ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
(東京)
2020年3月3日〜6月14日
国立西洋美術館
(大阪)
2020年7月7日〜10月18日
国立国際美術館
会社の同僚が1週間のロンドン旅行へ行くという。大英博物館やロンドン・ナショナル・ギャラリーを訪問するつもりだが、美術のことはあまり知らない、とのこと。大英博物館のことは何も言えないが、ロンドン・ナショナル・ギャラリーならと、余計なお世話であることは認識しつつも、お勧め作品をお伝えすることとした。
どの作品をお勧めするか。
私の好む/観たい作品であることが大前提。
そのうえで、マイナーな画家(例えば、クリヴェッリとかトゥーラとか)は避けて、極力メジャーな画家の作品を選ぶ。
そういうタイプではないけど、万が一、私のお勧めを気にしすぎて、鑑賞の制約になったら申し訳ないので、お勧め数は極力抑える。
まず、ロンドン・ナショナル・ギャラリー図録を眺める。150点ほど掲載されている。絞れない。マイナーな画家を入れたくなる。好みのあの作品がない。悩ましい。
そこで、ロンドン・ナショナル・ギャラリーのサイトの「30 must-see paintings」から5作品を選ぶ方針とする。
5作品ならば、それほどの負担にならないだろう。
サイト掲載の30点は次のとおり。
・フェルメール
「ヴァージナルの前に立つ女」
・ティツィアーノ
「バッカスとアリアドネ」
・セザンヌ
「大水浴」
・スーラ
「アニエールの水浴」
・モネ
「ラ・グルヌイエールの水浴」
・ベッリーニ
「元首レオナルド・ロレダン」
・ヴァン・ダイク
「チャールズ1世騎馬像」
・フランソワ=ユベール・ドルーエ
「刺繍枠を前にするポンパドール夫人」
・アングル
「モワテシエ夫人」
・ゲインズバラ
「アンドリュース夫妻」
・ルーベンス
「サムソンとデリラ」
・クロード・ロラン
「聖ウルスラの上陸する風景」
・レンブラント
「34歳の自画像」
・ゴッホ
「ひまわり」
・ヤン・ホッサールト
「東方三博士の礼拝」
・ハンス・ホルバイン
「大使たち」
・ヤン・ファン・エイク
「アルノルフィーニ夫妻像」
・ピエロ・デッラ・フランチェスカ
「キリストの洗礼」
・ウッチェッロ
「サン・ロマーノの戦い」
・ミケランジェロ
「キリストの埋葬」
・ターナー
「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号」
・コンスタンブル
「乾草の車」
・ラファエロ
「カーネーションの聖母」
・カナレット
「The Stonemason's Yard」
・カラヴァッジョ
「エマオの晩餐」
・ベラスケス
「鏡のヴィーナス」
・レオナルド・ダ・ヴィンチ
「岩窟の聖母」
・イギリスまたはフランスの画家
「ウィルトンの二連祭壇画」
・ボッティチェッリ
「ヴィーナスとマルス」
・ジョージ・スタッブス
「Whistlejacket」
これら30点のなかから、私の好みに従って、いわゆる古典絵画を選ぶこととする。
【選択第1位】
ヤン・ファン・エイク
《アルノルフィーニ夫妻像》
*この1点のだけのためでもロンドンに行きたい。そしてじっくりたっぷり観たい。私の分まで観てきてね。
【選択第2位】
ピエロ・デッラ・フランチェスカ
《キリストの洗礼》
*ピエロ最初期の代表作。大聖堂の内装工事の資金繰りに困った教会。ピエロ《キリストの洗礼》かペルジーノ《キリストの昇天》を売ろうということになり、1859年、ピエロを売却する。「サンセポルクロ痛恨の選択」を私の分まて観てきてね。
【選択第3位】
カラヴァッジョ
《エマオの晩餐》
*ミラノの第2作は2回も来日しているのに。カラヴァッジョ・ファンとしては悲しいことに未見のままでいるこの第1作を私の分まで観てきてね。
3位までは悩むことなく決定。
ここから絞るのが難しい。
【選択第4位】
ベラスケス
《鏡のヴィーナス》
*エロティック系作品も1点入れよう。ローマ時代に描いた当時のスペイン美術では珍しいヌード絵画。
【選択第5位】
ハンス・ホルバイン
《大使たち》
*アナモルフォーシスの画法で描かれた頭蓋骨はやはり観ておいたほうがよかろう。
どうしてもあと一つ。
【選択第6位】
ボッティチェッリ
《ヴィーナスとマルス》
*ボッティチェッリのお勧めは《神秘の降誕》だが、「30 must-see paintings」入りしていない。やむなく、《神秘の降誕》の隣あたりに展示しているだろう作品、そこへいけば《神秘の降誕》も目に入るだろうと、番外選択する。
以上6点。ダ・ヴィンチもミケランジェロもラファエロもウッチェッロもベッリーニもティツィアーノもレンブラントもフェルメールもルーベンスも外してしまった。
また、その時期に開催中の特別展を確認する。
「マンテーニャとベッリーニ」展、「ロレンツォ・ロットの肖像画」展、「コートールド美術館の印象派」展など、実に興味深いものばかり。
常設展示作品6選はいわゆる古典絵画から選択したこと、2展はマイナー画家かなと思ったことから、バランスをとって、「コートールド美術館の印象派」展をあわせてお勧めすることとする。
2019年に日本で開催されるとはいえ、ロンドンの企画はコートールド美術館所蔵の印象派作品とロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の印象派作品を並べて展示するという贅沢なものであるらしい旨を添えて。
そんなやり取りがあってからしばらくして知った、2020年の日本での「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーとして、初めての所蔵作品展となるらしい。
イタリア・ルネサンスから20世紀初めまでの約60点の絵画が出品されるとのこと。
現時点で発表されている出品作はゴッホ《ひまわり》の1点のみであるが、同作は上記「30 must-see paintings」に入っている作品。
館としても、初めては力が入るでしょう。是非、上記「30 must-see paintings」入りの古典絵画から少なくとも1点出張させてほしい。
所蔵作品の多くを常設展示している同館は作品の貸出に極めて厳しいことで知られ、これまで館外で所蔵作品展が開催されることは一度もありませんでした。この度、日本初公開となるゴッホの傑作《ひまわり》をはじめ傑作約60点を一挙日本で公開することは、同館史上初の試みであり、歴史的な開催となります。
左京区様には、本展開催情報を教えていただき、ありがとうございました。
【続報:19/3/23掲載】