東京でカラヴァッジョ 日記

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テューダー朝ポートレート - 【再訪】「KING & QUEEN展」(上野の森美術館)

2021年01月12日 | 展覧会(西洋美術)
   2020年最後の展覧会鑑賞は、「KING & QUEEN展」の再訪。
 
ロンドン・ナショナル・ポートレート・ギャラリー所蔵
KING & QUEEN展
名画で読み解く英国王室物語
2020年10月10日〜21年1月11日
 
   前回より、来場者が少なめであったこと、英国王室史の知識がほんの少し増えたこともあって、前回同様に楽しく鑑賞する。
   特に、テューダー朝(1485〜1603年)の北方ルネサンスの香り漂うポートレート。ステュアート朝(1603〜1714年)のバロック全開のポートレート。
 
   以下、テューダー朝ポートレートから3選。
 
 
《アン・ブーリン》
作者不詳
16世紀後半(原作:1533-36年頃)、54.3×41.6cm
 
   1501年頃生。1526年頃、王妃キャサリン・オブ・アラゴンの侍女に。
   1533年5月、国王ヘンリー8世と結婚(2番目の妃)。9月、娘エリザベス(後のエリザベス1世)誕生。
   1536年1月、前王妃キャサリンが幽閉先で死去。同月、男子を流産。
   同年5月、死刑判決を受け、ロンドン塔で斬首刑に処される。
   
  「この作品はアン・ブーリンを描いた肖像画の中でおそらく最も有名なバージョンで、現存はしないが、当時描かれた肖像画に基づくと思われる。」
 
 
 
《エドワード6世》
作者不詳(ギリアム・スクロッツの原作に基づく)
1546年頃、47.3×27.9cm
 
   1537年、ヘンリー8世とその3番目の王妃ジェーン・シーモアとの間に生まれた待望の世継ぎ。なお王妃は出産後に産褥死する。
   1547年、父王の死去に伴い、僅か9歳で即位。
   1553年、15歳で病死。
   病床で、プロテスタントであるエドワードは、側近の説得に応じさせられて、カトリックであるメアリー(ヘンリー8世と最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの娘)ではなく、プロテスタントであるジェーン・グレイ(母方の祖母がヘンリー8世の妹)を後継として指名する遺言を残す。
   その側近は、自分の息子をジェーン・グレイと結婚させていた。
 
 
 
《レディ・ジェーン・グレイ》
作者不詳
1590-1600年頃、85.6×60.3cm
 
   1553年、エドワード6世の死去を受けて、イングランド初の女王として15歳で即位するが、僅か9日間でメアリー1世により廃位される。  
   1554年、16歳でロンドン塔で斬首される。
 
   本作は、その約40年後、プロテスタントの殉教者たちを悼む連作の一つとして制作されたと考えられている。
   両目および口には、引っ掻かれたような傷(修復されているが、少し痕が残る)があり、おそらく完成後それほど時を経ない頃、聖像破壊を目的とした攻撃を受けたと考えられている。
   2006年にギャラリーが購入。
 
 
   英国王室史のドラマは豊かすぎる。


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