東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

国宝《伴大納言絵巻》中巻・下巻(出光美術館)

2016年06月19日 | 展覧会(日本美術)

開館50周年記念
美の祝典
第2部-水墨の壮美
   2016年5月13日〜6月12日
第3部-江戸絵画の華やぎ
   2016年6月17日~7月18日
出光美術館

   10年ぶりの公開、国宝《伴大納言絵巻》。上中下3巻を1巻ずつ3回に分けて公開する開館50周年企画。

   上巻に引き続き、中巻(〜6/12)および下巻(6/17〜)を観る。

 

中巻。

   赦免の使者の到着を知らせる家人。源信邸の正門。

   赦免の使者の到着。

   天に一心に祈る源信。

   処罰の使者と思って泣き暮れる女官たち。
   赦免されると知って、喜びの涙に変わる源信夫人。

   伴大納言の出納の子どもと舎人の子どもが喧嘩。出納は家から飛び出し、自分の子どもを家に入れ、舎人の子どもの髪をつかみ、打ち伏せる。

   腹を立てた舎人夫婦、火災の真犯人を暴露する。
   京の町に広がる噂。


以上。「異時同図法」の典型例とされる、子どもの喧嘩の場面が中巻の一番の見所。個人的には、真犯人の暴露の仕方と噂の広がり方の描写もお気に入り。

 

下巻。

   検非違使に連行される舎人とそれを見送る妻。
   その様子を不安げに覗く出納夫婦。

   訊問される舎人。真相を白状する。

   伴大納言を逮捕に向かう検非違使たち。伴邸の正門が見える。

   沈痛な表情で検非違使の口上を聞く老家臣。

   主人が逮捕された伴大納言邸内。家人たちは絶望して泣き叫ぶ。
   門から連行される主人を泣きながら見送る家臣たち。

   検非違使たちに連行される伴大納言。


以上。下巻は、勝手な感想だが、上巻・中巻との比較では、これは見所!と言える場面はないかなあ。

 

   こういう国宝絵巻を観る度に感心しているが、紙の厚さはゼロに近いのに、よく形をとどめているものだ。超絶バランスというか、奇跡というか、修復・保存技術の凄さを思う。公開の機会が極めて限定されるのもやむを得ない。

 

   第2部の水墨画。

   長谷川等伯作の2点にも惹かれたが、面白かったのは、

重要美術品《天神縁起尊意参内図屏風》

   牛車の疾走を表しているのだが、鑑賞時の私には、牛も牛車も御者も「疾走」には見えず、従者の必死な姿を見て、初めて「疾走」の場面であることに気づいた次第(車輪の表現に工夫があることを後で知る)。

 

第3部の江戸絵画。

   興味深く観た作品多数だが、一番時間を費やした作品は、

重文《江戸名所図屏風》八曲一双 寛永期(1624-45)

   私は初見だが、有名な作品らしく、本作を単独でとりあげた書籍が何冊かあるようだ、どうりで本作の前に人が多かったわけだ、確かに見所の多い作品である。


   出光美術館のコレクションって凄いね。


   1995年から続いていた、ノルウェー・オスロ市立ムンク美術館所蔵ムンク作品3点展示シリーズは、2015年10月に終了していたのですね。
   毎回見たわけではないけれど、出光美術館訪問時のもう一つの大きな楽しみだった。20年間、ありがとうございました。



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