東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

【後期】琉球絵画 ー「琉球 美の宝庫」展(サントリー美術館)

2018年09月03日 | 展覧会(日本美術)
琉球    美の宝庫
2018年7月18日〜9月2日
サントリー美術館
 
 
   前期訪問済み、再訪は、本展のメインビジュアルを担う国宝《玉冠(付簪)》が登場する8/22以降を考えていたが、会期最終日になんとか滑り込み。
 
 
国宝《玉冠(付簪)》
第二尚氏時代、18〜19世紀
那覇市歴史博物館
   私にとっては、「本物」も8/20まで展示されていた「復元」も変わらない。「本物」の良さ・ありがたさが分からない。分からないけど、まずは見ておくことが大事と思っておく。
 
 
本展の章立て
 
第1章   琉球の染織
第2章   琉球絵画の世界
第3章   琉球国王尚家の美
第4章   琉球漆芸の煌き
エピローグ   琉球王国の記憶
 
 
 
   私的に一番楽しんだのは、前回と同様、今回も第2章「琉球絵画の世界」。
   で、印象に残る絵画について記載する。
 
→前回訪問時の記事
 
 
《琉球少婦逍遥之図》
一幅
第二尚氏時代、18〜19世紀
個人蔵
 
   中央に高貴な身分の女性、左右に付き人の女性が描かれる。ちょっと古代的?容貌の大きめの顔が印象的。
   新出の作品。落款はなく、作者や制作年代を断定できないが、作者が判明する琉球絵画のいずれとも画風が異なる。こうした家譜や記録の残らない描き手たちも複数活躍していたのだろう(キャプション要旨)。
   キャプションの「複数」との言い方は、「少ない」≒「王府の貝摺奉行所に所属、または、王府直属のお抱え、でないと絵師として活躍する場はない」ことを表しているのだろうか。
 
 
 
琉球王国時代の服飾を知る貴重な資料が4点。
 
《王子按司大礼服并通常服の図》
《王子婦人大礼服并通常服の図》
《首里之士族通常服の図》
《那覇士族婦人通常服の図》
いずれも
一幅
第二尚氏時代〜明治時代、19世紀
東京国立博物館
 
   「并」は「ならびに」と読む。初めて知る。
   1点目。王子と按司は高い地位の役職であるとのこと。その礼服姿と通常服姿が描かれる。
   2点目。王子婦人は、その高い地位の役職である人の妻なのだろう、その礼服姿と通常服姿が描かれる。
   3点目。夏服姿の首里士族の男女が描かれる。
   4点目。士族の女性と付き従う少女が描かれる。「ハジチ」という習慣を初めて認識する。琉球王国時代から明治末期まで沖縄で広く行われていたらしい。女性に対し、手の甲、指、ひじに施す刺青。「結婚をするといれる風習もあるが、13歳頃から少しずつ刺青を増やしていき、婚約したら文様を完成させることも行われていた」らしい。本作の少女は、指の付け根にだけ刺青が施されている。
 
    この服飾絵画シリーズ、東博は上記4点以外にも作品を所蔵しているようだ。
 
3点目(部分)
 
4点目(部分)
 
 
   第二次世界大戦により多くが失われてしまった琉球王国の絵画。その全容は謎に包まれているという。本展では、近世琉球期(1609-1879)の琉球絵画がまとまって出品、現存する優品の大半が紹介されていると言ってよいのかも。
    私は専ら美人画系を楽しんだが、他にもいろんなジャンルの絵画が出品されていて、貴重な鑑賞機会であったと思う。
 


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