東京でカラヴァッジョ 日記

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クラーナハ《ホロフェルネスの首を持つユディト》ー国立西洋美術館の新収蔵作品

2018年10月24日 | 国立西洋美術館常設展示

 

クラーナハ
《ホロフェルネスの首を持つユディト》
1530年頃、37.2×25cm
2018年度購入 
 
 
 
   国立西洋美術館にて、10月10日から常設展示を開始。
 
「小ぶりながら保存状態にも恵まれています」
「その勇ましくも蠱惑的な「女のちから」が、最盛期のクラーナハに特有のデリケートな描写をつうじて浮かびあがります。」
 
   解説そのままであるが、小品であるが状態良好で、如何にもクラナーハらしい、クラナーハに対して抱くイメージぴったりの作品である。
   2016-17年のクラナーハ展によりファンになった身としては、このような作品を上野で常時鑑賞できるようになったことは嬉しい。
  
 
   クラナーハの「蛇の紋章」が、薄いながらも記されている。
 
 
   冷たい視線が惑わせる。
 
 
 
   気になる購入額(および購入相手先)については、ネット検索により把握できたものの、相場が分からないので評価はできない。
 
 
   もう一つ気になる来歴について、ネット検索により次の情報が得られたが、よく分からない。そのうち美術館HPに分かりやすいのが出るだろう。
 
By descent in the family of the Counts of Waldeck, subsequently Princes of Waldeck-Pyrmont, according to inscriptions, verso
 
(Presumably) George I, Prince of Waldeck and Pyrmont (1747 – 1813), Arolsen Castle, Bad Arolsen, Hesse, Germany; by whom given to his daughter
 
Princess Ida Caroline of Waldeck and Pyrmont (1796 – 1869), according to an inscription, verso, and her husband George William, Prince of Schaumburg-Lippe (1784 – 1860), Bückeburg, Niedersachsen, Lower Saxony, possibly on the occasion of their wedding, 23 June 1816; and by descent to their son
 
Adolf I, Prince of Schaumburg-Lippe (1817 – 1893), m. Princess Hermine of Waldeck and Pyrmont; and by descent to their son
 
Georg, Prince of Schaumburg-Lippe (1846 – 1911), m. Princess Marie Anne of Saxe-Altenburg; and by descent to their son
 
Adolf II, Prince of Schaumburg-Lippe (1883 – 1936)
 
Rosenbaum, Frankfurt-am-Main, acquired from the above in 1929. 
 
Dr. Wilfried Greif (1883 – 1937), New York, by 1932
 
Galerie Nathan, Zurich, inv. no. 956 (according to a label, verso).
 
Private Collection, Germany, acquired from the above in the 1960s; and by descent.
 
 
 
   国立西洋美術館では、回顧展の前後にその作家(または関連作家)の作品を購入することが割とある印象。
   本件のようにクラナーハ展後のクラナーハ作品以外にも、シャセリオー展後のシャセリオー作品とか、カラヴァッジョ展前のマンフレディ作品とか、ハンマースホイ展後のハンマースホイ作品とか。
   ならば、アルチンボルドとか今後期待していいのかな。
 
 
クラナーハ「蛇の紋章」
 
 
冷たい視線が惑わせる。
 
   本作品の情報をご教示くださったむろさんさんに感謝いたします。


4 コメント

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私も見てきました (むろさん)
2018-10-31 11:18:47
私もルーベンス展、ローマの景観展と合わせてクラーナハのユディトを見に行ってきました。(ルーベンスよりもユディトの方が楽しみだった。)
第一印象は「意外に小さい。クラーナハの他の絵と比べて派手な色を使っていない。」ということでした。タブレット端末を持っていったので、例のクラーナハのデジタルアーカイブスを開いて、Judithの欄にチェックマークを入れると20数枚のユディトの絵がズラッと出てくるので、これと見比べながらいろいろ考えていました。表情、胸元の飾りや襟の作り、背景の景色などどれも他の絵と違っていて、ほぼ同様の絵はない。表情の似ている絵はユディト以外でさがせばあるかもしれないと思いました。いずれにしても今回の絵は良い作品だと思います。

購入価格の妥当性、相場ですが、ネットでクラーナハの絵を調べていたら、下記のブログがありました。(個人のブログですが、情報源は海外のニュースだと思われるので、多分金額は正しいでしょう。)
ルーブル美術館が2011年に買った三美神が4億6千万円、2015年にサザビーズのオークションで「真実の口」が17億円で落札された、とのこと。
https://plaza.rakuten.co.jp/sakisakisf/diary/201510140000/
なお、真実の口はクラーナハのデジタルアーカイブスP25
http://lucascranach.org/PRIVATE_NONE-P179
サザビーズのページでは
http://www.sothebys.com/en/auctions/ecatalogue/2015/old-master-british-paintings-evening-sale-l15033/lot.8.html
三美神はデジタルアーカイブスP33
http://lucascranach.org/F_MdLP_RF2011-1
西美が買ったユディトもこれを見るとまあ妥当な値段かなと思います。

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コメントありがとうございます ()
2018-11-02 19:45:30
むろさん 様

コメントありがとうございます。

ご紹介いただいたサイトを見ました。ルーヴルが購入した「三美神」のサイズは、国立西洋美の「ユディト」とほぼ同じですね。「真実の口」のサイズは縦横とも1m強と大きい。どちらも魅力的な作品に思えます。「真実の口」はそのストーリーも面白い。

国立西洋美の「ユディト」。購入価格の妥当性は分かりませんが、いい作品だなあと思います。このような作品が常設で鑑賞することができるのは嬉しいです。
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購入価格 (あきらかにあらい)
2018-11-20 08:26:05
楽しく拝見させて頂いております。特に作品来歴や、購入価格など、美学的な視点の外のご興味が面白いですが、因みに、西洋美術館が購入した『ユディット』はお幾ら万円なのでしょうか? それは何を検索したら分かりますか?
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ご照会の件について ()
2018-11-20 18:00:21
あきらかにあらい 様

コメントありがとうございます。
ご照会いただいた件について、アドレスは次のとおりです。

https://kanpou.npb.go.jp/old/20180903/20180903c00166/pdf/20180903c001660095.pdf#search=

ご確認ください。
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