東京でカラヴァッジョ 日記

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鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-(東京国立博物館)

2015年05月04日 | 展覧会(日本美術)

鳥獣戯画-京都 高山寺の至宝-
2015年4月28日~6月7日
東京国立博物館 平成館


 東京国立博物館パスポートの有効期限の関係もあり、大型連休後半の初日に訪問する。
 覚悟はしていたが、たいへんな混雑。

平成館への入館     30分待ち
鳥獣戯画甲巻鑑賞    80分待ち
鳥獣戯画乙丙丁巻鑑賞    20分待ち


 まずは平成館への入館の待ち行列につく。
 親切なことに、出品目録が用意されている。
 出品目録をもとに、入館までの待ち時間を、予習/鑑賞計画策定に活用する。

 第1会場に入場。最初の展示室はこれまたたいへんな列ができている。
 順番に見ていく第1計画は即座に断念し、第2計画を発動する。

・目当ての鳥獣戯画鑑賞に時間を割く。
・ほかは、特に重要と思われる作品に絞って鑑賞する。


【鑑賞した作品】
国宝≪明恵上人像(樹上座禅像)≫13世紀
 「リス探し」ばかりに関心を集中させている、妙な作品。

国宝≪華厳宗祖師絵伝 義湘絵≫4巻 13世紀
 第2会場の最初の部屋全体を占拠する絵巻。
 善妙の話は、荒唐無稽。
 中国・唐の時代、長者の娘、善妙は、留学僧の義湘に憧れる。
 善妙は、義湘に恋心を打ちあける。
 義湘は、「自分は僧であるから、恋を受け入れることはできない。その心をもっと広く持って仏法を支える気持ちになさい」と諭す。
 やがて、留学を終えて義湘は帰国する。
 出航したあとにそれを知った善妙。
 →嘆き悲しむ
 →「陸に上がった魚」のように身を投げ、あられもない姿で嘆き悲しむ(←駄々っ子のよう)
 →仏具の入った箱を海中に投じる
 →自らの身を海中に投じる
 →龍に変じる
 →波にもまれる義湘の乗った船を背に乗せて運ぶ(←チラシに掲載)

≪鳥獣戯画断簡≫甲巻の断簡4点
1)東博所蔵
 蛙、猿、狐、全5頭が祭礼の行列を演じる。
2)個人蔵(益田家旧蔵)
 兎が狐に乗り、猿が鹿に乗り、競馬レースを演じる。
 猿は先を進む兎の耳をつかみ、レースを妨害する。
 鑑賞者には、定番の蛙、狐、兎、猿のほか、亀、鶴、アヒルもいる。
3)米国の個人蔵(ブルックリン美蔵)
 落鹿した猿。
 負傷した猿を介抱する兎と別の猿。
 逃げる鹿と、それを追うまた別の猿。
4)MIHO MUSEUM蔵
 何かを見物している面々。
 子蛙を肩車する親蛙。 
 子猿をおんぶする親猿は、たらいを頭に乗せて頭上運搬中。
 鼠の後ろ姿。

≪鳥獣戯画 乙巻、丙巻、丁巻≫
 前期は、前半部分の展示。後半部分は写真パネルで紹介。   
1)乙巻
 前半部分は、身の回りにいる動物たちが描かれる。擬人的要素はない。(後半部分に、架空の動物が描かれる。)
2)丙巻
 前半部分は人々による遊戯(後半部分は動物による遊戯)。
 もともとは表裏で、片面が人物、もう片面が動物が描かれていたのを、「あい剥ぎ」により表裏を分離して、つなぎあわせたものであることが、今回の修復過程で判明したとのこと。
3)丁巻
 人々の儀式や祭礼の様子が描かれる。
 カエル(なのか虫なのか?)が描かれた本尊を前に法会が営まれる様子など。


 甲巻鑑賞は断念する。

 甲巻は、確かに魅力的。
 ただ、海外からやってきた作品ならまだしも、日本にある(それも東博が所蔵する)作品で、過去にサントリー美術館での展覧会や東博の常設展の国宝室で見たことのある作品を、80分(実際はそこまでかかからないだろうけど)も待って、かつ、立ち止まりも許されず、追い立てられるように扱われながら鑑賞する気にはなれない。

 その分、乙・丙・丁巻の列に3回並ぶ。
 また、甲巻の断簡をたっぷり味わう。
 甲巻の断簡ということは、甲巻の本編と筆致は同じであるはずなので、今回はそれで充分。

 前期は5/17まで。ここに記載した作品は、東博所蔵の甲巻断簡を除き、すべて入れ替わる。
 



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