まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) | |
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文藝春秋 |
2009年1月10日第1刷 2011年1月15日第14刷
舞台は「まほろ」という架空の町になっているが東京都の「町田」である。土地勘がある人は読んでいるとすぐ気付くし、後書きの文章にも出てくる。
学生時代を町田の近くの同じ小田急線沿線で過ごしたから、読んでいて懐かしかった。小田急線も別の名前で登場する。
それぞれ少々訳ありの人生を別々に歩んできた高校の同級生の二人が偶然出会い・・・という内容。しかし町田っていうところはこういう、ある意味危ない町だったのか。そうであっても、健全な学生は気付かないけど。
会社の後輩で、もうずっと前に辞めたというか辞めさせたヤツが、少々訳ありなヤツで、そいつは普段同じ風景を見ていても全く別のものが見えていた。
別のものというのは、「薬の売人」であるとか「いつどこに行けば彼らに会える」とか「あいつは薬やってますよ、目がおかしいです」とか、同じ道を肩を並べて歩いているのに、私は全く気付かないこと。彼には別のものが見えていた。昼は勤め人の中国人が夜は強盗団に変わる話とか、そういうことはあるとは思っていたが、こんな近くにあるのかと驚いた。住んでいる世界が違うような気がしていた。
まあ、どこまで信じて良いのか分からない話ではあったけど。
この本、映画化されるようでちょっと楽しみ。
(2011年2月~3月 野田文庫)