平成29年新指定 国宝・重要文化財
2017年4月18日~5月7日
東京国立博物館 本館8室・11室
本展では、平成29年に新たに指定される国宝7件、重要文化財37件と、追加指定された重要文化財2件の、46件を展示します(写真パネル展示6件含む)。
以下、印象に残る作品を記載する。
1)重文《紙本墨画鳥獣人物戯画甲巻断簡》
平安時代・12世紀
東京国立博物館蔵
本件は、京都・高山寺に伝来する国宝「鳥獣人物戯画」四巻のうち、甲巻の第十六紙の前に繋がる部分である。国宝絵巻には認められる「高山寺」の朱印が捺された形跡がなく、比較的早い時期に分断されたものと考えられるが、先般の国宝四巻の解体修理に伴う詳細な調査により、もともとは一連のものであったことが明確になったため、重要文化財に指定する。 (平安時代)
擬人化された動物たちが躍動する国宝《鳥獣人物戯画甲巻》。そこから離別したとされる断簡も、本絵巻と全く同じで、動物たちが実に魅力的。
2)国宝《銅造釈迦如来倚像》
飛鳥時代・7世紀
東京・深大寺蔵
明るい表情を浮かべた少年を思わせる面貌や、体に密着して肉付けの起伏をあらわにみせながら流麗な衣文が表される着衣など、いわゆる白鳳仏の特色をよく示し、飛鳥時代後期の名品として知られる作例である。製作は7世紀後半ないし末と推定される。
近年、飛鳥後期の美術に関し、外来影響の受容のありさまや材質技法の特色など研究が進展したことを踏まえ、この時代の代表作の一つとして国宝に指定する。(飛鳥時代)
関東の白鳳仏として、展覧会で何度かお目にかかっている。今回、360度堪能する。
個人的には、蕎麦目当てでの深大寺への初詣。湧水でもりそばを食し、参拝し、おみくじを引き、釈迦堂にいる白鳳仏にお会いする。今年は重要文化財表示だったが、次の初詣時には国宝表示になっているのだなあ。
3)重文《木造千手観音菩薩坐像》
平安時代・12世紀
宮城・お薬師様文化財保存会蔵
『日本往生極楽記』に名がみえる小松寺の本尊として伝来し、明治初年になり隣接する薬師堂に移された千手観音像で、近年学界にその存在が知られた。
中尊寺金色堂に安置される奥州藤原氏三代に関わる諸像、とりわけ二代基衡のために造られた一群と類似する作風がうかがえるところから、12世紀後半に平泉の寺院の造仏に携わった仏師の手になるとみられる。二重まぶたの目や、背面で吉祥天や女神のように髪をたわませて結い上げる髪型が珍しく、注目される。院政期における東北地方の仏像製作の様子を知る上で重要な遺品である。
優美な顔立ちに惹かれる。
パネル展示であった国宝《木造維摩居士坐像》奈良・法華寺蔵、実物を見たかった。
分野も時代も所蔵者も異なる多様な品々が、ただ同じ年に国宝・重文に新指定されたということだけで一室(彫刻作品は別の室)に集まる本企画。今年も楽しむ。