東京でカラヴァッジョ 日記

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ガラス絵 幻惑の200年史(府中市美術館)

2017年01月08日 | 展覧会(日本美術)

ガラス絵 幻惑の200年史
2016年12月23日〜2017年2月26日
府中市美術館

   ガラス絵を素直に楽しむ。


   17世紀の欧州作品から始まり、現代日本作家の作品まで、約120点。


   専門的に収集しているのだろう、浜松市美術館からの出品が多い。


   展覧会チラシの材質にも注目したい。

 

   まず最初に「ガラス絵のつくりかた」が、ガラス絵のつくりかた説明用の11点連作作品とともに、紹介される。


   「ガラスの裏側から描く」「左右反転」辺りは想像の範囲内。加えて「最初に描いた部分が、できあがりの一番上の面となる」「通常の絵画と絵具をのせる順番が逆転」、従って、まず最初に作家のサインを描く、というのは想像の範囲外。

 

 

第1章   海を渡るガラス絵 - 技法の伝播と日本ガラス絵の爛熟


   ガラス絵は、中世ヨーロッパで生まれ、16-17世紀に隆盛する。
   18-19世紀には東欧で、主にキリスト教のイコン画などの民衆絵画として盛んに制作される。
   19世紀には、東インド会社の貿易拠点のある地域、インド、インドネシアなどでも制作される。
   一方、中国では、独自の細密技巧によるガラス絵が輸出品として人気を博す。
   日本には、江戸時代中期に中国を経由して伝わる。本展では、「長崎」「江戸から明治へ」「生活のなかのガラス絵」の3つの切り口から紹介される。


・トップバッターは、17世紀の欧州作品。銅版画のよう。スザンナ伝が描かれているとある。続いて、18-19世紀東欧のイコン画作品やインド、インドネシア作品が並ぶ。


・中国の作品は、その細密技巧が魅力。中国人女性を描いた2作品や港内風景を描いた作品など。

 

・日本の作品は、 2015年の江戸東京博物館「浮世絵から写真へー視覚の文明開化ー」でのガラス絵を思い出す。

   写真、油絵、石版画とともに、本物をそっくりに表現する新技法としてガラス絵に取り組まれていた時代の作品。

   石版画をもとに制作された《明治天皇皇后肖像》や、日本人女性の写真が張り込まれたお土産用とされる《芦の湖図》などが印象に残る。

 


第2章   小出樽重と長谷川利行 - 「新鮮の骨董」の発見

 

   小出樽重による女性ヌードなどのガラス絵と、長谷川利行による風景や女性ヌード、なぜか相撲力士などのガラス絵。同画家による油彩画が数点参考展示される。


・ガラス絵でも小出樽重らしさ炸裂。

小出樽重《裸女(赤いバック)》

 

・大きさと即興性が魅力の作品。

長谷川利行《荒川風景》

 

 

第3章   ガラスをめぐる冒険 - 戦後ガラス絵の多様な表現


   藤田嗣治の戦後フランス時代の2点のガラス絵に始まって現代日本作家までのガラス絵が次の6つの視点から紹介される。

異国趣味
ノスタルジー
奇妙な可愛らしさ
色の魔力
感興のスケッチブック
ガラス絵技法の追求


・ガラス絵の特性を活かした様々な作品60点強。
・藤田嗣治《思い出》1952年は、君代夫人との思い出を描く私的な小品。

 

 



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