ルーヴル美術館展
肖像芸術-人は人をどう表現してきたか
2018年5月30日~9月3日
国立新美術館
2018年のルーヴル美術館展。
最大の出会い、フランス中世のトランジ(腐敗屍骸像)彫刻は、既に記事にしている。
本記事では、他の印象に残る作品3選をメモする。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/50/d1f1cce90b8fc929c222af28ee7efa83.jpg)
【本展の構成】
プロローグ:マスク-肖像の起源
1.記憶のための肖像
a 自身の像を神に捧げる
- 信心の証としての肖像
b 古代の葬礼肖像
- 故人の在りし日の面影をとどめる
c 近代の葬礼肖像
- 高貴さと英雄性
2.権力の顔
a 男性の権力者
- 伝統の力
b 権威ある女性
c 精神の権威
- 詩人、文筆家、哲学者
幕間劇 持ち運ばれ、拡散する肖像
1) 古代の硬貨から17世紀ムガル朝インドのミニチュアールまで
2)フランス国王ルイ18世のミニチュアール・コレクション
3.コードとモード
a 男性の肖像 - 伝統と刷新
b 女性の肖像 - 伝統と刷新
c 子どもと家族
d 自己に向き合う芸術家
- 啓蒙の世紀の3つの例
エピローグ:アルチンボルド-肖像の遊びと変容
1)
アルチンボルド
《春》《秋》
ルーヴル所蔵のアルチンボルド「四季」連作4点のうち2点が出品。
「四季」連作については、2017年のアルチンボルド展の際にしつこく記事にしており、今回記載しても、同内容の繰り返しとなるので控えるが、一言だけ。
2017年のアルチンボルド展に出品されたマドリードの王立サン・フェルディナンド美術アカデミー美術館所蔵の《春》、その凄まじき緊張感。ルーヴル所蔵作品を見て改めて認識する。
2)
フランツ・クサファー・メッサーシュミット
《性格表現の頭像》
1771-1783年の間
制作理由は、芸術的なところではないところにあったのだなあ。確かにそんな作品だなあとの印象。全69体が並ぶと印象が変わるかもしれないけど。
3)
フランスの画家(?)
《パンジーの婦人》
15世紀
本展の目玉作品の一つ、27年ぶりの来日、今回の日本での展覧会でのみ「ガラスで覆われていない状態で」見ることができるという、ヴェロネーゼ《女性の肖像(美しきナーニ)》の隣に展示。
婦人の肖像画の小品。
背景のみならず、額縁にまで描かれるパンジー。 その花言葉は「思慕」「恋心」。
スペイン語で書かれているという銘文は「見えなくても、私は憶えている」。
妻を喪った夫の注文とされる。
さて、「日本テレビ ルーヴル美術館展 20年プロジェクト」、4年後の2022年の3回目は、どんな企画になるのだろうか。風景画?静物画?歴史画?別の切り口?