東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

国宝《紅白芙蓉図》を観る。

2017年01月07日 | 東博総合文化展

臨時全国宝物取調局の活動―明治中期の文化財調査―
2016年12月20日~2017年2月19日
東京国立博物館 本館1階15室

 

国宝《紅白芙蓉図》2幅
李迪筆
南宋時代・1197年
(1/9までの展示)

 

   私が本作品を知ったのは、2014年秋の三井記念美術館の「東山御物の美-足利将軍家の至宝-」展のこと。

   ただし、同展では、本作を見ていない。訪問時には、既に展示期間が終了していた。

   すぐにリカバリーの機会が訪れる。同じく2014年秋の東博の「日本国宝展」の後期に出品されたのだ。

   以来、今回が2回目の鑑賞となる。

 


   今回は、明治20年代の「臨時全国宝物取調局による文化財調査」において「調査の対象となった作品」としての展示である。


   《臨時全国宝物調査関係資料》は、文化財保護の歴史を伝える歴史資料として、2016年に重要文化財に指定された、とある。
   簿冊・ガラス乾板・紙焼付写真からなる5359点の資料で、本企画でもその一部が展示される。


   国宝《紅白芙蓉図》も、こういう地味な仕事をすることもあるのですね(1/9までの短い期間だけど)。

 

[キャプションより]
   本作品は明治26年前後に東京で臨時全国宝物取調局に鑑査されたと考えられる。鑑査時の所蔵者は福岡孝弟であった。作者の李迪は南宋に活躍した画院画家で、花鳥竹石を得意とした。昭和32年に国宝に指定され、南宋院体花鳥画の最優品として知られる。

 

 

   あわせて、国宝《紅白芙蓉図》に関連している重要文化財《臨時全国宝物調査関係資料》も展示される(関連している資料も1/9まで)。

 

《鑑査状(紅白芙蓉図)》
明治26年(1893)3月17日

   紅白芙蓉図に対して臨時全国宝物取調局から発行された鑑査状。(省略)発行書類は鑑査状と登録状の二種があるが、鑑査状は『宝物精細簿』に記載された作品に送られた。


   当時の所蔵者である福岡孝悌あてである。鑑査状番号は、7446号。

 

重文《東京府宝物精細簿 乙》

   東京で行われた宝物調査の結果をまとめた目録。優等とされた作品のみ統一書式に記された。展示部分は紅白芙蓉図の記録である。上部に押された「渡済」の印はすでに鑑査状の発行手続きが完了したことを表している。


   「一字金輪像」1幅も福岡孝悌の所蔵。

 


重文《鑑査状番号簿 第四 自第五七四四号至第七四五〇号》

   鑑査状に付された番号の順に整理された宝物の簡易目録。展示部分には紅白芙蓉図の記載が確認できる。現存する番号簿では鑑査状は少なくとも7642号まで発行されていた。


   展示部分には、福岡孝悌の所蔵作品6作品が記載。

   ところで、福岡孝悌って誰?(→wikipedia

 

国宝《紅白芙蓉図》以外では。

 

重文《ガラス原板 夢殿観音 法隆寺所蔵》


   小川一真により撮影された宝物調査時の写真原板。この原板は528g、法量は30.4×25.4cm。

 

重文《夢殿観音 法隆寺所蔵》
小川一真撮影
プラチナプリント
明治21〜22年

などを見る。

 

 



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