蔵王権現と修験の秘宝
2015年8月29日~11月3日
三井記念美術館
思いのほか楽しんだ展覧会。
修験道の主尊、蔵王権現の特異なる様態のおかげ。
その様態とは、
・髪を逆立てた、怒りの形相で
・肉身は青黒く
・右手を振り上げ、三鈷杵または独鈷杵を握り
・左手は腰にあて、第二指と第三指を伸ばした剣印を結び
・右脚を蹴り上げ
・左脚で岩座の上に立つ
が、基本形。
基本形に対するレパートリーがあって、怒りの形相の程度、身体の傾け具合というものから、両脚とも大地を踏ん張っているもの、振り上げる手脚が左右逆のものまである。衣服の違いというのもあるようだ。
修験道の根本聖地である奈良県吉野金峯山(金峯山寺、如意輪寺、櫻本坊)および、早くから山岳宗教の聖地であった鳥取県東伯郡三朝町の三徳山(三佛寺)からの出品をメインに、修験道にかかる美術工芸品が展示される。
私は専ら、本展の柱である蔵王権現の彫像、図像、鏡像、懸仏を楽しむ。
展示室1
蔵王権現の彫像8躯、懸仏1面。
展示室4
奈良県吉野金峯山からの彫像・絵画室。蔵王権現の彫像は2躯どまり。うち1躯が本展のメインビジュアル、重文《蔵王権現像》(源慶作、1226年、如意輪寺)。9/23までの期間限定出品なので注意。掛け軸が2点。
展示室5
鏡像や懸仏。
鏡像には蔵王権現が線刻されているが、総じて見えづらい。
少しでも見えやすくするために、真上に近い位置から見る。具体的には、背伸びして展示ガラスに顔を近づける。随分見え方が違う。比較的真上から見るのが容易な小さい鏡像5-9でその効果を試してから、どうぞ。
展示室7
鳥取県三佛寺からを主とする彫像室。蔵王権現は三佛寺から6躯+正本尊(複製)、他の所蔵3躯。
基本形たる正本尊の複製を横目に見つつ、彫像のレパートリーも楽しむ。7-6重文《蔵王権現像》(平安時代)が本展のもう一つのメインビジュアル。
蔵王権現以外にも、国宝《藤原道長経筒》、国宝《経箱・脚台付》などが展示。