明治維新150年 幕末・明治
激動する浮世絵
2018年1月5日~2月25日
太田記念美術館
前期(〜1/28)・後期(2/2〜)で全点入替となる本展の前期を訪問。
本展の構成は、次のとおり。
・不安な幕末を笑い飛ばす
・異国への好奇心
・あざやかな赤
・文明開化する東京
・事件・災害・戦争を伝える
・新たな表現への挑戦
・150年前の浮世絵界
特に楽しんだコーナーを記載する。
1 異国への好奇心
歌川芳員
《亜墨利加国蒸気車往来》
1861年10月
アメリカの蒸気機関車を描いたということだけど、2階建だし、大砲を備えているし、人々の様子もなんか変。実は、蒸気船をもとに想像で描いたらしい。蒸気船なら納得。
歌川貞秀
《生写異国人物 魯西亜人 飼羅紗羊之図》
1860年11月
羊は当時珍しい動物だったので異国と結びつけられたとのことであるが、なぜロシア人と羊の飼育とが結びつけられるのか。描かれたロシア人も船員っぽい格好だし、これだとペットとして飼っているようだ。
歌川貞秀《生写異国人物》は5点もの。他4点はアメリカ人とアコーディオン(傍らに犬)、中国人と扇子、オランダ人と子供、フランス人と犬。
二代歌川広重
《横浜 岩亀見込之図》
1860年6月
横浜に外国人向けに1859年に開設された港崎遊郭。その中で最も規模の大きい「岩見楼」の内部を描いたもの。左画面、外国人客が宴中。
歌川芳豊
《中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図》
1862年
幕末の1862年、アメリカ船でやってきた3歳のメスのアジア象。翌1863年、両国の見世物小屋で興行。見ることで福を呼ぶご利益のあるありがたい動物として、大人気となる。象はその後、1874年頃まで全国を巡業したという。
歌川貞秀
《墨利堅国大船之図》
1864年3月
大判3枚続上下で6枚の大サイズ浮世絵。
英国で建造された豪華客船グレート・イースタン号を描く。洋書の図版をもとにしたらしく、比較的正確に描かれているらしい。豪華客船の周り、多数の着飾った西洋人男女を乗せた小舟が多数浮かんでいるのは変。
2 あざやかな赤
あざやかな赤というか、毒々しい赤というか。明治ゼロ年代から10年代にかけて、役者絵の背景や風景画の空・雲に赤が多用される。赤が画面の大きな面積を占め、「赤絵」と呼ばれた。当時明治新時代の色として好まれていたらしい。本展前期には、役者絵の赤絵2点が展示。