東京でカラヴァッジョ 日記

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大ニセモノ博覧会(国立歴史民俗博物館)

2015年03月21日 | 展覧会(その他)

大ニセモノ博覧会-贋造と模倣の文化史-
2015年3月10日~5月6日
国立歴史民俗博物館


 非常に気になる展覧会、早々に訪問する。

 いきなり「ホンモノはどれだ!」、と12枚の大判・小判が並ぶガラスケース。
 1枚だけホンモノです、どれでしょうか?
 わかるわけがない。当然、外れる。正解は、第二会場入口前に置かれたアンケート用紙の裏側に記載されている。


 展覧会ポスター「ニセモノぞくぞく!」の金貨。
 実はホンモノが数枚混入している、どれでしょうか?
 わかるわけがない。正解は、展示室内で発表されている。


プロローグ 安南陶器ニセモノ事件

 「ニセモノ」という言葉のイメージどおり。ニセモノをホンモノと偽って販売し、金儲けする。
 ニセモノ実物が並ぶほか、客に見せていたという嘘の発掘現場ビデオまで上映されている。


以降、「ニセモノ」という言葉1つで済ませるのが憚られる多様な展示。
各章から1つずつ記載。


第1章 暮らしの中のフェイク

「ニセモノの地域性」
 地方の名士のステータス・シンボルとして、宴会時の装飾として、名のある画家による掛け軸や屏風、書が不可欠だった。
 3家の収蔵品が展示される。
 購入時には、その怪しさをある程度認識していただろう、確信的だったかもしれない。それが、後代となって「ホンモノ」化していき、鑑定してみてショックを受ける。
 キャプション「教授のつぶやき」が面白い。本展で一番面白いかもしれない。
 大半の作品が×(特×)だが、中には△、あるいは堂々の◎も混じる。


第2章 フェイク-偽文書、偽造の世界

「研究者を取り巻くニセモノ騒動」
 18世紀ドイツで一人の研究者の尊大な態度に腹を立てた同僚が彼を騙すため作られた「ヴュルツブルクの嘘石」。
 英国で「発見」され20世紀前半期の古人類学研究に多大な悪影響を与え迷走させた「ピルトダウン人」。
 本展来訪者のほとんどが知らないだろう2件のニセモノ事例を前座に、本展来訪者だったらほとんどが知っているだろう「歴博も見破れず展示し続けた前・中期旧石器時代遺跡捏造石器」が紹介される。


第3章 コピー、イミテーションの世界

歌川国芳≪源頼光公館土蜘作妖怪図≫(1843年)
 天保の改革を批判しているとして大評判となり、処罰を恐れた版元はあわてて絵を回収し、版木も破壊したという作品。
 ホンモノの隣に、人々の需要に応えるためつくられた海賊版・類似作品が並ぶ。


第4章 ニセモノの創造性

 幕末から明治にかけて盛んに製造され欧米に輸出された≪人魚のミイラ≫。
 上半身は猿、下半身は鮭を利用する。


第5章 博物館の「レプリカ」と「コピー」

 始祖鳥は、ジュラ紀に生息した現在発見されている中で最古の鳥類。
 その化石は、ドイツ南部でのみ発見されており、その数も断片的なものを含めても10しかないという。
 その中で最良と言われる、ベルリンの自然史博物館所蔵の化石のレプリカが展示される。
 初めて見たが、なんと美しいことか。一目ぼれする。


会場パネルの「フェイク事件簿」も面白い。
内外20の事件が紹介される。特に欧州系の事件を興味深く読む。

会場外には、千両箱や1億円の札束の重さを体験できるコーナーも用意されている。

「大」はちょっと大げさかなという感はあるが、そのバラエティにとんだ展示を楽んだ。 



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