阿部 正路 「箸のはなし」 ほるぷ出版
箸のはなし―はしと食の文化誌阿部 正路ほるぷ出版このアイテムの詳細を見る |
副題:箸と食の文化誌
朝鮮の「匙」については、今は「こうだ」と言う結論を自分なりに出しているのだが、この本を読んでいた頃は、箸は二本、匙は一本だから、匙が先か・・・などと考えていた。まあ食事に使う道具として、棒が一本二本という考え方は外れていないと思う。
以下、メモより。
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著者:国学院大学卒、國學院大學教授、歌人、
中国長春東北師範大学客員教授
題名が「箸のはなし」とダイレクト。期待して読んだのだが、ちょっと外した。箸はこの本では日本の文化を表す一つの象徴として扱われている。
塩、鮭、うなぎ、酒、箸、沓・・・・・
第一章 食文化へのアプローチ
第二章 箸と日本の文化
第三章 清浄への希求
箸の話より、第三章で出てくる「くつ」の話の法が面白い。
苔のムスまで ⇒ 「ムス」とは繁茂すること
むすぶ、鉢巻、褌
沖永良部島 : 握り飯 = ちからめし
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箸について調べていたのに沓の話の方が面白かった。
第三章 清浄への希求
以下、メモより。
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くつ : ・死を隔てる呪具 ⇒ くつを投げることで死を追いやる
・足の保護
万葉集 : 信濃道は
今は墾道刈株(はりみち かりばね)に
足踏ましなむ 沓はけわが背
⇒ 沓を履かないのが普通?
柳田国男: くつは働く上で案外不便
地下足袋はok ← これはくつではない
くつの日本での歴史は案外古い
なのに普及しなかったのは何故?
上流階級の履物としては普及(~平安時代)
ただし、身分や行事での規則は厳密
公家やそれに近い人は沓をずっと履いていた?
日本のくつの普及はいつから ←そりゃ明治
下駄、草履 : 鼻緒履物累
沓 : 被甲履物類
草履は平安時代から
足袋は和泉式部は発明 これも平安時代から
足袋は優美、流行
どちらも平安時代
足袋の発明がくつの一般庶民への普及を止めた ←( 私 )
靴底としての草履 + 被甲履物類としての足袋 ←( 私 )
くつを脱いで高床の民家に暮らす生活習慣にマッチ ←( 私 )
農家の労働にはくつは不要 ←( 私 )
水田稲作にくつは向かない ←( 私 )
農村は思った以上にきれいで清潔である ←( 私 )
普段の生活圏=農村であればくつは要らない ←( 私 )
武士は農地の地主。 ←( 私 )
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■日本のくつ
要するに、靴底としての草履+被甲履物類としての足袋。
これが日本の「くつ」なのだ、と思う。
厚手の靴下とサンダルの組み合わせ。
これで充分だったのだ。
で、あらためて「くつ」とは何だろうと考えてしまう。