投錨備忘録 - 暇つぶしに借りた本のメモを残すブログ

勝者・日本の不思議な笑い - ギュンター・エーデラー(ダイヤモンド社)

先日、筑紫哲也が死んだ。

残されたご家族には申し訳ないが、子育てもとっくに終わり、私のような人間からは「老害」と言われながらも晩節を汚すこともなく、一年程度の高度医療による治療を受けることができ、比較的しっかりした意識の状態で死ねたことは、幸せじゃなかったのかと今の私は思っている。いざ自分がその状態になったら、とてもとても平常ではいられないかも知れないが。

何か彼に関係のあることを、このblogで書いていたかな?と過去のエントリーを検索したら、一件だけあったので再度upしてみる。

筑紫哲也はナショナリストだった。確かnews23で塩野七生と対談した時も、本人がそう言っていたように記憶している。


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1992年刊。日本がバブル経済絶頂期だった頃のことを書いてある。翻訳者の不勉強か、それともジョーク(←ありえないけど)か、筑紫哲也を「憂国の士」と書いてあり、思わず笑ったのは良く憶えている。ナショナリストを和訳したら「憂国の士」となるのだろうか?

ギュンター・エーデラー 「勝者・日本の不思議な笑い」 ダイヤモンド社

1992年8月 第1刷

著者はドイツZDF(ドイツ第2テレビ)東京支局通信員として1985年~1990年に日本に滞在。帰国後はオランダ(?)の大学で教鞭をとったように記憶している。

勝者・日本の不思議な笑い―なぜ日本人はドイツ人よりうまくやるのか?

ダイヤモンド社

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以下メモより。

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ドイツZDF(ドイツ第2テレビ)東京支局通信員として1985年~1990年に日本に滞在。滞在中、日本人に甘やかされていないヨーロッパ人。歴史認識については無知というしかないが、現代日本の捉え方は、まあ面白い。

日本と西ドイツ、日本人にとっては何か近い存在に思えるドイツも、実は限りなく遠い無関係な存在だということが良くわかる。ドイツに比べればアメリカなど昔の隋帝国には悪いが「一衣帯水」という言葉を使いたい。

この本、90年代初期に書かれたものだが、驚くほどドイツの企業家や政治家が日本について無知であることが書かれている。ドイツは遠い。

P 93:白人を特別扱いにしない日本人。
P227:日本の休日・休暇の数はドイツ並みに多い。
P247:炭鉱の閉山。41万人の従事者は7千人に激減(1950年から1989年)
     日本の政治的勇気と経済的展望を賞賛。
     ドイツはいまだに炭鉱勢力が強いのだ。それが圧力団体となっている。
P272:1990年4月 日本の全就業人口6257万人 全人口の50.8%。
     上記には税務署に申告不要のパートタイマー・アルバイトは含まれていない。
     日本の女性の3分の2は自分自身の収入がある。

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P227の「日本の休日・休暇の数はドイツ並みに多い」はどうか? 日本では10数年まえでもドイツを見習えと言う雰囲気が労組関係者なんかでは強かった。労働時間をドイツ並みに短縮しろってね。最近はドイツも不況が長引き「休みすぎ、もっと働こう」「金払いすぎ」みたいな感じになってきている。

P247については日本は良くぞ決断し実行したと思う。今現在でも日本の一般紙(新聞)でさえもドイツの炭鉱労組が強い力を持っていることがうかがえる記事を読むことができる。存続させていたら国鉄と同じようなモノをもう一つ抱えていたことになる。

P93は何かというと、日本人は西欧人もアフリカ人もアジア人も皆外人として扱い、区別しないそうで、これが西欧人(ギュンター・エーデラーはオランダ人)にとって苦痛だそうだ。白人は特別扱いしてくれと言ってるんだよ。指紋押捺の制度は終わったけど、あれ西欧人もアフリカ人もアジア人も区別しないで並ばされるわけで、そりゃインドネシア人の後にオランダ人が並ばされたら苦痛だろう。でもそんななこと日本人は知らないよ(笑)。
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