ユベール・ロベール -時間の庭-
2012年3月6日~5月20日
国立西洋美術館
ユベール・ロベールは今まで知らなかった名前。
国立西洋美術館の企画展は必ず一度は行くことにしているし、岡田温司著「グランドツアー」(岩波新著)でこの時代の風景画に多少関心を持ったので、前売券は早々に入手。ただ、なかなか足が向かなかった。
会期も残り少なくなってきたところ、先日訪問した「大エルミタージュ美術館展」で、ユベール・ロベールの大画面の作品「古代ローマの公衆浴場跡」と遭遇。
本展覧会は素描(サンギーヌ)がメインとの情報は得ていたけれど、「古代ローマの公衆浴場跡」のような迫力ある大画面の作品が1・2点でも見れるならということで、即訪問することとしました。
18世紀のフランスの風景画家ユベール・ロベール(1733-1808)。仏・ヴァランス美術館所蔵作を中心に、他画家の作品を含め、全131点の展示(出品一覧リストは会場にはありませんが、HPには掲載)。
なお、彼は1754年(21歳頃)から11年間もローマに留学していたのだそうです。まさにグランドツアーの時代。
確かに素描(サンギーヌ)が中心。赤チョーク色が会場に充満。そんななかでもどうしても目が行っちゃうのは油彩作品。
ユベール・ロベールの油彩作品は22点。国立西洋美術館ほか日本の美術館も思いのほか所蔵しているのですね。油彩22点中6点が日本。
宣伝ポスターで利用されている「古代遺物の発見者たち」や「アルカディアの牧人たち」は、確かによかったです。
一番印象に残ったのは、小品ですが、「サン・ピエトロ大聖堂の柱廊の開口部の人々」。これは欲しいなあ。
あと、皿に描かれた「サン=ラザール牢獄の囚人たちの散歩」。フランス革命時に投獄されたユベール・ロベールが獄中で皿に描いた絵を売って生活費の足しにしたという逸話があるそうですが、本作はその際の現在12点しか知られていない皿絵群の1点。なんと国立西洋美術館所蔵。
本展も相応に楽しめましたが、インパクトの強さから、「大エルミタージュ美術館展」の「古代ローマの公衆浴場跡」に軍配。
「大エルミタージュ美術館展」の出品作品は、レベルが高いということなのでしょうか。