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投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

築70年の家をリフォームする(1.事の発端)

 終の棲家を岡山で相続した古い家に決め、手をいれる気になったのが今年の1月17日。岡山から神戸に帰る車の中での話。

 昨年の晩秋に実家の近くの専門病院で手術をし、実家で療養していた妻を迎えに行ったのが1月17日。その帰りの車の中で定年後の暮らしについて少し話をした。神戸暮らしが長く夫婦ともどもこの地が気に入っているが、賃貸の物件にいつまでも済むことができるほど裕福でもなく、年老いた父母、私のところは母だけになったが、その面倒も見る必要があるため私の実家に帰ることになった。それまでは両方の実家に近い賃貸のアパートでも住んで・・・という話になっていた。このたびの妻の実家暮らしで田舎なの生活の楽しさを再認識したのだと思う。前々から実家のある岡山にゆくゆくは帰ろうという話はなんとなく夫婦で決めていたのだが、妻から相続した私の実家に住むと言われたのは初めてだったような気がする。

 さりとて築70年の我が実家、父が生前に手を入れていたとはいえ、表から見える部分だけ直していたため裏側、つまり水回りの部分は慣れている私でさへしんどい。たぶん使い勝手の悪さから暮らしていると心身ともに疲弊するだろう。これは多分に母が好きなように使っているということもある。ばっさり物を捨てればいいものを溜め込み使わないという癖というか、これも母にとっては財産の内という思いからなのだろうけど物が溢れている。

 ということで妻からは水回りのリフォームを頼まれ承諾した。

 善は急げ。時間を放置していると今ある貯蓄はずるずると目減りしていくことは経験済み。今使える最大限の現金で可能なのは築70年の家に手を入れまずは20年暮らせる状態にすること。

 暮らそうと思えば今の状態でも暮らせる。が、年老いた母は今は元気だがその内に介護が必要になる時もくる。その時に介護するのは我々。そして弟夫婦。介護する側が暮らしていて不便を感じ、時間を追って疲弊してはダメなのだ。だから最低限若い人でも快適に住める空間を作る必要がある。五右衛門風呂に土間に床を貼った台所、古い水回りと段差の多い空間、古い電気配線、少ない寝室、空間の都合で外に置いている洗濯機も家の中に入れたい、どうせなら古い流し台もシステムキッチンにしたいなどと思いは広がり、年末までには工事完了という適当なスケジュール感で早速その週から工務店選びに入った。

 しかし住んでいる場所は神戸、物件は岡山。神戸の業者に話しをしても相生か赤穂あたりまでならとかなるけど・・・と話しが進まない。大手の住宅メーカーの話しを聞くと岡山の支店に話しを通します、まずは我社の工事事例をと3000万円のリフォームの事例紹介をされ一桁多いなあと感じながら、自分が想像しているのは確かにこれだけど予算からすると何も出来ないような気がして意気消沈する。

 ネットで岡山の業者数社に声をかけ2社に話しを通し下見を依頼したのが月末。金も無いのに贅沢をいうな、これくらいが関の山だと呆れられながら絵を描き電卓を叩くこと9か月。その間、もう1社に依頼するも下見だけで何度連絡しても音沙汰が無いという、ああ貧乏は嫌だなぁという仕打ちを受けながらやっと一昨日話しがまとまり10月吉日工事開始と相成りました。

 この9か月で悟ったのは何か凝ったことを頼めば当たり前ですが金が要ること、資金が無ければ誰からも相手にしてもらえないこと、そして大方の業者は見積りに高低はあれ同じ内容に落ちつくことという現実。巷にあふれるリフォーム業者は楽に稼げる仕様が決まったパッケージ商品を売るためにあるのであり、ちょっとした洗面台の工作、はめ殺しの窓でさえオーダーは嫌がる。その場でそれはちょっとと言ってくれるならありがたいが、結果は次の見積り額増ということで回答が来る。職人がいないということも大きいけど。70年前の戦時中の安普請でさえ今となっては高価な作品であったことを思い知らされる結果となりました。

 所期の夢や思いは打ち砕かれ、こちらの要求は取り下げる一方、施主様ご担当の箇所を増やしても新たな依頼はその数倍の値段で見積りに跳ね返ってくる。Pinterestで貯めに貯めたお洒落なキッチンや風呂・洗面の画像はあくまでも参考イメージに落ち、どうせどこに頼んでもこの資金ならここまでにしかならないと悟り、従兄の知り合いに頼むという安直な手段に落ち着きました。

 今までの9か月はずいぶん遠回りしたものだという思いと、やっと前に進めるという安堵感を今は感じています。

 次回は意見の相違について。

 ※添付した写真は五右衛門風呂の天井。湯気抜きが付いた古風な仕様。
  杉板に黴が生え模様のようになっていて気に入っています。この天井は残したかったけど諦めました。
  洗い場には階段を二段降ります。温泉場の様と来客には好評でした。

(2016年9月)
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