合いなさんな。顧客にとっても貴方にとっても代わりはいくらでもあるから、ということらしい。
 
 本は買わずに借りよう。"知識は図書館にいけばある"は、アインシュタインの言葉だったか。雑誌の類に情報を得ようとするのは無駄。年に一回住所録の整理をする。そういうことを20年ほど続けてきた我が身としては、我が意を得たりの本でした。

(2009年6月 西図書館)

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