2006年の邦画。1994年に出版された浅田次郎の小説を映画化。監督は篠原哲雄。出演は堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子、笹野高史、他。
公開当時に劇場でこの映画を観た。この映画で印象的な食事の場面は二か所あって、一つは岡本綾が演じる軽部みち子が堤真一が演じる長谷部真次のために用意した陰膳の場面。ここだよなと思いAmazonプライムビデオで観なおしたらその場面が無い。カットされている。岡本綾の一途さ真剣さを表した場面だったのに。他にも堤と岡本が勤める会社の社長である笹野高史が駅のホームで堤真一を待つ岡本綾を見つけ、隣を歩いていた堤真一に目配せをする個所も無い。なんでカットされているんだろ。笹野高史が堤真一の全ての理解者であることを印象付ける良い場面だったのに。ここではもう一つの場面を選んだ。
公開当時に劇場でこの映画を観た。この映画で印象的な食事の場面は二か所あって、一つは岡本綾が演じる軽部みち子が堤真一が演じる長谷部真次のために用意した陰膳の場面。ここだよなと思いAmazonプライムビデオで観なおしたらその場面が無い。カットされている。岡本綾の一途さ真剣さを表した場面だったのに。他にも堤と岡本が勤める会社の社長である笹野高史が駅のホームで堤真一を待つ岡本綾を見つけ、隣を歩いていた堤真一に目配せをする個所も無い。なんでカットされているんだろ。笹野高史が堤真一の全ての理解者であることを印象付ける良い場面だったのに。ここではもう一つの場面を選んだ。
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堤真一は笹野が社長を勤める衣料品企画販売会社の営業マン。母と妻、息子との四人暮らし。高校を卒業し実家との縁を切り今は母親の姓を名乗っているが大手企業の御曹司である。父の名前は小沼佐吉。小沼グループの創業者。岡本は同じ会社のデザイナー。堤真一とは恋愛関係にある。ある日、堤真一は地下鉄に乗って昭和30年代にタイムスリップする。そこで事故で死んだ兄に会う。それからも何度か過去と現在を行き来しながら兄の事故死の真相、父の生き様を目撃していく。そして岡本綾の出生の秘密と自分との関係も。
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選んだ食事の場面はタイムスリップした堤真一と岡本綾が常盤貴子が経営するBarで振る舞われたオムライスを食べる場面。店は丘陵の尾根にある。広く長い石の階段を上がり切った場所にある。外は雨。
映画冒頭にもオムライスを食べる場面がある。岡本綾にとってオムライスは母の味。常盤貴子は岡本綾の母。母のお腹には岡本綾を宿している。そして父は小沼佐吉(大沢たかお)だった。岡本は私生児として生まれ育った。長い間、自分の出生について悩んでいた。ここで母と父から望まれて生まれてきたことを知りオムライスをほおばりながら涙する。
この食事を終えた後、傘を持って見送りに出てきた常盤貴子に岡本綾は聞くのだ。お母さんを天秤にかけて良いですか。私を産んでくれたお母さんの幸せと、私を愛した人の幸せのどちらかを選べと言われたら。常盤貴子は言う。あのねお嬢さん、親というのは自分の幸せを子供に求めたりしないものよ、好きな人を幸せにしてやりな。
この会話の後、岡本綾は常盤貴子を抱きしめ、ごめんねと一言耳元でささやき、堤真一を見つめながら常盤貴子もろとも店の前の階段を落ちる。岡本綾は自分の未来の存在を消すことを選んだのだ。未来には自分は存在しない。堤真一に出会ったことも彼の記憶からも消してしまうために。