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短編工場  - 集英社文庫編集部(集英社文庫)

短編工場 (集英社文庫)
クリエーター情報なし
集英社

西暦2000年の頃の作品群。15年ほど前、最近のようにも思えるしずいぶん昔のようにも思える。現在の感覚で読むと状況説明が当時流行のファッションを見せられているようで違和感があるものもある。

列車で移動する時に読むために購入しました。12の作品を集めた短編集。ここ何年も滅多に小説を読まないので、久しぶりに12名の小説家の作品に触れとても新鮮でした。

こういうのを読むとついつい甲乙をつけたくなるのは悪い癖。私なりに評価してみた結果は・・・。

1:浅田次郎 『金鵄のもとに』終戦直後、主人公の復員兵は街で偶然見かけた物乞いをする傷痍軍人に声をかけた事から大きく人生が変わっていく。主人公の心理状態、立ち位置が物語の最初と最後では百八十度変わる様子を描ききっている。見事。高校生の頃にこの作品を読んでいたら浅田次郎の信奉者になっていたに違いない。

2:乙一 『陽だまりの詩』大友克洋の絵柄が頭に浮かぶ作品。大友克洋の絵は白い。この作品も頭に浮かぶビジュアルなイメージは線を省いた白っぽい場面の連続。途中から結末が予想できるのだが無駄もなく引き締まった内容で完成度は高い。ハリウッドで映画化されても驚かない。アニメじゃなくて・・・。

11:奥田英朗 『ここが青山』人間到る処青山あり(じんかんいたるところせいざんあり)という諺の正しい読み方と意味が分かった作品。

12:石田衣良 『ふたりの名前』若い女性が電車の中でうつらうつらしながら見た白昼夢みたいな内容。陳腐なんだけどそれがこの作品の良さ、この人の持ち味だったかな。一話限りのTVドラマを見たような気分。

こんな感じです。間の8作品は割愛。

短編であっても広く深い情景を見せてくれるものを上位に評価しました。そういう基準です。あしからず。

どの作品もその作家さんらしさが際立っていて、といっても初めて読んだ作家さんも多いのですが、12の作品を並べて読めるので作家さんを比較しやすく面白く読みました。初めての作家さんは経歴や他の作品を調べながら読ませてもらいました。これも楽しい。

(2019年1月 私物)

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