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モネが描いたヴェネツィア - 「カナレットとヴェネツィアの輝き」(SOMPO美術館)

2024年10月26日 | 展覧会(西洋美術)
カナレットとヴェネツィアの輝き
2024年10月12日〜12月28日
SOMPO美術館
 
 
 モネが描いたヴェネツィア。
 本展には3点(東京会場では2点)が出品される。
 
 
モネ
《パラッツォ・ダーリオ、ヴェネツィア》
1908年、92.3×73.2cm
ウェールズ国立美術館、カーディフ
撮影不可、4会場共通
 
 
モネ
《サルーテ運河》
1908年、100.2×65.2cm
ポーラ美術館
静岡・東京限り
 
 
モネ
《黄昏、ヴェネツィア》
1908年頃、73.0×92.5cm
アーティゾン美術館
山口限り、所蔵館で撮影
 
 
 
 1908年10月初旬、モネは、友人であり芸術家たちのパトロンでもあったメアリー・ハンターの招待に応じて、妻のアリスとともにヴェネツィアを訪問する。
 
 68歳を迎える年、人生初のヴェネツィアは、画業から離れて静養することが目的で、メアリーの客として、アカデミア橋の東側に位置し大運河に面するバルバロ宮に約2週間滞在する計画。
 
 しかしメアリーがヴェネツィアを離れる日が来ても、モネは、街に残ることとし、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会の対岸にあるホテル・グランド・ブリタニアへ移る。
 
 ヴェネツィアの光と大気、水面に魅了された画家は、結局、12月半ばまで約10週間、仕事に没頭することとなる。
 
 
 帰国後にアトリエで仕上げられたヴェネツィア連作は、37点とされる。
 いずれもアカデミア橋以東の大運河沿いを描いたもの。宿泊地の近くである。
 
 Wikipediaでその37点を見る。
 同じ場所を何度も題材にしている。
 
 本展出品作についてみると、
「パラッツォ・ダーリオ」:4点
「サルーテ運河」:3点
「黄昏のサン・ジョルジュ・マッジョーレ島」:2点
 
それ以外では、
「大運河とサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会」:6点
「ドゥカーレ宮殿」:3点
「サン・ジョルジュ・マッジョーレ島」:6点
「サン・ジョルジュ・マッジョーレ島から見たドゥカーレ宮殿」:6点
「パラッツォ・ダ・ムーラ」:2点
「パラッツォ・コンタリーニ」:2点
ほか1点もの:3点
 
と、1点ものを除けば、9地点のヴェネツィアの姿が描かれている。
 
 
 日本の美術館が所蔵する作品は2点。
 そのすべてが本展に出品されることとなる。
 
 ウェールズ国立美術館は、本展出品作「パラッツォ・ダーリオ」のほかにも、「サン・ジョルジュ・マッジョーレ島」および、アーティゾン美術館所蔵の「黄昏のサン・ジョルジュ・マッジョーレ島」のもう一つのバージョンと、計3点所蔵している。
 複数のモネ・ヴェネツィア作品を所蔵する美術館は、同館以外にはないようだ。
 
 2点の「黄昏のサン・ジョルジュ・マッジョーレ島」を並べて観たい。
(東京近辺には巡回なく見逃していたが、2017-18年の静岡市美術館ほか「ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」展で、来日していたようだ。)
 
 
 1912年5-6月、ベルネーム=ジュル画廊にて、「ヴェネツィア風景」による個展を開催する。37点のうち29点が出品される。
 既に巨匠としての地位を得ていたモネ、同個展も好評であったようである。 
 今では望めない、壮観な展示風景であっただろう。
 
 モネとヴェネツィアのコラボ。
 生涯1度とはなってしまったが、ヴェネツィアを訪問し、作品を残してくれた奇跡。


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